悪性リンパ腫の病型分類補助でも、「ALK融合タンパク」(2700点)を算定可能に―厚労省
2020.9.4.(金)
悪性リンパ腫の病型分類を補助においても、N002【免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作成】の「6 ALK融合タンパク」(2700点)の算定を可能とする―。
厚生労働省は8月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました。9月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。
悪性リンパ腫の病型分類を補助し、適切な治療法につなげる
ゲノム(遺伝情報)解析技術が進み、「Aという遺伝子変異の生じたがん患者にはαという抗がん剤を、Bという遺伝子変異のある患者にはβとγという抗がん剤を併用投与することが効果的である」といった情報が明らかになってきています。こうしたゲノム情報に基づいた最適な治療法の選択が可能になれば、個々のがん患者に対して「効果の低い治療法を避け、効果の高い、最適な治療法を優先的に実施する」ことが可能となり、▼治療成績の向上▼患者負担の軽減▼医療費の軽減―などにつながります。
N002【免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作成】の「6 ALK融合タンパク」(2700点)も、こうしたがんゲノム医療を推進する技術の1つで、これまで、非小細胞肺がん患者に対してALK阻害剤(クリゾチニブ(ザーコリカプセル)、アレクチニブ(アレセンカプセル)、セリチニブ(ジガディアカプセル、ジガディア錠)など)の投与で効果があるかどうかを判断するための実施が保険診療の中で認められてきました(ブリッジ試薬を用いた免疫組織染色法により病理標本作製を行った場合に、ALK阻害剤の投与方針決定までの間に1回に限り算定可能)。
さらに今般、「悪性リンパ腫の診断補助」のために保険診療の中で本技術を用いることが認められます。悪性リンパ腫の診断補助のためのALK免疫組織化学染色を行う検査法が開発されたことを受けたものです。
具体的には、悪性リンパ腫患者に対し、「悪性リンパ腫の診断補助」を目的として、免疫組織染色法で病理標本作製を行った場合に、「悪性リンパ腫の病型分類までの間」の1回に限り、N002【免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作成】の「6 ALK融合タンパク」(2700点)を算定することが可能となります。悪性リンパ腫は、70種類以上に細分化され、治療法が異なることから、より適切な治療法を選択するための重要な技術と言えます。
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