潰瘍性大腸炎等の診断補助・病態把握のための「カルプロテクチン量」測定、検査手法を拡大―厚労省
2020.10.2.(金)
潰瘍性大腸炎等の診断補助・病態把握のための「カルプロテクチン量」測定について、新たにLA法などの検査手法も保険診療の中で実施することを認める―。
厚生労働省は9月30日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました。10月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。
潰瘍性大腸炎等の検査手法、2017年から順次拡大
潰瘍性大腸炎・クローン病といった慢性的な炎症性腸疾患の診断を補助する「カルプロテクチン(糞便)」(D003【糞便検査】の9、276点)に関し、留意事項の見直しが行われます。
潰瘍性大腸炎(告示番号97)、クローン病(告示番号96)は指定難病に指定され、大腸の粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成し、血便、粘血便、下痢、血性下痢などが生じる疾患です。これら炎症性腸疾患の原因は現在のところ不明ですが、炎症が生じている腸上皮において「好中球が『カルプロテクチン』というタンパク質を放出している」ことが知られています。そこで、2017年6月に、糞便中のカルプロテクチン量を測定する検査(当初は病態把握のための検査、後に診断補助のための検査)が保険適用されました(D003【自己抗体検査】の「カルプロテクチン(糞便)」、関連記事はこちら)。
カルプロテクチン量を測定するための検査手法は、これまでに次のように順次拡大されてきています。
▽慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)診断補助を目的とする場合
→ FEIA法(2017年12月から)
▽潰瘍性大腸炎の病態把握を目的とする場合
→ ELISA法(2017年6月から)、FEIA法(2017年12月から)、金コロイド凝集法(2020年5月から)
さらに今般、次の新たな検査手法でカルプロテクチン量を測定することが保険診療の中で可能になりました。上記従前の検査手法と並び、留意事項に沿って実施した場合に所定の検査点数(276点)の算定が可能となります。
▽慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)診断補助を目的とする場合
→LA法(2020年10月から保険適用)
▽潰瘍性大腸炎の病態把握を目的とする場合
→イムノクロマト法(2020年10月から保険適用)、LA法(同)
検査手法の拡大によって、慢性的な炎症性腸疾患で苦しむ患者の診断補助・病態把握が一層進むことが期待されます。
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