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診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

有床診、ベッド数は既に9万床を、施設数は2020年4月に6500を割るペースで減少―医療施設動態調査(2019年11月)

2020.2.4.(火)

有床診療所の減少スピードは依然としてペースを落としておらず、現在のペースが続けば今年(2020年)1月末に、すでにベッド数が9万床を切っており、同じく4月末には施設数が6500を割る計算である—。

こうした状況が、厚生労働省が1月31日に公表した医療施設動態調査(2019年11月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

有床診の施設数、現行ペースでは2020年4月末に6500を切る計算

厚労省は、毎月末の病院・診療所の施設数・病床数を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。昨年(2019年)11月末の状況を見ると、全国の医療施設は17万9479施設で、前月末から23施設減少しました。

このうち病院の施設数は、前月末から4施設減少し8288施設となりました。病院種類別に見ると、▼一般病院:7234施設(前月から4施設減少)▼精神科病院:1054施設(同増減なし)—などという状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3654施設で前月末から1施設減少、「地域医療支援病院」は619施設で前月末から2施設増加しました。

地域医療支援病院に関しては、今夏(2019年8月)に厚労省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」で承認要件の見直し内容が固められました。現在、(1)紹介患者への医療提供(かかりつけ医への逆紹介も含む)(2)医療機器の共同利用(3)救急医療の提供(4)地域の医療従事者への研修の実施―という4つの役割・機能が求められ、それぞれが「承認要件」(4要件)に落とし込まれています(すべての要件を満たさなければ地域医療支援病院として承認されない)。

検討会では、4要件に加えて、「地域(都道府県)の判断で、医師の少ない地域への医師派遣実施などのプラスアルファ要件を追加(厳格化)できる」方向が固まっています。早ければ近々、医療法改正案が国会に上程される見通しです。

また、2020年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会の論議では、「紹介なし外来患者からの特別負担徴収」を一般病床200床以上の地域医療支援病院に拡大する方向で最終調整が進んでいます。これらが地域医療支援病院の整備数にどのような影響を及ぼすのか、今後の動きに注目する必要があります。



一方、診療所に目を移してみると、医科診療所は10万2712施設で、前月末から9施設増加しました。無床の医科診療所の増加ペースが鈍化(前月末から28施設増加)し、さらに有床診療所が前月末から19設減少し、6600施設となりました。
 
有床診療所の施設数は、2年前(2017年11月末)には7236(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年11月末)には6893(厚労省のサイトはこちら)であったので、2017年11月末から2018年11月末までの1年間で343施設減少、そこから昨年(2019年)11月末までの1年間で293施設減少しています。有床診療所の施設数は、2018年11月末以降、次のように推移しています。

▼2018年11月末:6893施設
↓(26施設減)
▼2018年12月末:6867施設
↓(31施設減)
▼2019年1月末:6836施設
↓(30施設減)
▼2019年2月末:6806施設
↓(32施設減)
▼2019年3月末:6774施設
↓(44施設減)
▼2019年4月末:6730施設
↓(24施設減)
▼2019年5月末:6706施設
↓(9施設減)
▼2019年6月末:6697施設
↓(16施設減)
▼2019年7月末:6681施設
↓(19施設減)
▼2019年8月末:6662施設
↓(18施設減)
▼2019年9月末:6644施設
↓(25施設減)
▼2019年10月末:6619施設
↓(19施設減)
▼2019年11月末:6600施設

この1年間は、1か月当たり「24施設強」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、今年(2020年)4月末に6500施設を割る計算です(先月までより1か月早いペース)。

有床診のベッド数、現行ペースでは2020年1月末に9万床を切っている見込み

次に医療施設の病床数(ベッド数)を見てみましょう。医療施設全体のベッド数は、昨年(2019年)11月末には161万8303床で、前月末から933床の大幅減少となりました。

このうち病院の病床数は152万7999床で、前月末から709床減少。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万8500床(前月末から65床減少)▼療養病床:30万7002床(同504床減少)▼精神病床:32万6312床(同270床減少)—などとなっています。

一方、有床診療所の病床数は前月末から224床減少し、9万248床となりました。2年前(2017年11月末)には9万8537床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年11月末)には9万4270床(厚労省のサイトはこちら)であったので、2017年11月末から2018年11月末までの1年間で4267床減少、そこから今年(2019年)10月末までの1年間で4022床減少しています。2018年10月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2018年11月末:9万4270床
↓(374床減)
▼2018年12月末:9万3896床
↓(379床減)
▼2019年1月末:9万3517床
↓(448床減)
▼2019年2月末:9万3069床
↓(470床減)
▼2019年3月末:9万2599床
↓(669床減)
▼2019年4月末:9万1930床
↓(320床減)
▼2019年5月末:9万1610床
↓(112床減)
▼2019年6月末:9万1498床
↓(212床減)
▼2019年7月末:9万1286床
↓(218床減)
▼2019年8月末:9万1068床
↓(243床減)
▼2019年9月末:9万825床
↓(353床減)
▼2019年10月末:9万472床
↓(224床減)
▼2019年11月末:9万248床

この1年間では、1か月当たり「335床強」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、今年(2020年)1月末には9万床を切る計算で(先月までよりも1か月早いペース)、すでに9万床を切っている可能性も高いと考えられます。



厚労省は、2018年度の前回診療報酬(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営をサポートするために、次のような報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

▼診療報酬での対応:介護サービスを提供する有床診では、高い入院基本料(入院基本料1-3)の要件を緩和し、さらに要介護者の受け入れを【介護連携加算】(新設、1日につき38点または192点)として評価する
 
▼介護報酬での対応:利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしているものとみなす



しかし、医療施設動態調査を見ると、これらの効果が十分とは言えない状況です。2020年度の次期診療報酬改定に向けては、中央社会保険医療協議会において▼「有床診療所の機能やスタッフ配置状況などを勘案した評価(例えば加算の新設や拡充など)」を行う▼「急性期病棟からの転院患者受け入れを評価する初期加算」の引き上げ等を行う▼「他医療機関等の管理栄養士と連携した栄養指導」を評価する―などの方針が示されています。

山間地域や島しょ部などでは、地域包括ケアシステムの構成要素としてはもちろん、重要な「入院医療機関」として有床診が非常に重要です。その経営を下支えするために、2020年度の次期診療報酬改定の効果がどう出るのか、今後の状況を詳しく見ていく必要があります。



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