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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「病院等でのコロナ拡大防止のための検査」を行政検査として行う方法を病院・行政間で調整し、検査実施前に協議を—日慢協・橋本会長

2023.5.12.(金)

新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、「医療機関が行政から委託を受けて行う行政検査」(患者自己負担の3割部分を公費負担)が廃止され、行政検査は「都道府県等が実施する」もののみとなる—。

この点、医療機関や高齢者施設で、「感染拡大防止」のために感染周辺者に行うコロナ検査について「行政検査として実施するための運用方法」を都道府県・病院間で調整するとともに、病院でコロナ検査を実施するに当たっては「事前に行政・保健所と相談する」ようにしてほしい—。

日本慢性期医療協会の橋本康子会長は、会員に宛てて「5月8日以降の医療機関・高齢者施設内における院内・施設内感染拡大防止のための感染者周囲のスクリーニング検査に関して」を示し、こうした点を要請しました(日慢協のサイトはこちら)。

日慢協以外の、すべての医療機関でも同様に考えることができるため、参考になさってください。

コロナ5類移行にとどもなって「コロナ検査」の公費負担の考え方が見直された

5月8日に、コロナ感染症が「5類」並へ移行しました。段階的に「幅広い医療機関で対応」し、他の5類疾病(インフルエンザなど)の罹患患者との公平性を確保する(関連記事はこちら)ために、さまざまな制度見直しが行われています。

その一環として、コロナウイルスの検査について、5類移行後には公費負担が終了する(ただし重症化リスクが高い者が多く入院・入所する医療機関、高齢者施設、障害者施設において、集中的検査を地方自治体が実施する場合には行政検査として取り扱われる)—こととなりました。

しかし、この点について多くの医療機関が「不安」を抱えています。

5類に移行したからといって、コロナウイルスの性質が変わるわけではなく、引き続き「強い感染力」を持ち、高齢者・傷病に罹患している者などのハイリスク者では重篤化する可能性が高いままです。

一方、コロナ感染症は「罹患しても無症状である」患者も少なくありません。

このため、入院時・手術前などに「検査によるコロナ感染者のあぶり出し」をしなければ、「コロナ感染患者と分からないまま」に入院・手術等を実施→院内に蔓延→クラスター発生という事態につながる可能性が高くなります。

しかし「スクリーニング目的」の検査を保険診療の中で行う(入院患者全員に一律に検査を行う)ことは認められていません(関連記事はこちら)。

仮に「入院患者全員に一律に検査を行う」場合には、すべての診療を自由診療として患者の自己負担にしなければならなくなります(混合診療の禁止)が、現実的でないことは述べるまでもありません。

また、「病院の負担でコロナ検査を行う」ことも考えられますが、費用負担が莫大になり、そう簡単に決断できる手法でもありません。

こうした中で日慢協の橋本会長は、「行政検査としてのコロナ検査」には(1)保健所などの行政機関が行う検査(全額公費負担)(2)医療機関が行政から委託を受けて行う検査(患者負担の3割部分が公費負担)—の2つがあるが、5類移行後は「行政検査としてコロナ検査を行う場合には、前者(1)によることが必要になる」と分析(3月20日付の厚労省通知「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて(廃止)」で「都道府県等が医療機関へ行政検査を委託し、患者の自己負担分の公費支援を行う取扱い(上記(2))を終了する」と明示されたため)。

また、これまで病院団体と厚労省との折衝では、「感染者周辺への検査を行政検査として行う場合には、自治体による検査の必要性と検査範囲について、一定の判断の下、検査を行うことが必要である」、「一部自治体で、高齢者施設から衛生検査所に持ち込まれた検体を、すべて行政検査としているなど、前もって施設と自治体の間で委託契約を交わし、検査の必要性や対象について合理的な範囲で当該施設に判断を任せるような運用も可能となっている」などの回答が得られていることを紹介し、今後のコロナ検査に当たっては次のような点に留意することを強く求めています。

▽各都道府県において、他の病院関係者と協力し、行政と「今後の医療機関内・高齢 者施設内における感染者周辺の感染拡大防止のための検査を行政検査として実施するための運用方法」を調整してほしい

▽5月8日のコロナ5類以降の検査に関して「実施する前に行政・保健所と相談」してほしい



コロナ検査の取り扱いについては、多くの医療関係者が「大きな不安・疑問」を抱いていますが、上述の日慢協方針を参考に対応することが重要でしょう。



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