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人工腎臓の評価引き下げ、腎移植に向けた情報提供の推進、シャント設置術に見直しなど実施―厚労省

2020.3.6.(金)

お伝えしているとおり、厚生労働省は3月5日に、2020年度診療報酬に関する関係告示の交付・通知の発出を行いました。

Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしていきます。今回は「人工透析」に関連する事項を眺めてみましょう(急性期一般に関する記事はこちら、総合入院体制加算に関する記事はこちら、働き方改革にする記事はこちら)。

2020年度診療報酬改定に関する厚労省サイトはこちら(告示・通知・関係資料などが無料でダウンロードできます)

経口の腎性貧血治療薬(HIF-PHD阻害薬)登場など踏まえ、人工腎臓の点数見直し

人工透析に関しては、2020年度診療報酬改定で大きく次のような見直しが行われます。
(1)薬剤実勢価格を踏まえた評価の適正化と、新薬登場を踏まえた評価の新設
(2)腎移植の推進
(3)腹膜透析と血液透析との併用拡大
(4)シャント設置術等の見直し

まず(1)は、人工腎臓の点数について適正化を行います。血液透析における代表的合併症「腎性貧⾎」の治療薬であるエリスロポエチン製剤等について、安価なバイオ後続品が登場していることなどを踏まえて、各区分について56点の引き下げが行われます。

併せて、経口(内服)の「腎性貧⾎」治療薬(HIF-PHD阻害薬、ロキサデュスタット錠)の登場を踏まえ、これを院外処方した場合の新点数設定を行います。これまでの人工腎臓の点数には、上記エリスロポエチン製剤等の費用が包括されていますが、HIF-PHD阻害薬を院外処方する場合、医療機関では腎性貧血治療薬を用いなくなり、薬剤費用を負担しなくなるために、その分を除外した低い点数を設定しています(なお、2020年3月31日までは「HIF-PHD阻害薬は院内処方のみ」が認められ、通常の人工腎臓の点数を算定する)。

人工腎臓の点数は、次のように複雑になります。

【慢性維持透析を行った場合1】(透析用監視装置26台未満で、1台当たり外来人工腎臓患者数割合が3.5未満、水質管理を適切に実施し、透析機器安全管理委員会(責任者として専任医師または専任臨床工学技士)を設置)
●「HIF-PHD阻害薬の院外処方」以外
▽4時間未満:1924点(56点減)
▽4時間以上5時間未満:2084点(56点減)
▽5時間以上:2219点(56点減)

●HIF-PHD阻害薬を院外処方
▽4時間未満の場合:1798点(新)
▽4時間以上5時間未満:1958点(新)
▽5時間以上:2093点(新)


【慢性維持透析を行った場合2】(透析用監視装置26台以上で、1台当たり外来人工腎臓患者数割合が3.5以上4.0未満、水質管理を適切に実施し、透析機器安全管理委員会(責任者として専任医師または専任臨床工学技士)を設置)
●「HIF-PHD阻害薬の院外処方」以外
▽4時間未満:1884点(56点減)
▽4時間以上5時間未満:2044点(56点減)
▽5時間以上:2174点(56点減)

●HIF-PHD阻害薬を院外処方
▽4時間未満の場合:1758点(新)
▽4時間以上5時間未満:1918点(新)
▽5時間以上:2048点(新)


【慢性維持透析を行った場合3】(1・2以外)
●「HIF-PHD阻害薬の院外処方」以外
▽4時間未満:1884点(56点減)
▽4時間以上5時間未満:1999点(56点減)
▽5時間以上:2129点(56点減)

●HIF-PHD阻害薬を院外処方
▽4時間未満の場合:1718点(新)
▽4時間以上5時間未満:1873点(新)
▽5時間以上:2003点(新)


【その他の場合】
▽1580点(増減なし)

人工腎臓の点数見直し(2020年度改定告示・通知(4)1 200305)

