肝臓の線維化ステージ診断のためのオートタキシン検査、6月から保険収載—厚労省
2018.6.1.(金)
D007【血液化学検査】に、肝臓の線維化進展の診断補助を目的とした新たな検査項目【オートタキシン】を追加する―。
厚生労働省は5月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(中医協資料はこちら(厚労省サイト))。6月1日から適用されます。
オートタキシンは、全身の細胞で産生され、肝臓で代謝される酵素(タンパク質)の一種で、「慢性肝炎」「肝硬変」などにより反復的・持続的に肝臓が線維化すると、血液中のオートタキシン濃度が上昇することが分かっています。
このため、オートタキシン濃度の測定によって肝臓の線維化ステージが診断でき、▼薬剤の選択▼肝がんサーベイランスの頻度▼発がん抑制と早期発見の適正化—が期待でき、5月23日の中央社会保険医療協議会・総会で「保険収載」が認められました(関連記事はこちら)。
具体的には、サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法によって、「慢性肝炎」または「肝硬変の患者」(疑われる患者を含む)に対し、「肝臓の線維化進展の診断補助」を目的に血清中のオートタキシンを測定した場合、D007【血液化学検査】の48「Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体」(194点)に準じて算定できます。
ただし、本検査と、D007【血液化学検査】の▼37「プロコラーゲン-III-ペプチド(P-III-P)」(140点)▼38「IV型コラーゲン」(143点)▼40「IV型コラーゲン・7S」(148点)▼44「ヒアルロン酸」(184点)▼48「Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体」(194点)—を併せて実施した場合は、「主たるもののみ」算定することが可能です。
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