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かかりつけ医機能の強化、働き方改革の推進など、2018年度診療報酬改定の効果を調査―中医協総会(2)

2018.5.24.(木)

 2020年度の次期改定の基礎資料を得るために、今年度(2018年度)と来年度(2019年度)に▼かかりつけ医機能等の外来医療▼在宅医療と訪問看護▼医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進▼後発医薬品の使用促進—などについて、2018年度診療報酬改定の効果・影響を調査する―。

5月23日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった方向も固められています。

5月23日に開催された、「第394回 中央社会保険医療協議会 総会」

5月23日に開催された、「第394回 中央社会保険医療協議会 総会」

 

2018年度改定の効果・影響を調べ、2020年度改定につなげる

 診療報酬改定は2年に1度行われます(消費増税対応などで臨時に中間年に行われることもある)。その際、前回の改定が医療現場にどのような効果・影響を及ぼしているのかを調査し、「思うように効果が出ていない」のであればテコ入れを行い、「狙いとは異なる方向に進んでいる」ことが分かれば軌道修正を行う、などの対応が行われます。このための調査が「結果検証調査」(診療報酬改定の結果検証に係る特別調査)で、通常、(1)改定の効果・影響が出やすい項目は改定年度(今回であれば2018年度)に実施(2)効果が現れるまでに時間のかかる項目は改定の翌年度(同2019年度)に実施―という2段階で実施されます。

 2018年度改定に係る結果検証調査は、次のように実施されることになりました。

【2018年度調査】
▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査(その1)
▽在宅医療と訪問看護に係る評価等に関する実施状況調査
▽医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査(その1)
▽後発医薬品の使用促進策の影響および実施状況調査

【2019年度調査】
▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査(その2)
▽医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査(その2)
▽かかりつけ歯科医機能の評価や歯科疾患管理料の評価の見直しの影響および歯科疾患の継続的管理等の実施状況調査
▽かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響および実施状況調査
▽後発医薬品の使用促進策の影響および実施状況調

「かかりつけ医等の外来医療に係る評価」については、2018年度改定で「地域包括診療料などの評価充実(かかりつけ患者が在宅移行した場合に、訪問診療等と継続する医療機関の評価充実)」や「かかりつけ医機能を持つ医療機関における初診時の評価充実(機能強化加算の新設)」などが行われています(関連記事はこちら)。こうした見直しの効果・影響を、次のように2年度にかけて詳しく調べます。

【2018年度調査】
 ▼紹介状なしに200床以上の病院を受診した場合の定額負担の徴収状況、外来機能分化の取組状況▼地域包括診療加算、小児かかりつけ診療料、機能強化加算等の算定状況▼初診外来における診察の実施状況・患者状態▼かかりつけ医機能を有する医療機関の普及状況▼かかりつけ医機能を有する医療機関と関係医療機関等との連携状況▼外来から在宅への患者の移行状況▼小児かかりつけ医の地域の関係機関との連携状況▼急性感染症の小児患者に対する抗菌薬の使用状況・患者状態▼残薬、重複・多剤処方に係る医療機関と薬局の連携状況▼オンライン診療の実施状況や患者背景、導入理由等(2019年度調査の予備的調査)—など

【2019年度調査】
 ▼生活習慣病の患者の診療状況や特定健診・保健指導を行う保険者への情報提供実績、遠隔モニタリングや多職種を活用した効果的な疾病管理に資する取組▼オンライン診療料、オンライン医学管理料等の算定状況▼オンライン診療の実施状況や患者背景、導入理由、オンライン診療を実施していない理由▼向精神薬の医薬品の長期処方・多剤処方の状況▼要介護・要支援者に対する維持期・生活期リハビリテの介護保険への移行状況—など

 
また「在宅医療・訪問看護」については、▼在宅医療・訪問看護の実施状況、対象患者の状態、居住形態、診療・看護の所要時間▼ICT等を用いた関係機関間の連携状況▼在宅患者訪問診療料(I)・(II)(前者は通常の訪問診療、後者は他医療機関から依頼されて実施する訪問診療)、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、継続診療加算(いわばネットワークで実施する在宅医療)、包括的支援加算(いわば通院困難な患者への在宅医学管理)の算定状況▼在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、在宅ターミナルケア加算の算定状況—などを詳しく調べます(関連記事はこちら)。

