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地域包括ケア病棟中心に診療報酬で病院の機能分化推進、400床以上病院で地ケア病棟新設は不可―厚労省

2020.3.11.(水)

お伝えしているとおり、厚生労働省は3月5日に、2020年度診療報酬に関する関係告示の交付・通知の発出を行いました。

Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしています。今回は「地域包括ケア病棟」に焦点を合わせてみます(急性期一般に関する記事はこちら、総合入院体制加算に関する記事はこちら、働き方改革にする記事はこちら、人工透析に関する記事はこちら、がんゲノム医療に関する記事はこちら、がん等治療と仕事の両立支援に関する記事はこちら)。

2020年度診療報酬改定に関する厚労省サイトはこちら(告示・通知・関係資料などが無料でダウンロードできます)

診療報酬で病院の機能分化を推し進める方向が明確に

Gem Medで既にお伝えしていますが、地域包括ケア病棟入院料(以下、基本的に入院医療管理料を含む)については、主に次のような見直しが行われます。大病院については「急性期機能への特化」を進め、中小病院については「sub acute対応や在宅医療提供機能など地域密着型機能」を推進する、機能分化を診療報酬で推し進める意図が明確になっていると言えそうです。

(1)許可病床数400床以上病院の「地域包括ケア病棟」について、入院患者のうち同一医療機関内の一般病棟から転棟した患者割合を6割未満とする
(2)許可病床数400床以上病院について、地域包括ケア病棟の新設を認めない(ただし既に保有する地域包括ケア病棟は維持できる)
(3)同一医療機関内のDPC病棟から地域包括ケア病棟(ここは病棟のみ、病室は除外)に転棟した患者について、DPC点数表の入院期間IIまでDPC点数を算定する
(4)地域包括ケア病棟入院料1・3の実績に係る基準を見直す
(5)地域包括ケア病棟入院料の施設基準において「入退院支援・地域連携業務を担う部門の設置」を要件(義務化)とする
(6)地域包括ケア病棟における疾患別リハビリテーション提供について「患者の入棟時に測定したADLスコア結果等を参考にリハビリの必要性を判断すること」を要件とする
(7)地域包括ケア病棟入院料の施設基準において「適切な意思決定支援に関する指針(いわゆるACP)を定めていること」を要件とする

地域包括ケア病棟の見直しの概要(2020年度改定告示・通知(7)1 200305)

地域包括ケア病棟入院料等の新施設基準概要(2020年度改定告示・通知(7)2 200305)

400床以上大病院の地ケア病棟、自院の急性期からの転棟患者は「6割未満」に制限

まず(1)は、大病院に設置された地域包括ケア病棟の一部で「post acute機能に偏りがありすぎる」点を是正するものです。

具体的には、許可病床数400床以上の病院における地域包括ケア病棟については、「入院患者に占める同一医療機関の一般病棟からの転棟患者割合」が6割未満であることが施設基準に盛り込まれました。

ここで言う一般病棟とは、▼急性期一般入院基本料▼7対1・10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟)・専門病院入院基本)▼救命救急入院料▼特定集中治療室管理料▼ハイケアユニット入院医療管理料▼脳卒中ケアユニット入院医療管理料▼小児特定集中治療室管理料▼新生児特定集中治療室管理料▼総合周産期特定集中治療室管理料▼新生児治療回復室入院医療管理料▼一類感染症患者入院医療管理料▼特殊疾患入院医療管理料▼小児入院医療管理料―を算定する病棟・病室を指します。

また患者割合は、「直近3か月間に一般病棟から転棟した患者数」/「直近3か月に当該病棟に入棟した患者数」で計算します。

この基準を満たさない、つまり「自院の一般病棟からの転棟患者割合が6割以上となる」場合には、【地域包括ケア病棟特別入院料】として、所定点数が1割減額(入院料2では通常26020点が2358点に、入院料4では通常2076点が1868点に減額)されます。ただし、許可病床数400床以上病院で、2020年3月31日時点で届け出ている地域包括ケア病棟については、「2020年9月30日まで自院の一般病棟から転棟した患者割合の基準を満たすと見做す」との経過措置が設けられています。

これまでに自院のpost acute患者のみを受け入れているような病院(とりわけ大規模な急性期病院)では、この半年間の経過措置中に「sub acute患者の獲得に向けた取り組み」を検討・実施していくことが必要です。もっとも、例えば「白内障患者やポリペク患者などを地域包括ケア病棟に直接入院させる」といった動きをとることは、地域包括ケア病棟に求められる「sub acute患者の受け入れ」(在宅療養患者の急変対応)に合致しているとは考えにくく、好ましい対応とは言えません(2022年度以降の改定で厳格化を招く可能性が高い)。

