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潰瘍性大腸炎や急速進行性糸球体腎炎、全身性炎症反応症候群の診断等、新検査手法を保険適用―厚労省

2022.5.10.(火)

潰瘍性大腸炎やクローン病等の病態把握等を行う「カルプロテクチン」検査、急速進行性糸球体腎炎の診断補助する「MPO-ANCA」検査、全身性炎症反応症候群の重症度評価する「IL-6」検査について、新検査手法でも点数算定可能とする―。

厚生労働省は4月28日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。5月1日から適用されています。

潰瘍性大腸炎等の病態把握するカルプロテクチン、イムノクロマト法等でも算定可

潰瘍性大腸炎(告示番号97)やクローン病(告示番号96)は指定難病に指定される難治性の希少疾病です。大腸の粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成し、血便、粘血便、下痢、血性下痢などが生じる疾患で、原因は明らかになっていません。ただし、炎症が生じている腸上皮において「好中球が『カルプロテクチン』というタンパク質を放出している」ことが知られています。

このため「糞便中のカルプロテクチン量」を測定・把握することで、潰瘍性大腸炎の病態・活動性を把握することが可能となり、例えば「カルプロテクチンの量が少ない場合には、炎症性腸疾患が寛解と考えられる」などの判定補助が可能になるのです。

そこで、診療報酬でもD003【糞便検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(270点)として検査料が設定されており、解釈通知では算定要件等を次のように整理しています。

(ア)慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助目的
→ELISA法、FEIA法、LA法により測定した場合に算定可
→▼腸管感染症が否定される▼下痢、腹痛や体重減少などの症状が3か月以上持続する▼肉眼的血便が認められない—患者に対し、慢性的な炎症性腸疾患が疑われる場合の内視鏡前の補助検査として実施する(要旨を診療録・レセプトの摘要欄に記載)

(イ)潰瘍性大腸炎またはクローン病の病態把握目的
→潰瘍性大腸炎ではELISA法、FEIA法、金コロイド凝集法、イムノクロマト法、LA法により測定した場合に3か月に1回を限度に算定可
→クローン病ではFEIA法により測定した場合に3か月に1回を限度に算定可
→医学的な必要性から、本検査を1か月に1回行う場合には、その詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する

(ウ)慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助・病態把握を目的に、本検査とD313【大腸内視鏡検査】を同一月中に併せて行った場合は「主たるもの」のみ算定する



今般、(ア)の「慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助目的」の検査方法に「イムノクロマト法」を追加し、(イ)のうち「クローン病の病態把握目的」の検査方法に「イムノクロマト法」と「ELISA法」が追加されることになりました。結果、算定要件等は次のように見直されています。

(ア)慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助目的
→ELISA法、FEIA法、LA法、イムノクロマト法により測定した場合に算定可
→▼腸管感染症が否定される▼下痢、腹痛や体重減少などの症状が3か月以上持続する▼肉眼的血便が認められない—患者に対し、慢性的な炎症性腸疾患が疑われる場合の内視鏡前の補助検査として実施する(要旨を診療録・レセプトの摘要欄に記載)

(イ)潰瘍性大腸炎またはクローン病の病態把握目的
→潰瘍性大腸炎ではELISA法、FEIA法、金コロイド凝集法、イムノクロマト法、LA法により測定した場合に3か月に1回を限度に算定可
→クローン病ではFEIA法、ELISA法、イムノクロマト法により測定した場合に3か月に1回を限度に算定可
→医学的な必要性から、本検査を1か月に1回行う場合には、その詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する

(ウ)慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助・病態把握を目的に、本検査とD313【大腸内視鏡検査】を同一月中に併せて行った場合は「主たるもの」のみ算定する(変更なし)

急速進行性糸球体腎炎の診断補助する「MPO-ANCA」検査、FAI法でも算定可

何らかの原因で、抗体(免疫タンパク質)が自分自身の細胞を攻撃する事態が生じます(自己免疫疾患)。例えば関節リウマチや全身性エリトマトーデス(SLE)、強皮症などが有名です。

診療報酬でも、こうした自己免疫疾患を適切に診断するためにD014【自己抗体検査】が設定され、その1つに急速進行性糸球体腎炎の診断等を行う「30 抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)」(258点)があります。

解釈通知では、この検査について、▼ELISA法▼CLEIA法▼ラテックス免疫比濁法—によって急速進行性糸球体腎炎の診断・経過観察のために測定した場合に算定できる」ことが示されていますが、今般、新たに「FAI法」による測定でも本点数を算定できる旨が明らかにされました。

全身性炎症反応症候群の重症度評価する「IL-6」検査、CLEIA法でも算定可

D015【血漿蛋白免疫学的検査】は、血液の血漿中に含まれるタンパク質を検査することで炎症性疾患や体内組織崩壊などの診断を補助するものです。

本検査の1つである、全身性炎症反応症候群の患者(疑い患者を含む)の重症度判定を補助する「17インターロイキン-6(IL-6)」(170点)について、解釈通知では、▼全身性炎症反応症候群の患者(疑い患者を含む)の重症度判定補助を目的に、血清または血漿を検体としてECLIA法またはCLIA法により測定した場合に、一連の治療につき2回に限り算定可▼検査実施の年月日をレセプトに記載する▼医学的な必要性から一連の治療につき3回以上算定する場合には、詳細な理由をレセプトの摘要欄に記載すること—とされています。

今般、新たに「CLEIA法」による測定でも、本点数を算定できる旨が明らかにされています。



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