【衝撃スライド】日本を変えるターニングポイントは2018年―今さら聞けない2025年問題(7)
2015.9.15.(火)
今さら聞けない2025年問題。今回は2025年に向けて日本を変えるターニングポイントになると見られている2018年について解説します。
2025年まで残された時間はそう長くはありません。2025年までに、前回お話ししたように病棟(病院の1フロア)、病床(ベッド)、特に看護師配置が多い病床を、機能別に再編していかなければなりません。では今後、この再編をどのように進めていくのでしょうか。
2025年に向けて一つの節目と言われるのが、2018年です。この2018年に向けて、2014年から病院ごとに、病棟ごとにどういう機能(高度急性期、一般急性期、回復期、長期療養)を持っているのかを報告することが義務化されました。この報告されたデータを分析して、2015年3月に1回目の地域別での話し合いが持たれることになりました。
地域別での話し合いというのは、全国の都道府県にある入院ベッドが地域ごとにどれだけ必要かを考慮して決められる医療の地域圏「二次医療圏」ごとに話し合われることになっています。この話し合いのベースとなるデータが、各病院から提出される病棟別の機能、そして二次医療圏ごとの人口がどうなっていくのか、そして将来どういった病気が発生していくのかというデータがベースとなって、この砲弾型の機能別の病床数の整理が始まっていくことになります。
では、2025年に向けたスケジュール感をもう一度見てみましょう。2018年は一つの節目と言いました。医療・介護には大きな制度が2つあります。診療報酬制度と介護保険制度と呼ばれるものです。2015年4月に改定された介護報酬は、3年に1回改定されるもので、もう一つの診療報酬は2年に1回改定されます。直近では2014年4月に改定されたので、次の改定は2016年4月となります。
この医療と介護の報酬制度の改定によって、病院そして介護保険施設は、患者(利用者)をどのように確保したらいいのか、サービスをどのように提供していけばいいのか、改定に向けた国の議論に注目しながら、自分たちの施設はどういう方向性に向かうべきかを決めていきます。この政策誘導によって、増えすぎた7対1(入院患者7人に対して一人の看護師を配置)、機能別で言うと回復期、長期療養、介護保険施設などの病床数が整理されていきます。
2018年がなぜ大きなターニングポイントになるかと言うと、この診療報酬と介護報酬が同時に改定されるタイミングだからです。2年に1回の診療報酬改定と3年に1回の介護報酬改定が重なるのは、6年に1回です。この同時改定は2025年までに2回あるのですが、直前の2024年では、2025年問題に対応するには遅すぎます。その一つ前のタイミングが2018年であるということに加えて、2018年には診療報酬と介護報酬の制度の土台となる「医療法」の改正のタイミングでもあります。医療法では「医療計画」という地域ごとの人の配置を見直す法制度もあるので、2018年は非常に良いタイミングとなります。
従って、現在、この2018年に向けて、社会は大きく変わろうとしています。ではこの変わりつつある社会、どのようなデータに注目して変わっていくのか、また、高度急性期、一般急性期はどういった機能を持つのかについて、次回は見て行きたいと思います。
【連載:今さら聞けない2025年問題】
Vol.1◆鎌倉時代まで遡ると分かる人口の大激変
Vol.2◆団塊世代の高齢化による人口ピラミッドの逆転現象
Vol.3◆日本を財政破綻に導く「ワニの口」
Vol.4◆どうする死に場所のない47万人
Vol.5◆未来を左右するワイングラスと低負担高福祉の終焉
Vol.6◆重症患者のベッド数、予想上回り12倍以上
Vol.7◆日本を変えるターニングポイントは2018年
Vol.8◆最大の課題は医療に対する国民の意識変容