400床以上大病院、地ケア病棟の新設は認めず

また(2)は、許可病床数400床以上の大病院では「地域包括ケア病棟の新設を認めない」こととするものです。施設基準告示や通知を見ると、地域包括ケア病棟入院料2・4について「許可病床数400床未満の保険医療機関であること」との規定が盛り込まれています。

これは、前述のとおり「大病院について急性期機能への特化を進める」という機能分化推進方策の1つと言えるでしょう。診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会や、地域医療構想を議論する地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)では、一部委員から「大規模な公立・公的病院が、急性期一般1(旧7対1)を維持するために地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」との強い指摘がかねてより出されています。2016年度改定では「許可病床数500床以上(その後、400床以上に見直し)の大病院では、地域包括ケア病棟の新設は1病棟のみ」との制限が設けられ、今般、それをさらに進めた格好です。

ただし、2020年3月31日時点で400床以上病院が保有している地域包括ケア病棟が廃止されるものではありません。

DPC病棟から地ケア病棟への転棟、期間IIまではDPC点数を算定

また(3)も、(1)と同じく「post acute機能への偏りすぎ」是正策の一環と考えられます。

現在、「DPC点数 < 地域包括ケア病棟入院料」となった時点で「DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟が集中」しているケースが多数あります(「DPC点数 > 地域包括ケア病棟入院料」となっている診断群分類ではこうした集中はなく、「平均在院日数時点での転棟」が多い)。

中医協では「患者の状態ではなく収益性のみに着目した転棟は、公的医療保険制度の中では好ましいとは言えない」との議論が行われ、今般、「DPC病棟(一般病棟)から地域包括ケア病棟へ転棟した場合、DPCの期間II(当該診断群分類の平均在院日数)まではDPC点数の算定を継続する」という見直しが行うこととなったものです。

DPC病棟から地域包括ケア病棟へ転棟した場合の点数算定方法(2020年度改定告示・通知(7)4 200305)



なお、▼DPC「病棟」から地域包括ケア「病棟」への転棟:期間IIまでDPC点数、期間IIIは地域包括ケア病棟入院料を算定する▼DPC病棟内で地域包括ケア「病室」への転室:期間II・期間IIIを通じてDPC点数を算定する―という具合に、病棟と病室とで取り扱いが異なることになります。この点について厚労省保険局医療課の担当者は「平均在院日数以降の入院については、『病棟の報酬』(地域包括ケア病棟であれば地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア病室であれば、もともと一般病棟(DPC病棟)であるのでDPC点数)に沿って点数を算定する」形で整理したとコメントしており、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

200床未満病院の地ケア病棟1・3、在宅医療提供などの基準値を実態にマッチさせる

一方、(4)は「許可病床数200床未満の病院における地域包括ケア病棟」のうち、sub acute対応機能や在宅医療提供機能を強化している病棟について、より実態にあった基準値を設けるものです。

2018年度改定では、こうした病棟が算定する地域包括ケア病棟入院料1・3について高い報酬を設定し、sub acute対応機能や在宅医療提供機能のさらなる推進に期待を寄せました。ただし、現在、評価項目(訪問診療提供や訪問看護提供など)によって「基準値が厳しすぎる。あるいは緩やかすぎる」という問題があることが判明し、より実態に合った基準値を設定するものです。

地域包括ケア病棟入院料1・3における実績要件の見直し概要(2020年度改定告示・通知(7)3 200305)



もっとも、2020年3月31日時点で届け出がなされている地域包括ケア病棟入院料1・3の病棟・病室については「2020年9月30日まで、診療実績に係る施設基準を満たすと見做す」との経過措置が置かれています。半年間の経過措置期間中に、自院における「各項目のクリア状況」を精査し、必要な対策(例えば、sub scute患者の確保、在宅医療の提供や、訪問看護ステーションの強化など)をとることが求められます。

