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次期医療・介護計画の上位概念となる総合確保方針、「2025年から先の医療・介護体制の姿」を参考資料として示す―医療介護総合確保促進会議

2022.12.21.(水)

2024年度から新たな医療計画・介護保険事業(支援)計画がスタートすることを踏まえ、その両者の上位指針(医療・介護連携を進める)となる「総合確保方針」について、本年(2022年)度内に改正を行う―。

その際、次期医療・介護計画は2025年をまたぐため、参考資料として「ポスト2025 年の医療・介護提供体制の姿」を示す—。

12月16日に開催された「医療介護総合確保促進会議」(以下、促進会議)で、こうした議論が行われました。

12月16日に開催された「第18回 医療介護総合確保促進会議」

2025年から先の医療・介護の姿を描かなければ、次期医療・介護計画の策定が難しい

2024年度からは▼新たな医療計画(第8次医療計画)▼新たな介護保険事業(支援)計画(第9期、市町村が事業計画、都道府県が事業支援計画を作成)—がスタートします。このため、厚労省の審議会・検討会で、新たな計画を都道府県が作成する際の拠り所となる「指針」作りに向けた議論が精力的に進められています(関連記事はこちら(第8次医療計画等に関する検討会)こちら(社会保障審議会・介護保険部会))。



この点、医療計画と介護保険の計画とを全く別個に作成したのでは「切れ目のない医療・介護提供体制」構築が難しくなることから、両計画の上位概念・上位指針である「総合確保方針」が設けられています。例えば「両計画を都道府県で作成するにあたり、医療所管部局と介護所管部局とが密接な連携をとる」こと、「介護保険事業計画を作成する市町村を、医療計画や介護保険事業支援計画を作成する都道府県がサポートする」ことなどが盛り込まれています。

この総合確保方針の見直し論議が促進会議で重ねられており、厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は、次のような見直し方針素案を提示しました。

▽総合確保方針の意義について、2025年の後に生産年齢人口減少が加速化することなどを勘案する、

▽総合確保方針の基本的方向性の5本柱について、次のように見直す
(1)「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築(新型コロナウイルス感染症で浮上した課題を踏まえ「さらなる機能分化・連携を進めていく」考えなどを明確化)
(2)サービス提供人材の確保と働き方改革(サービスの質を確保しつつ、従事者の負担軽減が図られた医療・介護現場の実現などを目指す)
(3)限りある資源の効率的かつ効果的な活用(人口減少に対応した全世代型の社会保障制度の構築などを目指す)
(4)デジタル化・データヘルスの推進
(5)地域共生社会づくり

総合確保方針の意義・基本的方向性の見直し(素案)



あわせて水谷医療介護連携政策課長は「ポスト2025 年の医療・介護提供体制の姿」(素案)も提示しました。

上述したように総合確保方針は医療計画・介護保険事業(支援)計画の上位概念となるものです。次期医療計画は「2024-29年度」(第8次)を、介護保険事業計画等は「2024-26年度」(第9期)を対象にしています。

これまでの総合確保方針等は「人口の大きなボリュームを占める団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となる2025年度」をゴールにすえ、医療・介護提供体制の見直し方向などを示してきていることから、次期医療・介護計画は「2025年度より先」を見なければならないのです。

このため構成員の多くから「2025年から先、医療・介護提供体制はどうあるべきなのか。その道筋を明確にしておくことで、次期医療・介護計画をきちんと作成できる」との強い要望が出されていました。2025年度から先、高齢者の「数」そのものは大きく変化しませんが、支え手となる現役世代が急速に減少していきます。医療・介護提供体制に関してみると「患者・利用者が増加し、ニーズが多様化する一方で、サービス提供人材の不足度合が急速に深刻化していく」ことになります。

水谷医療介護連携政策課長はこうした状況を踏まえて、ポスト2025年の医療・介護提供体制は、次の3つの柱を同時に実現する必要があると指摘。
(I)医療・介護を提供する主体の連携により、必要なときに「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護が地域で完結して受けられる

(II)地域に「健康・医療・介護等に関して気軽に相談できる専門職」やその連携が確保され、さらにそれを自ら選ぶことができる

(III)健康・医療・介護情報に関する安全・安心の情報基盤が整備されることにより、自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けることができる

このうち(I)の柱では、▼従来の「施設」と「在宅」という体系論を前提とせず、改めて 各種サービスが持つ機能に応じて、各機能を発揮できる制度の在り方▼認知症高齢者を住み慣れた自宅や地域で介護する観点からの、居宅サービス・地域密着型サービス(グループホームなど)の確保、ユニットケアの促進、医療介護連携の在り方▼サービスの質を確保しつつ、テクノロジーも活用し従事者の負担軽減が図られた医療・介護現場の実現—などを図る考えが提示されました。多様かつ複雑な医療・介護ニーズに応えるために、多様なサービス提供体制を柔軟に組み合わせて受給できる環境がイメージされます。

さらに、(II)こうした多様なサービスを「身近な専門家」がマネジメントすることを、(III)で複雑かつ多様なサービスが、てんでバラバラに提供されるのではなく、「見える化」したうえで体系的・統合的に提供されることを目指しています。

●「ポスト2025 年の医療・介護提供体制の姿」(素案)はこちら(今後の議論を踏まえて修文される)



こうした「ポスト2025年の姿」が描かれることを多くの構成員が歓迎。今後の医療計画・介護保険事業計画等策定の際の重要な参考資料に位置づけられる見込みです。例えば「2025年以降、●●の姿を目指すので、現時点から◆◆に手を付けておく必要がある」「2025年以降の姿は○○なので、今、◇◇を整備しすぎれば後に問題となる。少し手控えておこう」などと勘案していくイメージが浮かびます。

今後の意見とりまとめに向け、例えば▼介護分野への「オンライン資格確認等システム」の拡大などの方向を具体的に示してはどうか(安藤伸樹構成員:全国健康保険協会理事長)▼「健康・医療・介護等に関して気軽に相談できる専門職」について「かかりつけ医」を明示してはどうか(河本滋史構成員:健康保険組合連合会専務理事)▼医療についても「経営の大規模化」方向が示されているように見えるが危険である、修文すべき(加納繁照構成員:日本医療法人協会会長、渕野勝弘構成員:日本精神科病院協会常務理事)▼中小病院が、ケアマネジャーの医療知識を補う研修を行い、医療・介護サービス全体をコーディネートできる人材育成を図るべき(武久洋三構成員:日本慢性期医療協会名誉会長)—などの提案の声が出ています。



「総合確保方針」と「ポスト2025年の姿」は、まだ素案にとどまり、今後も議論を重ねて本年度中(2023年3月まで)に内容を確定します。



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