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人生の最終段階の医療・ケア方針、決定後も「繰り返し話し合う」ことが重要―厚労省

2018.3.19.(月)

 自分自身が「人生の最終段階でどのような医療・ケアを受けたいか」について、家族や友人、医療関係者等と話し合って文章にしたとしても、意思は変化しうるものであり、繰り返し話し合い、都度、文章にしておくことが望ましい―。

厚生労働省は3月14日、改訂版「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を公表し、こういった点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら(ガイドライン本体)こちら(ガイドライン解説編))。

最終段階の医療・ケアを繰り返し話し合う「ACP」(Advanced Care Planning)を重視

 人生の最終段階に、自分自身の望まない延命治療などを受けざるを得ない事態となるのは悲しいことです。そこで、厚労省は、医療従事者に対し「患者や家族と十分に話し合い『どのような医療を受けたいか』を明らかにするように支援する」ことを求めています。

具体的な支援策が「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」にまとめられています(旧「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」、2015年3月に改訂)。そこでは、▼患者と医療従事者等の間で、治療方針に関する合意内容を文書にしておき、その合意内容に沿って人生の最終段階における医療方針を決定する▼患者の意思が確認できない場合には、家族が推定する▼家族でも意思を推定できない場合には、家族と医療従事者が話し合って最善の方針を決定する▼家族がいない場合には「患者にとっての最善」を医療・ケアチームが考慮する―ことなどが示されています。

ただしガイドラインも完璧なものではなく、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」において、(1)一度「どのような医療を受けたいのか」という方針を決めた後にも、本人、家族、医療従事者等の間で「繰り返し」話し合うことが重要である点を明確にする(2)在宅の特性を踏まえたものとする—という2軸に沿ってガイドライン見直しに向けた検討が進められ、今般、見直し内容が確定したものです。欧米諸国では、国民一人ひとりが「人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいかを、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合う」プロセスであるACP(Advanced Care Planning)が普及しつつあると言います。我が国でも、このACPが広く普及していくことが期待されます(関連記事はこちrこちらこちらこちら)。

厚労省は、見直しのポイントとして次の5点を掲げています。

(1)病院だけでなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、名称を「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に変更するとともに、患者・家族と話し合う医療・ケアチームに「介護従事者が含まれる」ことを明確化した

(2)心身の状態の変化などに応じて「本人の意思は変化しうる」ため、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むかなどを、日頃から繰り返し話し合うこと(ACP)の重要性を強調した

(3)本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載した

(4)単身世帯が増えることを踏まえ、家族だけでなく親しい友人等を含めた「家族等」が、本人の意思推定者であることを示した

(5)繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめ、本人、家族等と医療・ケアチームで共有することの重要性を記載した

 とくに(2)(5)の「一度、方針を決定した後も、繰り返し話し合う」という点が重要です。ガイドライン解説編では、「本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要」「合意の根拠となった事実や状態の変化に応じて、本人の意思が変化しうるものであることを踏まえて、柔軟な姿勢で人生の最終段階における医療・ケアを継続すべき」と再三にわたり強調しています。

 
 なお、2018年度の診療報酬改定では、▼新たな地域包括ケア入院医療管理料1と3▼療養病棟入院基本料—について、「ガイドライン等の内容を踏まえ、看取りに対する指針を定めていること」が施設基準として盛り込まれました。また▼新設される【在宅ターミナルケア加算】(在宅患者訪問診療料の加算)▼新設される【訪問看護ターミナルケア療養費1】―について、「ターミナルケアの実施については、ガイドライン等の内容を踏まえ、患者本人と話し合いを行い、患者本人・家族の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応すること」が算定要件に盛り込まれるており、各施設においてガイドラインの内容をしっかり把握しておくことが重要です(関連記事はこちら)。

 

 

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