腎移植に向けた情報提供を推進するため、腎代替療法指導管理料の新設等

腎代替療法には、▼血液透析▼腹膜透析▼腎移植―の大きく3手法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。患者の状態や希望を踏まえて、これらの中から適切な手法を選択することが求められますが、我が国では「血液透析に極めて偏っている」(生体腎移植は年間1500件程度、献腎移植(脳死・心停止下)は年間200件程度にとどまり、献腎移植登録も少ない(55歳未満の透析患者約4万8000名のうち、登録者は1万2449名・25.9%))との問題点が指摘されています。

このため、2020年度改定では「腎移植」に関する説明や実施の推進を図るべく次のような点数の新設・見直しが行われます。

(A)【導入期加算】(人工腎臓の加算)の見直し

(B)【腎代替療法指導管理料】の新設

腎移植の推進に向けた導入期加算の見直し、腎代替療法指導管理料の新設(2020年度改定告示・通知(4)2 200305)



まず(A)の【導入期加算】は、人工腎臓の導入期(1か月)における医療機関の負担等を考慮したものですが、次のように点数・施設基準の見直しを行います。腎移植に関する説明・実績についてより十分な実施を求めるものです。

▽加算1:(現)300点→(改定後)200点(100点減)
[施設基準]関連学会の作成した資料又はそれらを参考に作成した資料に基づき、患者ごとの適応に応じて、腎代替療法について、患者に対し十分な説明を行っている(変更なし)

▽加算2:(現)400点→(改定後)500点(100点増)
[施設基準]以下をすべて満たす
▼加算1の基準を満たす(変更なし)
▼【在宅自己腹膜灌流指導管理料】を過去1年間で12回以上算定(変更なし)
腎移植について、患者の希望に応じて適切に相談に応じ、かつ、腎移植に向けた手続きを行った患者(臓器移植ネットワークに腎臓移植希望者として新規に登録、先行的腎移植が実施、腎移植が実施され透析を離脱)が前年度に3人以上(現在は「過去2年に1人以上」)



また(B)は、腎移植を含めた患者への指導管理を評価する【腎代替療法指導管理料】(500点、患者1人つき2回まで)を新設するものです。

施設基準は次のように設定されました。上記【導入期加算2】をベースに、医師要件などを厳格においています。
▽以下の全てを満たす
・【在宅自己腹膜灌流指導管理料】を過去1年間で12回以上算定
・腎移植について、患者の希望に応じて適切に相談に応じ、かつ、腎移植に向けた手続きを行った患者(臓器移植ネットワークに腎臓移植希望者として新規登録、または生体腎移植が実施され透析を離脱)が前年度に3人以上
▽院内に、以下の職種が連携して診療を行う体制がある
・腎臓内科診療の従事経験3年以上の専任常勤医師
・5年以上の看護師経験、3年以上の腎臓病患者看護経験を持つ専任常勤看護師
▽腎臓病について患者・家族等に対する説明を目的とした腎臓病教室を定期的に実施する

こうした施設基準を満たした医療機関において、入院外の対象患者(▼慢性腎臓病で、3か月前までの直近2回のeGFR(mL/分/1.73平方メートル)がいずれも30未満▼急速進行性糸球体腎炎等による腎障害で、急速な腎機能低下を呈し、不可逆的に慢性腎臓病に至る―のいずれか)に対して、▼同意を得て、医師と看護師とが共同して診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供する▼1回30分以上の指導を行う▼適切な時期に腎代替療法の情報提供を実施する(腎臓病教室とは別)▼腎臓内科医、腎臓病看護経験を持つ専任看護師が、腎代替療法について指導し、患者が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明・相談を行う▼指導内容等の要点を診療録に記載する▼説明に当たり、関連学会の作成した腎代替療法選択に係る資料等を用いる―場合に500点(1患者に2回まで)を算定できます。患者への「腎移植」に関する情報提供を十分に行うことが狙いと言えるでしょう。



