カルニチン欠乏症診断のための検査、2月から保険収載—厚労省
2018.2.2.(金)
D007【血液化学検査】に、カルニチン欠乏症の診断などを行う【遊離カルニチン及び総カルニチン】を追加する―。
厚生労働省は1月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら(通知)とこちら(中医協資料))。2月1日から適用されています。
先天性代謝異常の診断であれば月1回、それ以外は6か月に1回、検査点数を算定可能
カルニチンは、エネルギー産生や不要な有機酸排泄などに必要なアミノ酸で、欠乏すると▼意識障害▼痙攣▼横紋筋融解症▼脳症▼低血糖▼肝機能異常▼頻回嘔吐▼精神・運動発達の遅延▼心肥大・心筋症・心機能低下▼突然死—などの重篤な症状を引き起こします。
カルニチン欠乏症の原因は、▼先天性代謝異常▼肝硬変や肝不全▼食思不振症▼高齢者などにおける低栄養▼腎不全患者▼一部の牛乳アレルゲン除去調製粉乳などでの栄養管理▼カルニチン欠乏を起こす薬剤投与(バルプロ酸、ピボキシル基含有抗菌薬、抗がん剤など)—などさまざまです。このため、こうしたリスクのある患者ではカルニチン欠乏症を疑い、血中カルニチン濃度を測定することが重要であるため、今般、D007【血液化学検査】の1項目として【遊離カルニチン及び総カルニチン】の保険収載が認められました(同日、1月31日の中央社会保険医療協議会総会で承認)。
具体的には、血中の遊離カルニチン・総カルニチンの濃度を酵素サイクリング法で測定した場合、D007【血液化学検査】の「24 LDアイソザイム1型」(95点)を算定できます。
ただし、同一検体について「本検査」と「先天性代謝異常症検査」(D010【特殊分析】の8、1176点)とを併せて行った場合は、「主たるもの」のみ算定できます。
検査目的等に応じて算定できる回数が次のように異なる点に留意が必要です。
▼先天性代謝異常症の診断補助・経過観察のために実施:月1回を限度
▼静脈栄養管理・経腸栄養管理を長期に受けている筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症・小児の患者、人工乳・特殊治療用ミルクを使用している小児患者、バルプロ酸ナトリウム製剤投与中の患者、Fanconi症候群の患者、慢性維持透析の患者におけるカルニチン欠乏症の診断補助・経過観察のために実施:6か月に1回を限度
なお、本検査の実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守することが求められます。
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