社会医療法人等の収入要件見直し、医療・介護DXの推進に向けた税制対応、サ高住推進税制の延長など実施―2025年度税制改正
2025.1.7.(火)
来年度(2025年度)の税制改正の姿が12月27日に明確にされました。
医療・介護に関連する事項としては、(1)社会医療法人、特定医療法人、認定医療法人、福祉病院事業法人、オープン病院事業法人および厚生農業協同組合連合会の収入要件の見直し(2)医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延長等(3)医療・介護DXの推進に伴う税制上の所要の措置(4)予防接種法に基づく予防接種等の対象疾病の追加に伴う税制上の所要の措置(5)国立健康危機管理研究機構の創設に伴う税制上の所要の措置(6)国民健康保険税の課税限度額の見直し及び低所得者に係る国民健康保険税の軽減判定所得の見直し(7)サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長―などがあります(厚生労働省のサイトはこちら)。
医師働き方改革、地域医療構想の実現を税制面からも推進
まず(1)は、社会医療法人等について関係法令等の改正により収入要件等の見直しが行われた後も、引き続き「社会医療法人等が行う医療保健業を収益事業から除外する」等の措置を講ずるものです。具体的には、社会医療法人等の収入要件について、▼補助金等の多寡が要件の充足に影響を与えないよう、「社会保険診療等に係る収入金額」(分子)に 「補助金等に係る収入金額」を加える▼法人が行う医療保健業務の非営利性を確保する観点から、「全収入金額(事業収益の額)」(分母)を「医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る)」とする—などの見直しが行われます。
また(2)は、事業税における「社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置」「医療法人に対する軽減税率」については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点からそのあり方について検討するものです。
他方、(3)は「医療用機器等の特別償却制度」について、▼対象機器の見直し▼制度の適用期限の2年延長—を行います。具体的には、▼医師・医療従事者の働き方改革を促進するため、「労働時間短縮に資する設備」に関する特別償却制度の期限を2年延長▼地域医療構想の実現のため、「民間病院等が地域医療構想調整会議において合意された具体的対応方針に基づき病床の再編等を行った」場合に取得する建物等に関する特別償却制度の期限を2年延長▼取得価格500万円以上の高額な医療用機器に関する特別償却制度について、高度な医療の提供という観点から対象機器の見直しを行った上で期限を2年延長—します。
さらに(4)では、▼社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、法人税等の非課税措置を継続する▼健康増進法改正を前提に、国民健康保険団体連合会が市町村からの委託を受けて行う検診等に係る業務に関して作成する文書について、印紙税を課さない▼予防接種法改正に伴い、国民健康保険団体連合会が市町村長・都道府県知事から委託を受けて行う定期予防接種等の実施事務等に係る業務に関して作成する文書について、印紙税を課さない—といった対応が行われます。
ほか(7)では、政府の補助を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅(サ高住)に係る固定資産税の減額措置・不動産取得税の課税標準の特例措置・当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置について「適用期限の2年延長」が行われます。
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