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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

がん検診が「適切に実施されているか」を担保するための基準(プロセス指標)を科学的視点に立って改訂—がん検診あり方検討会(4)

2023.2.2.(木)

市町村による「がん検診」について、「対象者に偏りがないか」など適切な実施を担保するための基準(プロセス指標)については10年以上見直しが行われてこなかった—。

市町村におけるがん検診の実態は、旧基準クリアに向けた努力を積み重ねた結果、相当程度改善しており、今般、基準(プロセス指標)を見直すこととする—。

1月30日に開催された「がん検診のあり方に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった点も固められました。同日には「新型コロナウイルス感染症によるがん検診等への影響」職域で行われるがん検診の実施状況「市町村で行われる子宮頸がん・乳がん検診のさらなる推進」も議題にあがっています。

従来の「底上げ」視点を改め、「適切にがん検診が実施される」ことを目指す基準に見直し

我が国の死因第1位を独走する「がん」ですが、早期に発見し、早期に治療を行うことが「死亡率の低下、生存率の向上」にとって極めて重要です。がん検診には、大きく「市町村の実施する住民検診」と「事業所等で行われる職域検診」があります。

このうち前者の住民検診については、指針・ガイドライン(「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」)に則り、科学的根拠に基づいて行われることが求められます。科学的根拠に基づかない、効果の不確かな方法で検診が実施されても「早期発見」「死亡率減少」などに結びつかないためです。

また適切な手法で検診が実施されたとしても、例えば「検診対象者を、がんが極めて強く疑われる患者(高齢者等)に絞り込んで」行えば、有病率は高くなりすぎ、一方、「検診対象者を、がんに罹患していないと思われる患者(若年者等)を中心に設定して」行えば、有病率は低くなりすぎるなどの問題が生じます。このため、「対象患者を適切に設定している」かなどを担保するための基準(プロセス指標、▼精検受診率▼未把握率▼未受診率▼未受診+未把握率▼要精検率▼がん発見率▼陽性反応適中度—)も設けられています。

指針は、最新の科学的知見等に基づいて適宜見直しが行われてきています(関連記事はこちらこちら)。しかし、「検診が適切に実施されているか」を担保するための基準(プロセス指標)については10年以上見直しが行われておらず、また検診の状況も変化していることを踏まえ、今般、見直しが行われるものです。

現在の基準(プロセス指標)は2008年に設定され、そこでは「状況の芳しくない(下位)自治体について底上げを図る」という考え方が採用されました。例えば、例えば乳がんの要精検率については「47都道府県の検診受診率の分布をみて、上から4、5番目(上位10パーセンタイル)を目標値とし、上から33、34番目を許容値(最低限クリアすべき値)とする」とされました。下位13、14の県は「許容値をクリアできる」ように取り組む、それよりも上位の件は「目標値に近づく」ように取り組むことが期待されました。

ただし、当初の設定から10年近くが経過する中で、各都道府県の取り組みが進み「ほとんどの県で許容値をクリアできている」状況になっています(例えば、2017年時点で大腸がん発見率の許容値クリアは45自治体(残り2自治体のみ))。これでは「許容値」を設定した意味が薄れてしまうことから、今般、見直しに向けた検討・研究が進められ「新基準」(新たなプロセス指標)案が検討会に提示され、了承されました。

主な見直しポイントは、▼従来の「ベンチマーク、底上げ」の考え方を改め、「検診として効果がある感度、特異度の値を達成するために必要と考えられる値」を設定する▼新たな指標として「感度」「特異度」などを設定する▼がん種に応じて、適切な「対象者の年齢」「検診受診頻度」を設定する—といったところです。ただし「実態からあまりにかけ離れた基準を設定しても、自治体の納得が得られない」という点に配慮した調整(肺がん、乳がん)も一部に行われています。

プロセス指標見直しの考え方(がん検診あり方検討会(4)1 230130)

新基準(新プロセス指標)における対象年齢と検診間隔(がん検診あり方検討会(4)2 230130)

新基準(新プロセス指標)一覧(がん検診あり方検討会(4)3 230130)



今後、新基準を盛り込んだ「指針改訂版」が厚生労働省から示されます(厚労省健康局長通知として改訂版が示される)。



なお、新基準について研究・検討を進めてきた祖父江友孝構成員(大阪大学大学院医学系研究科教授)と高橋宏和参考人(国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室長・がん医療支援部検診実施管理支援室長)は、職域検診について「市町村と状況が異なる。まずデータ収集を行い、基準などを別に設定する」旨の考えを示しています。



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