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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2023年1月分医療費、女性の「乳がん」が入院・外来ともに非常に大きなシェア!早期発見・早期治療が極めて重要―健保連

2023.6.20.(火)

今年(2023年)1月分医療費の上位疾患を見ると、依然として男女ともに「新型コロナウイルス感染症」や「鼻アレルギー」「高血圧症」などが名を連ねている。また女性では「乳がん」医療費が入院・外来ともに依然として大きなシェアを占めており、男性の外来医療費で2型糖尿病のシェアが上がってきている―。

健康保険組合連合会(健保連)が6月15日に公表した「健保組合医療費上位30疾病に関する動向調査」(2023年1月診療分)結果から、こうした状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)。

新型コロナウイルス感染症が医療費面でも「猛威」を振るっていることを確認できるとともに、女性において「乳がん」医療費が極めて大きなシェアを占めていることに改めて驚かされます。乳がん検診の早期受診をより強く勧奨し、早期治療を促すことが、医療費の適正化にとっても、女性自身のQOL向上にとっても、社会にとっても非常に重要です。

医療費全体のトップ疾患、男女ともコロナ感染症

健康保険組合(健保組合)は、主に大企業に勤める会社員とその家族が加入する公的医療保険です。健保組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度からレセプトを分析し各種提言を行うなど、従前より「データヘルス」に積極的に取り組んでいます。

今般、今年(2023年)1月診療分のレセプトをもとに、「健保組合加入者はどのような疾患に多くかかり、医療費はどの程度なのか」を分析しました。調査対象は1275組合の加入者:2625万5809人のデータです。

まず医科全体で見ると、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:医科医療費全体の10.26%(5.65%(2)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同2.92%((3)本態性(原発性<一次性>)高血圧(症):同2.84%—となりました。上位3疾患で医療費の16.02%を消費しています。トップ3の顔ぶれは変わっていませんが、コロナ感染症の医療費シェアが大きくなっています。コロナ感染症の増加と、それに伴う医療機関受診控えの双方が影響していると考えられます。

男女計医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.1 230615)



男女別のトップ3疾患は次のようになっています。

【男性】
▽covid-19:男性医科医療費全体の10.53%
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.68%
▽2型<インスリン非依存性>糖尿病<NIDDM>:同3.05%
→上位3疾患で、男性医科医療費の17.26%を占める

男性医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.2 230615)



【女性】
▽covid-19:女性医科医療費全体の9.98%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.60%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同2.98%
→上位3疾患で、女性医科医療費の16.56%を占める

女性医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.3 230615)

医科入院、男女ともコロナ感染症が医療費第1位に、乳がん医療費が全体でも第4位に

次に医科の「入院」に限定して医療費シェアを見てみましょう。

トップ3は、(1)covid-19:医科入院医療費全体の5.68%(2)心房細動および粗動:同2.73%(3)脳梗塞:同2.10%—となり、上位3疾患で医科入院医療費の10.51%を占めています。3疾患の顔ぶれに変化はありません。

なお、ほぼ女性のみの疾患である「乳房の悪性新生物」は依然として「男女計の医科入院医療費第4位」となりました。「乳がん患者が依然として多い」状況を再確認できます。早期の治療が生存率向上にとって重要なことから、検診の適正受診、自己点検などをさらに啓発していく必要があります。

男女計入院医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.4 230615)



また男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。

【男性】
▽covid-19:同5.39%
▽心房細動および粗動:男性医科入院医療費全体の4.52%
▽脳梗塞:同2.65%
→上位3疾患で、男性医科入院医療費の12.56%を占める

男性入院医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.5 230615)



【女性】
▽covid-19:同6.01%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:女性医科入院医療費全体の3.96%
▽子宮平滑筋腫:同3.24%
→上位3疾患で、女性医科入院医療費の13.21%を占める

コロナ禍で、順位の変動こそあるものの、女性の入院医療費において「乳がん」が大きなシェアを占めています。前述のとおり「乳がん」の早期発見に向けた取り組みを国・保険者・医療機関・患者自身が進める必要が重要なことが、本調査結果で改めて確認できます。

女性入院医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.6 230615)

男女とも外来医療費トップはコロナ感染症、男性の糖尿病医療費が増加

医科の「入院外」に目を移すと、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:医科入院外医療費全体の11.53%(2)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同3.66%(3)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.45%―となりました。上位3疾患で医科入院医療費の18.64%を占めています。

男女計入院外医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.7 230615)



男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。男性で2型糖尿病の医療費シェアが増えている点が気になります。

【男性】
▽covid-19:男性医科入院外医療費全体の12.00%
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同4.49%
▽2型<インスリン非依存性>糖尿病<NIDDM>:同3.72%
→上位3疾患で、男性医科入院外医療費の20.21%を占める

男性入院外医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.8 230615)



【女性】
▽covid-19:女性医科入院外医療費全体の11.05%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同3.74%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.50%
→上位3疾患で、女性医科入院外医療費の18.29%を占める

女性入院外医療費トップ30(健康保険組合医療費トップ30.9 230615)



外来においても、「乳がん」が医療費シェアの上位疾患に入っていることに改めて驚かされます。医療保険者も、こうした点を重く受け止めた対策(検診受診勧奨の強化など)を検討・実施する必要があるでしょう。



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