地ケア病棟持つすべての病院で、入退院支援部門の設置を義務化

また(5)は、地域包括ケア病棟の創設(2014年度改定)から求められている「在宅復帰支援」の強化を狙うものです。

具体的には、現在の「院内に専任の在宅復帰支援担当者を1名以上配置する」規定を発展的に解消し、「院内に入退院支援・地域連携業務を担う部門を設置する」こととなります。この入退院支援・地域連携部門には、▼入退院支援・地域連携業務に関する十分な経験を有する専従看護師または専従社会福祉士を配置する▼専従看護師を配置する場合には専任の社会福祉士を、専従社会福祉士を配置する場合には専任看護師を配置する―ことが求められます。なお、この専従の看護師・社会福祉士については、医療従事者の働き方改革サポートの一環である「週3日以上・週22時間以上勤務する複数の非常勤者」を常勤換算することが可能です。例えば、ベテランで入退院支援等に関する知識・経験を十分に有しているものの、出産や子育て、介護などの理由からフルタイムでは働けないという看護師や社会福祉士を登用し、活躍してもらうことが期待されます。

入退院支援部門の設置は、▼医師の負担軽減▼病棟看護師等の負担軽減▼患者満足度の向上―、さらには【入退院支援加算】の取得等による経営の安定化にもつながる、非常に重要なテーマです。この施設基準化を機会に、強力な入退院支援部門の設置を検討するべきでしょう。

とはいえ、スタッフ確保には相当の調整(新規雇用や、院内スタッフの配置転換など)も必要であることから、2020年3月31日時点で地域包括ケア病棟を届け出ている病院では「2021年3月31日までは入退院支援・地域連携部門を設置していると見做す」との1年間の経過措置が設けられています(逆に言えば、2020年4月以降に地域包括ケア病棟を新設する場合には、入退院支援部門の設置が必須)。この間に、新規スタッフの確保や、院内のスタッフ配置転換などを進めていくことが求められます。

地ケア病棟持つすべての病院で、ACP指針策定を義務化

また(7)は、現在、地域包括ケア病棟入院料1・3(許可病床数200床未満の病院で、sub acute対応や在宅医療等提供を行う地域包括ケア病棟を高く評価するもの)のみで要件となっている「ACP」について、すべての地域包括ケア病棟を持つ病院で施設基準化を行うものです。

ACP(Advanced Care Planning)は、「人生の最終段階で自分が受けたい医療・ケア、あるいは受けたくない医療・ケア(例えば延命治療など)」について患者が、医療関係者や家族・友人等と繰り返し話し合う(できれば文書化が望ましい)プロセスのことで(関連記事はこちらこちら)、ここでは厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえて、適切な意思決定支援に関する「指針を定めている」ことが施設基準に盛り込まれます(指針の策定のみである点に留意)。

こちらも院内の体制整備等が必要となることから、▼既存の地域包括ケア病棟設置病院(2020年3月31日時点で地域包括ケア病棟を設置している病院)では、半年間の経過措置(猶予)が設けられる▼2020年4月以降に地域包括ケア病棟を新設する場合には、ACPが要件となる―点に留意が必要です。



なお、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の見直し伴い、地域包括ケア病棟においても重症患者割合(看護必要度を満たす患者割合)の基準値が▼看護必要度Iでは14%以上(4ポイント増)▼看護必要度IIでは11%以上(3ポイント増)―に引き上げられました。



このように、地域包括ケア病棟入院料を中心に「診療報酬で病院の機能分化を進めていく」方向が明確になりました。許可病床数400床以上の大病院では、今般の見直しによって「急性期1(旧7対1)を維持するために、一部病棟を地域包括ケア病棟に転換する」ことができなくなり(上記(2))、また「既存の地域包括ケア病棟に、看護必要度を満たさなくなった急性期病棟患者を転棟させる」ことにも相当の制限がかかり(上記(1))、また報酬上の旨味も極めて小さくなりました(上記(3))。

急性期1の維持に苦労している大病院では、▼自院の急性期病棟の在り方を見直す▼地域包括ケア病棟等を持つ他の医療機関との連携を強化する▼自院の機能(急性期を維持するのか、機能転換するのか)や規模を改めて見直す―ことが、非常に重要となってきています。


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回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
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看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
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2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定を了承、「医師の働き方改革推進」を重点課題に据える―社保審・医療保険部会



外来から患者の入退院を支援するPatient Flow Management(PFM)が急性期病院の将来を救う



アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、我が国では「人生会議」と呼んでは―厚労省
ACP等の普及に向けて多くの提案、「医師少数地域での勤務経験」の活用法に期待集まる―社保審・医療部会(2)
ACP、実は既に医療・介護現場で実践している「最期の過ごし方」に関する話し合い―厚労省・検討会
人生の最終段階の医療・ケア方針、決定後も「繰り返し話し合う」ことが重要―厚労省
人生の最終段階の医療・ケア、ガイドライン改訂版を近く公表―厚労省・検討会
人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいか、一人ひとりが考えることが重要―厚労省・検討会