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5疾病・5事業は第7次医療計画でも維持、肺炎は脳卒中対策などの中で勘案―厚労省・医療計画検討会(2)

2016.6.15.(水)

 2018年度からの第7次医療計画では、いわゆる「5疾病・5事業」を維持し、新たな疾病や事業の追加は行わない。追加が提案されている「肺炎」については、脳卒中対策などの中で対応していってはどうか―。

 こういった考え方が、15日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」で厚生労働省から提示されました(関連記事はこちらこちら)。

 ただし提案者である相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は、再考を求めています。

6月15日に開催された、「第2回 医療計画の見直し等に関する検討会」

6月15日に開催された、「第2回 医療計画の見直し等に関する検討会」

誤嚥性肺炎の主因、厚労省は「脳卒中後遺症の嚥下障害」と説明するが、相澤構成員は反論

 2018年度からの第7次医療計画スタートに向けて、検討会では「医療計画の作成方針」(厚生労働大臣が策定)に関する議論を本格化しています。15日の検討会では、(1)2次医療圏(2)5疾病・5事業(3)PDCAサイクル推進のための指標―をどう考えるかが議題となりました。ここでは(2)の5疾病・5事業と(3)のPDCAサイクル推進のための指標に関する議論の中身を見てみましょう。

 (2)の5疾病・5事業は、地域において医療機能の分化・連携を推進し、必要な医療提供体制を確保するために医療計画への記載が求められるものです。

 5疾病は、「広範かつ継続的な医療提供が必要な疾病」として、▽がん▽脳卒中▽急性心筋梗塞▽糖尿病▽精神疾患(前回の計画から追加)―が対象になっています。また5事業は「医療の確保に必要な事業」として、▽救急医療▽災害医療▽へき地医療▽周産期医療▽小児医療―が対象となっています。

 この点について相澤構成員は5月20日の前回会合で「5疾病に肺炎を追加すべき(6疾病とすべき)」と提案していました。肺炎は現在、我が国において死因第3位になっており、高齢化が進行する中で、より適切な対策が必要との考えに基づく提案と言えるでしょう(関連記事はこちら)。

 厚労省は、この提案に対して「高齢者の肺炎の7割は誤嚥性肺炎であり、誤嚥性肺炎を引き起こす嚥下障害の原因疾患の6割は脳卒中である」というデータを示し、「5疾病・5事業」を維持してはどうかとの返答を行っています。つまり、肺炎対策は極めて重要であるものの、それはすでに5疾病に位置づけられている「脳卒中対策」や、予防を含めた総合的な対策の中で対応してはどうかという考えです。

高齢者の肺炎の7割は誤嚥性肺炎である。誤嚥性肺炎を引き起こす「嚥下障害」の主因は脳卒中である。したがって、脳卒中対策をすることが肺炎対策にも繋がると厚労省は説明している

高齢者の肺炎の7割は誤嚥性肺炎である。誤嚥性肺炎を引き起こす「嚥下障害」の主因は脳卒中である。したがって、脳卒中対策をすることが肺炎対策にも繋がると厚労省は説明している

 この厚労省の考え方に多くの構成員は賛同しましたが、相澤構成員は「臨床的に見ると、高齢者における誤嚥性肺炎の原因は『全身機能の低下』であり、『嚥下障害』とは異なる。高齢の肺炎患者は在院日数も長く、地域できちんと計画を立てなければ、今後大変なことになる」と述べ、厚労省に再考を促しています。さらに「生活機能に障害のある高齢者の急性期医療ニーズにどのように対応していくか」についても、医療計画に記載する必要があると相澤構成員は指摘しています。

 

 なお、前回の第6次医療計画から「5疾病・5事業」に加えて「在宅医療」の整備状況なども医療計画に記載することとなっています。在宅医療に関しては、その重要性に鑑みて近く設置されるワーキンググループで集中的に議論されます。

医療計画の成果など評価する指標、「活用しやすさ」などの視点で見直し

 現在の医療計画については、PDCAサイクルを回すことが都道府県に求められています。医療計画を作成するだけではなく、成果や課題を評価し、計画の改善に結びつけることが狙いです。

 このため厚労省は成果などを評価する指標を、▽S(構造設備、Structure)▽P(プロセス、Process)▽O(アウトカム、Outcome)―のそれぞれについて設定。都道府県でも独自に指標設定をすることが可能です。しかし都道府県からは、「指標が多すぎる」「アウトカム指標を追加してほしい」という声も出ています。

 具体的に見ると、プロセス指標の1つである「救急要請から医療機関収容までに要した平均時間」やアウトカム指標の1つである「脳卒中発症後1年後におけるADLの状況」などは、指標として使用しにくい、あるいは使用していないという意見があります。

医療計画の成果を評価する指標について、一部は「使いにくい」「使っていない」との声もある

医療計画の成果を評価する指標について、一部は「使いにくい」「使っていない」との声もある

 そこで、第7次医療計画に向けて、現在の指標を厚労省研究班で洗い直し、その上で▽収集・活用しやすいか▽現状を評価でき、施策と連動しているか▽地域全体を評価できるか―という視点で見直す方向が固まりました。

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