Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断を的確に行う新検査方法を7月1日から保険適用―厚労省

2020.7.1.(水)

指定難病の1つである抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断を的確に行うための新検査方法を保険適用する―。

厚生労働省は6月30日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました。7月1日から適用されています。

APSの診断基準となる検査項目を網羅的に測定できる新検査法

指定難病の1つである抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome、APS)は、血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の動脈血栓症(脳梗塞など)や静脈血栓症(下肢の深部静脈血栓症など)、習慣流産などの妊娠合併症をきたす疾患です。根治療法は未確立で、病態に応じて抗凝固療法やステロイド投与などが行われており、治療が長期間にわたるため、重症の場合には医療費助成の対象となります(指定難病の告示番号48)。

本疾患と診断されるためには、次の臨床基準・検査基準の双方を満たすことが求められます。
【臨床基準】▼血栓症▼妊娠合併症―が1項目以上存在する

【検査基準】次の検査項目のうち1項目以上が存在する
(1)ループスアンチコアグラントを12週間以上の間隔をおいて2回以上検出
(2)中等度以上の力価のIgG型またはIgM型のaCL(抗カルジオリピン抗体)を12週間以上の間隔をおいて2回以上検出
(3)中等度以上の力価のIgG型またはIgM型の抗β2-GPI(グリコプロテイン)抗体を12週間以上の間隔をおいて2回以上検出(我が国では抗カルジオリピンβ2-GPI複合体抗体を用いる)

今般、これら検査項目を網羅的に測定できる手法が開発され、「見落とし」リスクを低下することが可能となりました。6月17日の中央社会保険医療協議会・総会でも、その有用性が確認され、7月1日から保険適用することが了承されました(抗リン脂質抗体検査(抗カルジオリピンIgG/IgM抗体、及び抗β2グリコプロテインI IgG/IgM抗体の測定))。これを受け、今般、保険診療の中で本検査を行った場合の点数算定等について整理が行われたものです。

本検査を、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLIA法を用いた免疫学的検査で実施した場合には、「D014【自己抗体検査】の『27 抗カルジオリピン抗体』の3回分の点数(696点=232点×4)」を準用して、一連の治療につき2回に限り算定することが可能です。

また、D014【自己抗体検査】の「25 抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI複合体抗体」(223点)、同じく「27 抗カルジオリピン抗体」(232点)、本検査(696点)のいずれか2つ以上を併せて実施した場合には「主たるもの」のみ算定が可能です。



関連して、検査点数算定の留意事項通知について、次のような見直しも行われています。

▽D007【血液化学検査】の「46 オートタキシン」(194点、肝臓の繊維化進展状況に関する検査)について、新たに「化学発光酵素免疫測定法」で実施した場合にも診療報酬請求を認める(保険診療において「サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法」または「化学発光酵素免疫測定法」による測定が可能である)

▽D023【微生物核酸同定・定量検査】の「13 HCV核酸定量」(437点、C型肝炎の診断等に関する検査)について、新たに「TMA法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法」で実施した場合にも診療報酬請求を認める(保険診療において▼分岐DNAプローブ法▼PCR法▼TMA法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法―による測定が可能である)

病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

2020年度診療報酬改定の影響調査、新型コロナの影響も踏まえて慎重実施・分析を―中医協総会(2)
2020年度機能評価係数IIの内訳、「自院の係数」と「競合病院の状・全体の分布」との比較が最重要―中医協総会(1)

