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2022年度予算案、コロナ経験踏まえ地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革を三位一体で推進―厚労省

2021.12.28.(火)

来年度(2022年度)予算案が12月24日に閣議決定されました。政府全体の歳出は107兆5964億円(前年度当初予算比9867億円・0.9%増)で、前年度に並ぶ大型予算案となります。

このうち厚生労働省所管分の一般会計は33兆5160億円(前年度当初予算と比べて3781億円・1.1%増)、うち社会保障関係費は33兆1833億円(同じく3984億円・1.2%増)となりました(厚労省のサイトはこちら(概要)こちら(主要事項)、財務省のサイトはこちら(2020年度予算のポイント))(改定率等に関する事前大臣合意の記事はこちら)。

2022年度厚生労働省予算案の大枠

地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革などセットで進め医療提供体制を再構築

2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が全国各地で猛威を振るい、現在はやや落ち着きを見せているものの感染者数減少の明確な要因は必ずしも明らかになっておらず、また東京都などで新規感染者増加の兆しも出ており、さらに感染力が非常に強いオミクロン株の登場によって「今冬に第6波が到来する」可能性も懸念されています。依然として「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が重要な状況は変わっていません。

このため来年度(2022年度)予算案編成においても「新型コロナウイルス感染症対策」が重要ポイントの1つとなります。もちろんそれ以外にも2025年度・2040年度を見据えた▼医療保険制度の持続可能性確保▼医療提供体制の再構築―、少子高齢化対策など重要事項が山積みとなっています。

来年度予算の柱は、(1)新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築(2)未来社会を切り拓く「成⻑と分配の好循環」の実現(3)⼦どもを産み育てやすい社会の実現(4)安心して暮らせる社会の構築―の4本です。Gem Medでは、主に(1)の保健・医療・介護の構築に焦点を合わせます。

コロナ感染症を踏まえた強靭な保健・医療・介護の構築に関する予算案(その1)

コロナ感染症を踏まえた強靭な保健・医療・介護の構築に関する予算案(その2)



まず「新型コロナウイルス感染症から国⺠を守る医療等提供体制の確保」として、来年度(2022年度)当初予算で20億円、今年度(2021年度)補正予算で2兆2353億円が計上されます。このように来年度(2022年度)当初予算と今年度(2021年度)補正予算とは一体的に、切れ目のない施策を講じることが意識されています(2020年度→21年度も同様の考えであった)。

来年度(2022年度)予算案の内訳をみると、次のような事項が目を引きます(緊急包括支援金による病床確保などは今年度(2021年度)補正予算に盛り込まれている)。

▽「医療のお仕事 Key-Net」等を活用した医療人材の確保:7300万円

▽介護サービス提供体制の継続支援:別途計上されている事項の内数

▽介護施設等における感染防止対策(個室化、簡易陰圧装置・換気設備の設置、職員への研修など):5000万円ほか



また、コロナ感染症対策を通じて「我が国では、病院・クリニックが乱立し、限られた医療人材が散在してしまっており、重症患者に対する手厚い対応が十分に行えない」という医療提供体制上の大きな問題点が浮き彫りとなりました。この問題を解決するためには、地域ごとに「医療提供体制の機能分化を進め、連携を強化する」、つまり地域医療構想の実現に向けた動きを加速化することが重要です。もちろん、地域医療構想と「医師偏在対策」「医師働き方改革」は密接に連環するため、いわゆる三位一体改革が重要となります(関連記事はこちら)。この点、来年度(2022年度)予算案では、次のような事項が計上されました。

