急速進行性糸球体腎炎の治療方針決定のため、新検査方法を9月から保険収載―厚労省
2017.9.4.(月)
抗がん剤である塩酸イリノテカンによる重篤な副作用が発生しやすい「UDPグルクロン酸転移酵素活性が減少している患者」の鑑別補助に用いる【UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型】や、急速進行性糸球体腎炎患者の治療法決定のための【MPO-ANCA】の測定について、保険診療上、新たな検査方法を9月1日から認める―。
厚生労働省は8月31日に、このような内容の通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出しました(厚労省のサイトはこちら(通知)とこちら(中医協資料))。
既存の検査方法に勝るとも劣らない精度があることを中医協で確認
「UDPグルクロン酸転移酵素活性が減少している患者」では、抗がん剤「塩酸イリノテカン」の代謝物質が尿や糞便中に排泄されにくく、血中にとどまることから重篤な副作用(白血球減少や下痢など)の発現率が高まります。そこで、厚労省は「UDPグルクロン酸転移酵素活性が減少している患者」の鑑別を補助するために、D006-7【UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型】を保険収載。これまで『インベーダー法』による測定を行った場合に、抗がん剤「塩酸イリノテカン」投与方針決定までの間に1回を限度として2100点を算定することを認めています。
今般、「PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法」による測定でも、従前の方法と高い一致率が確認されたことを受け、8月23日の中央社会保険医療協議会で新測定方法として保険収載が認められたものです。
また、急速に腎障害が進行する「急速進行性糸球体腎炎の患者」の60-70%では、抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)が陽性であると報告されており、急速進行性糸球体腎炎患者にはMPO-ANCAの迅速な測定が治療方針決定・早期治療介入につながります。そこで厚労省は「MPO-ANCAの迅速測定」を行うために、D014【自己抗体検査】27の中で『抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)』 を保険収載。これELISA法▼CLEIA法―によって、急性進行性糸球体腎炎の診断・経過観察のために測定した場合に276点を算定することを可能としています。
今般、「ラテックス免疫比濁法」による測定でも、従前の方法と同等の感度・特異度を有することや、汎用自動分析装置により短時間で測定結果が得られることを受け、8月23日の中医協総会で新たに保険収載が認められています。
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