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25対1医療療養などの新たな移行先、医療法に関連するテーマは医療部会の了承も必要―社保審・医療部会

2016.4.6.(水)

 25対1医療療養や介護療養の新たな移行先について、社会保障審議会に特別部会を設置して具体的な制度設計に向けた議論を行うが、医療部会にも審議状況を逐次報告し、特別部会での意見取りまとめにあたっては医療部会の意見も適宜反映させる―。

 こうした方針が6日に開かれた社会保障審議会・医療部会で、厚生労働省医政局の神田裕二局長から示されました。

4月6日に開催された、「第45回 社会保障審議会 医療部会」

4月6日に開催された、「第45回 社会保障審議会 医療部会」

25対1医療療養などの新たな移行先、社保審の特別部会で制度設計

 お伝えしているとおり、25対1医療療養と介護療養については、2018年3月で設置根拠となる医療法・介護保険法の経過措置が切れます。このため、20対1医療療養や介護老人保健施設などへの転換が進められていますが、別の「新たな移行先を検討する必要があるのではないか」との指摘もありました。

 厚労省は、昨年(2015年)7月に「療養病床の在り方等に関する検討会」を設置。検討会は今年(2016年)1月に次の3つの選択肢案を提示しました。

 さらに厚労省は、3つの選択肢案を軸に、より具体的な制度設計に関する議論を行うために、社会保障審議会に特別部会を設置し、年内(2016年内)に取りまとめを行う予定です。ただし、特別部会では「経過措置の延長」や「低所得者対策」なども議論されます。

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

 

 6日の医療部会では、特別部会での議論に向けて、多くの委員から注文が出されました。

 山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、「すべての25対1医療療養や介護療養が、検討会で示された3案に移行するには時間がかかるので、経過措置を再度延長すべきである」と主張。

 山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「新たな移行先では、医療・介護の一体的提供が極めて重要になるが、現在は『医療のほうが、介護より上』という関係が現前としてある。医療と介護のフラットな関係構築に向けた議論もしてほしい」と要望しています。

 また平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「療養病床の整備や入院料の地域差や、各病床に入る患者像について、社会資源・生活のあり方・ターミナルケアのあり方を含めた総合的な議論を、データを基にしてほしい」と注文を付けました。

 また中川俊男委員(日本医師会副会長)や荒井正吾委員(全国知事会、奈良県知事)ら多くの委員からは、「医療部会と特別部会の関係」についての質問も相次ぎました。

 この点について神田局長は「新たな選択肢は、医療法(医療部会)・介護保険法(介護保険部会)・健康保険法や国民健康保険法など(医療保険部会)にも深い関係があるが、各部会で個別に議論すれば、異なる結論が出てしまう可能性もある。このため、関係者に入ってもらった特別部会を設置することになった」と経緯を説明。

 その上で、▽特別部会で取りまとめを行う前に、医療部会などに報告し、意見を反映させる▽医療法改正に関係する部分は、医療部会での了承を求める―ことも明確にしました。

 さまざまな法令に関係するテーマだけに、特別部会をはじめとしてどのような議論が行われるのか、とともに厚労省のかじ取りにも注目が集まります。

今後の医療提供体制の見直しに向け、厚労省が8テーマを提示

 また6日に医療部会では、厚労省医政局総務課の中村博治課長から、今後、医療提供体制を見直していく中で検討が必要となる8つのテーマが示されました。

(1)地域医療構想・次期(第7次)医療計画(関連記事はこちら

(2)療養病床の見直し(関連記事はこちらこちら

(3)医療従事者の受給・偏在(関連記事はこちらこちら

(4)新たな専門医の仕組み(関連記事はこちらこちら

(5)ゲノム医療の実用化推進

(6)医療広告の在り方

(7)特定機能病院のガバナンス(関連記事はこちらこちら

(8)医療事故調査制度などの在り方(関連記事はこちら

 

 多くのテーマについては、専門の検討会(例えば医療計画については新たに「医療計画の見直し等に関する検討会」を、療養病床については前述の「特別部会」を設置)で具体的な議論が行われ、適宜、医療部会に報告する形で検討が進められます。

 なお、(5)のゲノム医療の実用化に関連して、中川委員は「遺伝子検査ビジネスが横行しているが、日本では野放しとも言える状況である。一定の基準などが必要ではないか」と指摘。この点、厚労省大臣官房厚生科学科の椎葉茂樹課長は「ゲノム医療ビジネスについても議論の射程に入れている」と説明しています。

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