▽地域医療構想の実現に向けた地域医療介護総合確保基金による支援(例えば病床機能再編支援事業の推進など):751億円

▽重点支援区域等に対する支援の充実・強化等:5億4000万円

▽医師偏在対策の推進(総合診療医の養成拠点整備など):14億円

▽勤務医の労働時間短縮推進(いわゆるB水準になるであろう病院等について地域医療介護総合化確保基金による支援を行う):別途計上した事項の内数

▽働き方改革好事例展開:700万円

▽勤務医等を対象とした働き方改革周知・啓発(e-ラーニングコンテンツの作成、セミナー開催など):1000万円(関連記事はこちらこちら

▽病院長等を対象とするマネジメント研修:4000万円

▽医療勤務環境改善支援センターによる医療機関支援:8億9000万円

▽医師の働き方改革にかかる地域医療への影響等に関する調査:8000万円

▽特定行為に係る看護師の研修制度の推進(指定研修期間の設置準備・運営費の支援、研修指導者育成支援など):7億1000万円

▽医師事務作業補助者・看護補助者の確保・定着支援:1000万円

▽女性医療職などのキャリア支援(産休・育休後の復職支援、復職後の多様なキャリアパス設定等に向けた拠点医療機関の構築を支援する):1億9000万円

▽上手な医療機関へのかかり方の国民への周知啓発:2億2000万円

▽遠隔ICU体制の整備促進(ICTを活用して経験豊富な集中治療専門医が、他院の若手医師等に助言を行う仕組みの構築を支援する):2億円

▽救急医療体制の充実等:83億円

▽災害医療体制の充実:17億円

▽潜在看護師の復職支援等による人材確保:3300万円

▽小児・周産期医療体制の確保:7億3000万円

▽へき地保健医療対策の推進:80億円

▽在宅医療の推進(在宅医療・訪問看護の専門知識・経験を持ち、地域の医療人材育成を推進できる講師を養成する):4300万円

▽人生の最終段階における医療・ケアの体制整備:1億3000万円

▽医療安全の推進(医療事故調査制度の推進に向けた、医療事故調査・支援センターの運営補助など):11億円

▽国民への情報提供の適正化推進(ネットパトロールによる不適切な医療広告の監視など):5500万円

医療分野のICT化推進に向け、例えばオンライン資格確認の周知・広報など進める

またコロナ感染症対応の中で「我が国では医療分野におけるICT化の遅れが著しい」ことが再認識されました。例えば、「重症患者を受け入れるベッドがどの病院に何床あり、現在、何床開いているのか」といった情報がリアルタイムで共有されれば、円滑な患者搬送が可能となります。そしてこれは、コロナ感染症だけでなく、通常時の救急医療などでも活用可能です。このため、「医療分野におけるデータ利活用の推進」も重要事項の1つに据えられ、次のような項目が計上されました。

▽医療保険分野における番号制度の利活用推進(オンライン資格確認等システムの周知・広報など):2億8000万円

▽医療等分野における識別子の導入(医療・介護レセプトデータ等の個人単位での紐づけを可能とする識別子の導入など):5600万円

▽保健医療情報を医療機関等で確認できる仕組みの推進(オンライン資格確認等システムのインフラを活用し、薬剤や特定健診、レセプトデータ等の閲覧を可能にする仕組みの拡充):5億9000万円

▽データヘルス分析関連サービスの構築に向けた整備(NDB、介護DBデータの第三者提供の推進):1億円

▽医療情報化支援基金による支援(オンライン資格確認等システムや電子処方箋の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備支援):735億円

がん医療の充実、難病・小児慢性特定疾患対策の充実など

このほか、疾病対策等に向けて、例えば▼糖尿病性腎症患者等の重症化予防の取り組み支援 (5200万円)▼がん予防(検診受診率向上に向けたクーポン配付など、144億円))▼がん医療の充実(がんゲノム医療中核拠点病院の機能強化、がん研究推進など、168億円)▼がんとの共生(がん診療連携拠点病院等における「治療と仕事両立プラン」に基づく就労支援推進など、30億円)▼がん患者の妊孕性温存療法支援(11億円)▼難病対策の推進(1271億円)▼小児慢性特定疾病対策の推進(179億円)▼難病・小児慢性特定疾病に関する調査・研究などの推進(データベースの充実と、それを活用した治療法開発研究など、113億円)―などの事項が盛り込まれています。

また注目される「後発医薬品の信頼回復」に向けて、メーカー(製造所)に対する調査、承認申請資料の適合性調査、安全性確認などのために1億4000万円が計上されました。

介護サービスの充実に向け「エビデンスに基づく科学的介護」を推進

他方、介護サービスの充実に向けて次のような事項も計上されています。

▽介護保険制度による介護サービスの確保(介護費用のうちの国庫負担分):3兆1515億円

▽介護予防・日常生活支援総合事業等の推進(要支援者の訪問・通所介護など):1661億円

▽包括的支援事業(認知症施策や地域高齢者の生活支援、在宅医療・介護連携など)の推進:267億円

▽地域介護施設等の整備:412億円

▽総合的・計画奈介護人材確保(他事業からの参入促進、労働環境・処遇の改善、資質向上に向けた研修受講支援など):137億円

▽介護分野における生産性向上の推進:9億3000万円

▽介護職員の処遇改善促進(処遇改善加算の上位区分取得促進支援など):508億円

▽介護の仕事の魅力等に関する情報発信:3億6000万円

▽介護助手等の普及を通じた多様な就労の促進(都道府県福祉人材センターに「介護助手と宇普及推進員(仮称)」を配置し、介護助手などの希望者掘り起しを進める):別途計上されている事項の内数

▽介護・医療関連情報の「見える化」の推進(地域包括ケア「見える化」システムのデータ拡充、機能追加など):3億円

▽科学的介護の実現に資する取組の推進(介護DBの機能改修や、現場でのPDCAサイクル推進のための好事例収集など):8億4000万円

▽認知症に係る地域支援事業の推進:86億円

▽認知症疾患医療センターの整備促進・診断後等支援機能の強化:13億円

▽認知症研究の推進(予防のエビデンス収集や病態解明、認知症診断に資するバイオマーカー研究やゲノム研究、治療薬の開発等の推進):12億円

▽適切な介護サービス提供に向けた各種取組(福祉用具の平均価格公表、集合住宅などの高齢者にサービス提供を行う事業者への重点的実地指導強化など):119億円



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