潰瘍性大腸炎・クローン病の「活動期」を把握する新検査法を6月1日から保険適用―厚労省
潰瘍性大腸炎の病態把握を目的とする新検査法、5月から保険適用—厚労省
20種類の呼吸器感染症病原体を高精度・短時間に同定する新検査を11月から保険適用—厚労省
「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」の診断・治療効果判定を補助する検査を保険適用—厚労省
深在性真菌感染症の治療法選択等に用いる「(1→3)-β-D-グルカン」検査、8月から検査手法拡大—厚労省
昨冬に保険収載された「FLT3遺伝子検査」、点数算定の取り扱いを一部訂正—厚労省
骨粗鬆患者への薬剤治療方針選択を補助する検査、7月から検査手法を拡大—厚労省
大規模な院内感染を引き起こすCDI、鑑別診断のための検査法を2019年4月から保険収載—厚労省
急性白血病等の治療法選択に当たり、新たな遺伝子検査を、2019年2月から保険収載—厚労省
「膀胱がんの再発」「褐色細胞腫」を診断する新たな検査を、2019年1月から保険収載—厚労省
「画期的な抗がん剤」治療の効果を確認する遺伝子検査を12月から保険収載—厚労省
ヒト精巣上体蛋白4や淋菌核酸検出など、11月から新たな検査手法を保険診療に追加—厚労省
天疱瘡と水疱性類天疱瘡との鑑別診断補助のための新検査を10月から保険収載—厚労省
骨粗鬆症治療における薬剤治療方針の選択に当たり、新検査を9月から保険収載—厚労省
大腸がんの治療法選択等に重要なBRAF遺伝子検査、8月から保険収載—厚労省
肝臓の線維化ステージ診断のためのオートタキシン検査、6月から保険収載—厚労省
カルニチン欠乏症診断のための検査、2月から保険収載—厚労省
肺生検困難ながん患者のEGFR遺伝子検査、1月から初回治療前でも算定可能に―厚労省
潰瘍性大腸炎の診断補助する新検査法を12月から保険収載—厚労省
ヒトT細胞白血病ウイルス感染の有無を判断する新検査方法を11月から保険収載—厚労省
非小細胞肺がんのリンパ節転移診断を補助する検査などを10月から保険収載—厚労省
急速進行性糸球体腎炎の治療方針決定のため、新検査方法を9月から保険収載―厚労省
肺生検困難な肺がん患者について、血漿による遺伝子検査を7月から保険収載―厚労省
肺がん患者に抗がん剤「クリゾチニブ」投与が有効か調べる遺伝子検査、6月から保険収載―厚労省
ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症診断の新検査法を5月1日から保険収載―厚労省
卵巣腫瘍が悪性か良性かを診断する「ヒト精巣上体蛋白4」を4月1日から保険収載―厚労省
急性腎障害の早期診断を行う尿中NGAL検査を2月1日から保険収載―厚労省
慢性好酸球性白血病患者、適切な治療法選択のための遺伝子検査を12月1日から保険収載―厚労省
百日咳の診断補助を行う新たな臨床検査を11月1日から保険収載―厚労省
2018年度改定に向けて、入院患者に対する「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」などを調査―中医協総会
皮膚筋炎の診断補助を行う新たな臨床検査を10月1日から保険収載―厚労省



肺がんの新遺伝子検査、頭頸部がんへの新放射線治療法など、点数算定上の留意点を整理―厚労省
看護必要度、A項目に一部後発品を追加し、C項目から一部内視鏡手術を除外―2020年度診療報酬改定の関連通知訂正
【腎代替療法指導管理料】は腎代替療法導入後患者には算定不可、【退院時薬剤情報連携加算】の情報提供文書は手帳貼付は不可―疑義解釈5【2020年度診療報酬改定】
新たな看護必要度、急性期1継続病院では2020年7月から、急性期4継続病院では2021年1月から評価を―疑義解釈1【2020年度診療報酬改定】(1)

救急医療管理加算、JCSやNYHAなど「患者の具体的な状態」をレセプトに記載―厚労省
地域包括ケア病棟中心に診療報酬で病院の機能分化推進、400床以上病院で地ケア病棟新設は不可―厚労省
がん患者等の仕事と治療の両立、【療養・就労両立支援指導料】や外来化学療法の【連携充実加算】等でサポート―厚労省
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)患者、未発症の乳房等の切除や手厚い遺伝カウンセリング等を保険適用―厚労省
人工腎臓の評価引き下げ、腎移植に向けた情報提供の推進、シャント設置術に見直しなど実施―厚労省
1-12月の救急搬送2000件以上で他要件を満たせば、4月-翌年3月まで【地域医療体制確保加算】を算定可―厚労省
総合入院体制加算、地域医療構想調整会議の合意あれば「産科、小児科」の標榜・入院医療提供せずとも可―厚労省
急性期一般等の看護必要度、C項目に乳腺悪性腫瘍手術や観血的関節固定術など追加し、6日間カウント認める―厚労省

【2020年度診療報酬改定答申5】がん患者への「ゲノム医療」「治療と仕事の両立支援」「外来での化学療法」推進
【2020年度診療報酬改定答申4】リハビリが必要な患者に適切なリハが実施されるよう、回復期リハ病棟入院料や疾患別リハ料見直し
【2020年度診療報酬改定答申3】400床以上病院の地ケア病棟、「急性期病棟からの転棟」6割以上で、入院料1割減額のペナルティ
【2020年度診療報酬改定答申2】救急2000件以上で勤務医負担軽減図る病院、【地域医療体制確保加算】(520点)でサポート
【2020年度診療報酬改定答申1】重症患者割合、特定機能病院は看護必要度IIで28%、急性期1は必要度Iで31%、必要度IIで29%に