「画期的な抗がん剤」治療の効果を確認する遺伝子検査を12月から保険収載—厚労省
2018.12.4.(火)
D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「マイクロサテライト不安定性検査」について、「局所進行もしくは転移が認められた、標準的な治療が困難な固形がん」治療において、画期的な抗がん剤「キイトルーダ」の効果があるかどうかの判断に用いることを認める。また、D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】の中に、新たに「FLT3遺伝子検査」を加え、急性期白血病治療において、画期的な抗がん剤「ゾスパタ」の効果があるかどうかの判断に用いることを認める―。
厚生労働省は11月30日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら(通知)とこちら(中医協資料))。12月1日から適用されています。
局所進行性・転移性の固形がん患者にキイトルーダの効果があるかを判断
D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」のうち、「マイクロサテライト不安定性検査」は、これまで、「家族性非ポリポージス大腸がん」の診断を目的とする場合のみ保険点数(2100点)の算定が可能でした。今般、「標準治療終了後の、局所進行性または転移性の固形がん患者」に対して本検査を実施することで、画期的な抗がん剤「ペムブロリズマブ」(販売名:キイトルーダ点滴静注20mg・同100mg)の効果の有無判定が補助されることが確認され、中央社会保険医療協議会・総会で保険適用が了承されたものです(関連記事はこちら)。がん組織のDNAにおいて高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)が検出された場合、本剤の効果が期待できます。
本検査は、▼家族性非ポリポージス大腸がんの診断目的の場合▼局所進行もしくは転移が認められた「標準的な治療が困難な固形がん」の薬剤(キイトルーダ)治療方針の選択を目的とする場合—に、本検査実施後の、もう一方の目的で実施したときでも、別に「1回に限り」算定が可能です。
再発等した急性骨髄性白血病にゾスパタの効果があるかを判断
「FLT3遺伝子検査」は、「初回治療後に再発または未寛解の急性骨髄性白血病患者」(急性前骨髄性白血病を除く)に対し、画期的な抗がん剤「ギルテリチニブフマル酸塩」(販売名:ゾスパタ錠40mg)の効果があるか否かを判断する検査です。DNA中のDNA内のFLT3遺伝子における縦列重複(ITD)またはチロシンキナーゼ領域(TKD)のいずれかに変異があれば、本剤の効果が期待されるのです(関連記事はこちら)。
中医協総会では、「FLT3遺伝子検査」をD006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】として保険収載することを了承しました。
本検査は、「再発または難治性の急性骨髄性白血病」(急性前骨髄性白血病を除く)の骨髄液・末梢血を検体として、PCR法およびキャピラリー電気泳動法によって、抗悪性腫瘍剤(ゾスパタ)治療選択を目的として、FLT3遺伝子の縦列重複(ITD)変異またはチロシンキナーゼ(TKD)変異の評価を行った場合、患者1人について1回に限り、D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】の所定点数の2回分(2100点×2=4200点)を算定できます。
ただし、▼D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」▼D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】▼D006-6【免疫関連遺伝子再構成】—のうち、いずれかを「同一月中」に合わせて実施した場合には、主たるもののみ算定することになります。
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