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抗がん剤治療における薬剤耐性の克服には「原因となる融合遺伝子を検出し、効果的な薬剤使用を保険適用する」ことが必要—国がん

2022.10.14.(金)

進行期・再発のEGFR遺伝子変異のある肺がんには「EGFRチロシンキナーゼ阻害剤」(販売名:タグリッソ錠)が標準治療として用いられるが、1―2年で「EGFR遺伝子『以外』の融合遺伝子が形成され、薬剤耐性が生じてしまう」という問題がある—。

この点、肺がん患者のDNA検体を用いて包括的な遺伝子分析等を行ったところ、薬剤耐性を持つ融合遺伝子は、一部に限られる」ことなどが明らかとなった—。

今後、「薬剤耐性を持つ融合遺伝子」を正しく検出する検査手法を開発し、当該検査結果に基づいて効果的な薬剤を保険適用することが期待される—。

国立がん研究センターが10月7日にこのような研究結果を明らかにしました(国がんのサイトはこちら)。

「原因となる融合遺伝子を検出し、効果的な薬剤使用を保険適用すべき」ことを提言

肺がんは最も死亡者数の多いがん種です。肺腺がんのうち、日本人を含むアジア人の半数、欧米人の約20%では「EGFR遺伝子の活性型変異」が見られ、進行期・再発では「第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤」(オシメルチニブ、販売名「タグリッソ錠」)の投与が標準治療となっています。しかし1-2年経過すると薬剤耐性が獲得され、本剤が効かなくなってしまうという問題があります。

この薬剤耐性機序の1つとして「EGFR遺伝子『以外』の2つの遺伝子が融合して新たな融合遺伝子を形成する」現象が見られますが、「融合遺伝子を正確に検出する方法」が確立しておらず、結果「どのように治療すれば良いか」が明らかになっていないのです。

融合遺伝子が生じ、抗がん剤への耐性が獲得される



今般、国がん研究所の小林祥久研究員と、米国Dana-Farbeがん研究所を中心とした国際共同研究チームは、504名のEGFR遺伝子変異のある肺がん患者のDNA検体を次世代シークエンサーで解析。そこから「薬剤耐性としての機能をもつ融合遺伝子」を探したところ、「EML4-ALKなど、ごく一部でしかない」ことが分かりました。

融合遺伝子すべてが薬剤耐性を持つわけでなく、一部に限られることが分かった



また、「実験的な融合遺伝子作成→薬剤耐性の確認→効果のある医薬品の同定」という過程を通じ、がんは▼EGFR遺伝子側の耐性機序▼融合遺伝子側の耐性機序▼共通のシグナル経路の耐性機序▼新規耐性機序―など様々な原因で耐性となること、「様々な耐性機序を克服するために有効な薬剤も同定可能である」ことが判明しました。

どのような融合遺伝子が生じ、薬剤耐性を持つのかを判定できれば、効果的な薬剤選択が可能になる余地がある



国がんでは、融合遺伝子現象は複雑なため正しく検査で見つけること自体が困難であるが、本研究より「正しく融合遺伝子を見つけることができれば、ALK阻害剤やRET阻害剤などすでに保険承認されている薬とEGFR阻害剤の併用療法が効果的である」ことが明らかになったと報告。

もっとも、個々の患者に対して本研究で用いたような融合遺伝子検出方法を用いることは非現実的であるため、▼単一の検査で治療標的となる融合遺伝子を正しく検出できる方法の開発▼検査結果に応じた有効な併用療法の効果を評価する臨床試験を行い、治療法の保険適用—を目指すことが必要とも指摘しています。

今後、さらなる研究により「薬剤耐性を持つ融合遺伝子の克服」に期待が集まります。



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