 
他方、「働き方改革」については、2018年度には▼負担軽減に関する加算の届出状況と職員体制(常勤配置等)と勤務状況(医師、看護職員の勤務時間等)、負担軽減策の取組状況▼診療科別の負担軽減策の取組状況、業務移管・共同化の状況と勤務状況、その効果—などを、2019年度には▼勤務環境改善の体制の実施状況、具体的な計画内容と評価の実施状況▼ICTを用いた情報共有・連携の実施状況▼医師事務作業補助体制加算、急性看護補助体制加算、看護補助体制加算(負担軽減の項目)の算定状況—などを調査します(関連記事はこちら)。

 
さらに後発医薬品については、毎年度、使用状況とともに「使用促進を阻むハードルは何か」といった点も調べられており、今回も継続して調査が行われます。

 
 ところで、2018年度診療報酬改定では、「入院基本料等の再編・統合(7対1・10対1一般病棟入院基本料を7つの急性期一般病棟入院料に再編するなど)」といった、極めて大きな見直しが行われました(関連記事はこちらこちら)。しかし、この状況や影響などは調査項目に入っていませんが、なぜなのでしょう。

これは、いわば「役割分担」に起因するものです。入院医療に関する改定論議は「入院医療等に関する調査・評価分科会で詳細な調査を行い、技術的な課題を整理した上で、中医協総会で改定内容を議論し、決定する」こととなっており、調査は「結果検証調査」ではなく、「入院医療に関する調査」として実施されるのです。

 
 2018年度調査は、夏(8,9月)に調査票を固めて、10月から調査実施。年明け1月から順次、調査結果が中医協総会に報告されます。また2019年度調査は、来年(2019年)7-9月に調査を行い、10月以降、順次、調査結果が報告されていきます。

 
 なお、総会に先立って実施された中医協「診療報酬改定結果検証部会」では、「結果検証調査のデータを、研究目的で第三者に提供すべきではないか」との提案が改めてなされましたが、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室の矢田貝泰之室長は「調査対象の医療機関等から『第三者提供は本当になされないのか』といった問い合わせもある。調査項目に『なぜ●●を実施しないのか』と理由を問うセンシティブなものもある」ことを説明し、慎重な検討が必要との見解を示しています。

乳がん治療における抗がん剤「オラパリブ」の効果を判定する機器を保険導入

 5月23日の中医協総会では、次の医療機器と臨床検査について保険収載が認められています(2018年6月保険収載予定)。

【新医療機器】(2018年6月保険収載予定)

▽内転型痙攣性発声障害における症状の改善に用いる「チタンブリッジ」(償還価格は20万円、米国で未承認であり、日本における薬事審査期間(申請者側)の基準も満たしているため『迅速な保険導入による加算』の対象である)(関連記事はこちら
中医協総会(2)1 180523
 
▽前立腺がんの放射線治療の際に、直腸の吸収線量を減少させるため直腸前壁を前立腺から離すために用いる合成吸収性材料である「SpaceOARシステム」(償還価格は19万2000円)
中医協総会(2)2 180523
 
▽全血から抽出したゲノムDNA中の生殖細胞系列のBRCA1・BRCA2遺伝子変異を検出し、抗がん剤「オラパリブ」(販売名:リムパーザ錠)の乳がん患者への適応を判定するための補助に用いる「BRACAnalysis診断システム」(特定保険医療材料とせず、新規技術として評価。BRCA1・BRCA2遺伝子ともに、D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】2100点、D006-4【遺伝学的検査】の「3 処理が極めて複雑なもの」8000点を準用する)
中医協総会(2)3 180523
 
【新たな臨床検査】(2018年6月保険収載予定)

▽血清中のオートタキシンを、サンドイッチ法を用いたEIA法(FEIA法)で測定し、肝臓の線維化進展の診断を補助する「Eテスト『TOSOH』II(オートタキシン)」(D007【血液化学検査】の「48 Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体」194点を準用する)
中医協総会(2)4 180523
 
 
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【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定

先駆け審査指定制度の対象である「甲状軟骨を固定するチタンブリッジ」を薬事承認