20種類の呼吸器感染症病原体を高精度・短時間に同定する新検査を11月から保険適用—厚労省
2019.11.5.(火)
インフルエンザウイルスなど20種類の呼吸器感染症病原体のいずれに感染しているのかを、短時間で極めて正確に判定できる新たな検査法を新たに保険適用する―。
厚生労働省は10月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。今年(2019年)11月1日から保険適用されています。
冬季には感冒やインフルエンザウイルス感染症など、多くの国民が呼吸器感染症に罹患します。その際、病原体によって治療法も異なるため、「どのような病原体に感染しているのか」の同定が重要となります。
今般、呼吸器感染症病原体20種類の同定を短時間(1時間)に、極めて高精度に行える新たな検査法の有用性が10月18日の中央社会保険医療協議会・総会で確認され、保険適用が認められたものです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
具体的には、D023【微生物核酸同定・定量検査】に、新たに「ウイルス・細菌核酸多項目同時検出」の項が設けられ、次のような要件に沿って算定することになります。
本検査は、保険診療上、「感染症診療を専ら担当する常勤医師(専ら感染症診療経験が5年以上ある者に限る)が1名以上」、または「臨床検査を専ら担当する常勤医師(具体的には勤務時間の大部分、検体検査結果の判断補助を行うとともに、検体検査全般の管理・運営、院内検査に用いる検査機器および試薬の管理についても携わる医師を意味し、この経験が5年以上ある者に限る)が1名以上」配置されている保険医療機関に限り実施できる。
本検査は、A300【救命救急入院料】、A301【特定集中治療室管理料】、A301-4【小児特定集中治療室管理料】、A302【新生児特定集中治療室管理料】、A303【総合周産期特定集中治療室管理料】の2「新生児集中治療室管理料」を算定する患者で、「重症呼吸器感染症と診断した、または疑われる場合」に、病原微生物の検索のために使用した場合は1回に限り算定できる。
本検査は、マイクロアレイ法(定性)によって鼻腔咽頭拭い液中の▼インフルエンザウイルス▼コロナウイルス▼パラインフルエンザウイルス▼ヒトメタニューモウイルス▼アデノウイルス▼RSウイルス▼ヒトライノウイルス/エンテロウイルス▼マイコプラズマ・ニューモニエ▼クラミジア・ニューモニエ▼百日咳菌―の核酸検出を同時に行った場合に、以下の点数を合算した点数(963点)を準用して算定できる。
【準用する点数】
▽D012【感染症免疫学的検査】の23「インフルエンザウイルス抗原定性」(143点)
▽D012【感染症免疫学的検査】の26「D-アラビニトール、クラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体、クラミジア・トラコマチス抗原定性」(160点)
▽D023【微生物核酸同定・定量検査】の6「マイコプラズマ核酸検出」(300点)
▽D023【微生物核酸同定・定量検査】の8「HCV核酸検出、HPV核酸検出、HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)、百日咳菌核酸検出」(360点)
この場合、別に実施した次の各病原微生物に係る抗原、抗体および核酸検出検査(定性・定量を問わず)は別に算定できない。ただし、D026【検体検査判断料】を算定する場合は、6「微生物学的検査判断料」の所定点数(150点)が算定可能である。
【別に算定できない病原微生物】
▼インフルエンザウイルス
▼パラインフルエンザウイルス
▼ヒトメタニューモウイルス
▼アデノウイルス
▼RSウイルス
▼マイコプラズマ・ニューモニエ
▼クラミジア・ニューモニエ
▼百日咳菌
なお、検査を実施した年月日をレセプトの摘要欄に記載することが求められる。
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