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医療費助成の対象となる指定難病、早ければ年内にも対象疾病を再び拡大―指定難病検討委員会

2016.3.28.(月)

 医療費助成の対象となる「指定難病の範囲拡大」に向けた議論が再び始まりました。25日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」では、厚生労働省から、新たに約200疾病について指定難病の基準を満たしているかを4月以降に検討していくスケジュールが示されました。

 早ければ夏頃には追加疾病の大枠が固まり、年内に告示される見込みです。

3月25日に開催された、「第13回 指定難病検討委員会」

3月25日に開催された、「第13回 指定難病検討委員会」

新たに研究が進められている、およそ200疾病について基準満たすかを検討

 難病基本法の制定に伴って、医療費助成の対象となる「指定難病」の範囲は、昨年(2015年)1月から110疾病に(第1次実施)、7月から306疾病に(第2次実施)拡大されました(関連記事はこちらこちらこちら)。

 これらは、「2013年度までの難治性疾患克服研究事業で研究されてきた疾病」と「小児慢性特定疾病のうち、成人期に主に診療を担当する関係学会などから情報提供のあった疾病」について、下記の「指定難病の要件」を満たすと認められたものです。

【指定難病の要件】

 ▽発病の機構が明らかでない

 ▽治療方法が確立していない

 ▽希少な疾病で、患者数がおおむね人口の0.1%以下(当面は約18万人未満とする)

 ▽長期の療養を必要とし、日常生活・社会生活に支障がある

 ▽客観的な診断基準や、それに準ずるものが確立している

 ちなみに、がんや感染症など、他の施策(例えばがん対策基本法など)によって患者支援が行われる疾病は指定難病の対象となりません。

医療費助成対象となる指定難病の要件

医療費助成対象となる指定難病の要件

 

 今般、範囲拡大が検討されるのは(1)「2014・15年度の難治性疾患政策研究事業で研究されてきた疾病(およそ160疾病)(2)小児慢性特定疾病のうち日本小児科学会から要望のあった疾病」(104疾病)―です。両者には重複があるため、検討対象の実数は200疾病程度となります。

 なお(2)の104疾病のうち16疾病は、まだ小児慢性特定疾病ではありません。そこで、この16疾病については小児慢性特定疾病の追加検討を先に進めることになります(指定難病の対象拡大に間に合うように検討)。

 委員会では、この約200の指定難病追加候補について4月から具体的な検討を始めます。厚労省健康局難病対策課の担当者は、「早ければ夏頃には、委員会で一定の整理を行い、その後のパブリックコメント・学会からの意見聴取を経て、年内の告示を目指す。2017年度から追加疾病にも医療費助成を行いたい」とのスケジュール感を述べています。

患者の状況示す「個人調査票」、近く厚労省から記載マニュアルを提示

 25日の委員会では、現在、医療費助成対象となっている306疾患について診断基準などの一部見直しも了承されています。最新の医学的知見に基づいて、診断基準を明確化したり細分化するなどの見直しが行われます。

 例えば「慢性特発性偽性腸閉塞症」については、「腸管全総生検査」で神経叢に形態異常が認められないことという要件があります。しかし現場からは「小児例の半数は新生児で、生検は極めて困難である」という指摘がなされています。この点について厚労省は「新生児では生検をせずとも、MRIや消化管内圧検査で小腸を中心とする明確な運動異常を証明できればよい」との運用を行ってきましたが、この点を明確化する見直しを行います。

 また「ルビンシュタイン・テイビ症候群」や「チャージ症候群」については、原因となる遺伝子変異が明らかになってきたことを踏まえた見直し(遺伝子診断による確定診断と、臨床症状に基づく臨床診断に細分化)を行います。

 厚労省は、近く診断基準の見直しに関する通知を発出する予定です。

 こうした点に関連して委員からは、「『臨床個人調査票』に患者の状況などを記載するが、そこにどこまでの記載をすればよいのか理解していない医師も多い。そのため、本来なら指定難病に該当する患者がかなり漏れている可能性もある」との指摘が複数出されました。例えば、患者の重症度については、「適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近6か月で最も悪い状態を医師が判断する」こととするといるルールがあります。患者の状態に「波」があることを考慮したルールですが、これを知らない現場の医師もおり、そのために必要な支援を受けられない患者もいると宮坂信行委員(東京医科歯科大学名誉教授)は指摘します。

 この点は厚労省も重く受け止めており、難病対策課の担当者は「近く、記載マニュアルのようなものを示す」考えを明確にしています。例えば、神経系や筋骨格系などの領域ごとに、どのような記載を行えばよいかを明らかにするものです。

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