なお、【導入期加算】【腎代替療法指導管理料】について、厚労省は次のような点をQ&Aの中で明らかにしています。

▽「他医療機関に紹介し、紹介先で腎移植ネットワークに登録または生体腎移植を行った患者」を「腎移植に向けた手続きを行った患者」にカウントしてよい

▽「【在宅自己腹膜灌流指導管理料】を過去1年間で12回以上算定」要件につき、届け出は直近1年分で良いが、定期的な実施が必要である

▽「関連学会の作成した腎代替療法選択に係る資料」とは、▼日本腎臓学会▼日本透析医学会▼日本移植学会▼日本離床腎移植学会▼日本腹膜透析医学会―作成の「腎不全 治療選択とその実際」を指す

▽「腎臓病教室の定期的実施」とは、年1回以上を意味する

同一患者への腹膜透析と血液透析、一定の要件満たせば別医療機関でも実施可能に

また(3)は、現在「腹膜透析と血液透析の併用は同一医療機関でなければ実施できないが、腹膜透析を実施できる医療機関が少ない」という問題点を解決するために、次のような要件を満たす場合に限り、同一患者に対しA医療機関で腹膜透析とB医療機関で血液透析を実施した場合でも、各々で点数算定を可能とするものです。

▽A医療機関(腹膜透析実施)では、レセプトに「他医療機関で人工腎臓を実施する必要性、他医療機関名」を記載した場合に限り【在宅自己腹膜灌流指導管理料】を算定可能

▽B医療機関(血液透析実施)では、レセプトに「在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している医療機関名」を記載した場合に限り、【人工腎臓】を算定可能(週1回を限度)

同一患者への別医療機関による腹膜透析と血液透析の実施(2020年度改定告示・通知(4)3 200305)

医療現場の実態を踏まえて、シャント設置術の評価を組み替え

一方、(4)はシャント設置術について、▼多くは外来で短時間で実施されている▼一部に狭窄が生じやすく頻回な設置が必要なケースがある―という点を踏まえて、次のような見直しを行うものです。

【末梢動静脈瘻造設術】
▽「1 静脈転位を伴うもの」と「2 その他のもの」のうち【内シャント又は外シャント設置術】を統合し、【内シャント造設術】に組み替える
▽【外シャント血栓除去術】を削除する

(改定後)
1「内シャント造設術」
イ 単純なもの:1万2080点
ロ 静脈転位を伴うもの:1万5300点
2「その他のもの」:7760点(見直しなし)

【経皮的シャント拡張術・血栓除去術】
▽初回と頻回実施とで点数を区分する

(改定後)
1「初回」:1万2000点
2「1の実施後3か月以内に実施する場合」:1万2000点(この場合、「透析シャント閉塞」「超音波検査でシャント血流量400ml以下または血管抵抗指数(RI)0.6以上」のいずれかの要件を満たす画像所見等の医学的根拠をレセプトの概要欄に記載することが必要)

医療実態を踏まえたシャント設置術の見直し(2020年度改定告示・通知(4)4 200305)



関連して次のような見直しも行われます。

▽【同種死体腎移植術】【同種死体膵移植術】【同種死体膵腎移植術】について、【移植臓器提供加算】(5万5000点)として実態に見合った評価見直しを行う

▽ドナーや家族の意向に沿った臓器提供を更に円滑に進めるため、臓器提供時の施設や担当医の負担を踏まえ、【脳死臓器提供管理料】の点数を引き上げ(2万点→4万点)、「コーディネートの評価が含まれている」ことを明確化する

▽【吸着式血液浄化法】について、「エンドトキシンを吸着するという治療目的」や「敗血症診療ガイドライン2016、標準治療と比較して死亡率改善が認められない」ことなどを踏まえ、適切な実施に向けて算定要件の厳格化を行う

▽「腎不全以外の患者」への血液浄化療法を適正に実施するため、【持続緩徐式血液濾過】の要件を見直す


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2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定を了承、「医師の働き方改革推進」を重点課題に据える―社保審・医療保険部会



人工透析の合併症治療薬「ロキサデュスタット錠」、当面、出来高算定は不可―厚労省