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2016年度診療報酬改定で看護必要度を見直し、各病院のデータ精度は十分か―「病院ダッシュボード」ユーザー会

2016.3.2.(水)

 2016年度の診療報酬改定答申が行われ、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)について大きな見直しが行われました。また、10月からは看護必要度の生データ提出が求められることになります。

 こうした見直しに、全国の病院はどの程度対応できるのか?こうした点に焦点を合わせ、GHCが2月26日に病院ダッシュボードのユーザー会を開催しました。

10月から看護必要度の生データ提出義務、精度が不十分な場合は大きなリスク

 一般病棟の看護必要度について、簡単におさらいをすると次のような見直しが行われます(関連記事はこちら)。

▽A項目に、「救急搬送後(2日間)の患者」と「無菌治療室での治療」(専門的な治療・処置に追加)を加える

▽B項目から「起き上がり」「座位保持」を削除し、新たに「危険行動」「診療・療養上の指示が通じる」を追加する

▽手術などの医学的状況を判断するC項目(これまでM項目として議論、詳細は以下)を追加

・開頭の手術(7日間)

・開胸の手術(7日間)

・開腹の手術(5日間)

・骨の観血的手術(5日間)

・胸腔鏡・腹腔鏡手術(3日間)

・全身麻酔・脊椎麻酔の手術(2日間)

・救命等に係る内科的治療(2日間)

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度が大幅に見直される(青字が見直し部分)

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度が大幅に見直される(青字が見直し部分)

 さらに重症患者の対象を、これまでの「A項目2点以上かつB項目3点以上」に加えて、「A項目3点以上」、「C項目1点以上」にも拡大します。

 こうした見直しによる重症とカウントされる患者が増加するため、200床以上の病院では重症患者割合の基準値が現在の「15%以上」から「25%以上」に引き上げられます(200床未満では23%とする経過措置ある)。

 また、総合入院体制加算については、「看護必要度A項目2点以上、あるいはC項目1点以上の患者割合」に着目した新たな施設基準が導入されます(加算1と加算2では30%以上、加算3では27%以上)(関連記事はこちら)。

 さらに、ICUについても看護必要度A項目の見直し(心電図モニター、輸液ポンプ、シリンジポンプの評価を厳しくする)、B項目の見直し(一般病棟用のB項目と統一する)も行われます(関連記事はこちら)。

 一方、10月からはDPCデータの1つとして「看護必要度の生データ提出」を行うことになります(関連記事はこちら)。GHCの分析によれば「看護必要度の生データの精度は必ずしも高くない」ことが分かっています。すると、看護必要度の生データと他のDPCデータの突合を行うことで、「実は、7対1入院基本料の施設基準(重症患者割合)を満たしていない」ことが明らかになり、結果として何らかのペナルティが課される可能性も否定できません(関連記事はこちら)。

看護必要度の生データ提出が、10月から義務化される

看護必要度の生データ提出が、10月から義務化される

 こうした状況を重視し、GHCでは病院ダッシュボードの新機能として「看護必要度分析」を追加することを、病院ダッシュボードの営業を担当している森本尚道が紹介しました。GHCではかねてから「看護必要度データの精度」に着目し、精度向上の必要性を指摘しています。「看護必要度分析」機能は、GHCのコンサルティングノウハウを結集したものです(関連記事はこちら)。

GHCで病院ダッシュボードの営業を担当する森本尚道

GHCで病院ダッシュボードの営業を担当する森本尚道

 森本は具体的な機能として、次のような点を強調しています。

▽自院の状況を時系列で把握することが可能で、「病棟ごとの重症患者割合」を可視化できる

▽自院のデータ精度(創傷処置、呼吸ケア、モニタリング、輸血血液製剤、専門的処置)を把握するとともに、他院との比較が可能である

▽病棟別、疾患別、診療科別などの状況も把握でき、「どこから対策をとればよいか」「どの疾患に力を入れれば重症患者割合の向上に寄与しやすいか」などを検討できる

 さらに今夏からは「病床戦略策定サポート」機能も付加する予定です。

チーム医療を評価する加算を充実、自院の算定状況の客観的な把握が必要

 2016年度改定では、「地域包括ケアシステムの構築」を最重点課題の1つに据えており、そこではチーム医療の推進が不可欠です。

 チーム医療を評価する項目は多岐にわたりますが、例えば次のような点が目立ちます。

退院支援加算の新設(退院調整加算の厳格化や組み替え)

栄養食事指導の対象患者拡大(がん患者などにも拡大)

リンパ浮腫複合的治療料の新設

ICUへの病棟薬剤業務実施加算の拡大に伴う、薬剤管理指導料の見直し

認知症ケア加算の新設

新設される認知症ケア加算の概要

新設される認知症ケア加算の概要

医師事務作業補助体制加算の充実

 こういったチーム医療を評価する加算・点数の算定は、病院経営を安定させるための極めて重要であると同時に、「医療の質・価値を上げる」といった効果があります。

チーム医療推進により、医療の質・価値が向上し、医療機関の経営状況も好転する

チーム医療推進により、医療の質・価値が向上し、医療機関の経営状況も好転する

 GHCで病院ダッシュボードの営業を担当している田中慶太は、「チーム医療を評価する加算・点数は、理学療法士や作業療法士などのメディカルスタッフの業務を経済的に評価するもの。病院経営にどれだけの貢献があるのかを可視化することでメディカルスタッフのモチベーションが向上し、組織の活性化につながる」と強調します。

GHCで病院ダッシュボードの営業を担当する田中慶太

GHCで病院ダッシュボードの営業を担当する田中慶太

 病院ダッシュボードの付加機能である「チーム医療plus」を活用することで、これら加算・点数の算定状況が一目で把握できます。

 ただし、例えば「薬剤管理指導料の算定割合が50%」という場合、この数字の意味を把握するには他院とのベンチマークが必要です。全国の病院で、薬剤管理指導料の算定状況がどの程度で、自院はどのあたりに位置するのか、田中は「チーム医療plusでこの点を把握し、今後の改善活動に活かしてほしい」と述べています。

病院ダッシュボードのチーム医療plus機能を用いることで、例えば薬剤管理指導料の算定割合が全国の中でどの程度に位置にあるのかを一目で把握できる

病院ダッシュボードのチーム医療plus機能を用いることで、例えば薬剤管理指導料の算定割合が全国の中でどの程度に位置にあるのかを一目で把握できる

 ところで、自院と他院の状況を把握するにあたり、正確な計算式を使うことが不可欠です。例えば、ある加算の算定率を計算する際、分母は「その加算を算定可能な患者数」とする必要があります。この点、他のシステムでは「全患者数を分母にしている」ケースもあるので注意が必要ですが、GHCの「チーム医療plus」では診療報酬点数表や施設基準に則った計算式を採用している点が特筆できます。

 さらに、「チーム医療plus」では、「算定率を全国1位の病院にまで算定率を引き上げることができた場合、あるいは算定率を100%まで引き上げることができた場合、どれだけの収益増になるのか」も試算できます。算定率の向上は現場ではなかなか困難ですが、増加する収益と、体制整備(例えばスタッフ増)とを勘案することで、今後の病院の方向性を戦略的に考えることが可能になります。

病院ダッシュボードのチーム医療plus機能を使うことで、各種加算の算定割合が全国最大値にできた場合の収益増を把握できる

病院ダッシュボードのチーム医療plus機能を使うことで、各種加算の算定割合が全国最大値にできた場合の収益増を把握できる

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