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ワーファリン錠について「0.5mg」と「5mg」を取り違える医療事故が頻発、死亡事例も生じており、規格誤りに留意を―PMDA

2023.9.22.(金)

血栓塞栓症の治療・予防に用いる「ワーファリン錠」について「0.5mg」と「5mg」とを取り違える医療事故が頻発し、死亡事例も生じている。規格誤りに最大限の留意を行ってほしい—。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は9月20日に、製薬メーカーからの適正使用等に関する情報提供として「ワーファリン錠の0.5mg・5mgの規格選択誤りへのご注意」を公表し、こうした点への注意喚起を行いました(PMDAのサイトはこちら)。

ワーファリン錠「0.5mg」と「5mg」を取り違え、脳出血・死亡に至る事例も頻発

「ワーファリン錠」(一般名:ワルファリンカリウム)は血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療・予防に用いられる医薬品で、▼0.5mg▼1mg▼5mg—の3規格があります。

しかし「0.5mg錠と5mg錠を間違ってしまう」医療事故が頻発しています。ある患者についてPT-INRコントロールが不十分なためワーファリンを「1.0mgから1.5mgに増量する」予定でしたが、電子カルテ上で0.5mg錠ではなく誤って「5mg錠を選択」してしまい、合計6mgが処方されてしまいました。患者はそのまま内服を継続したところ、数日後に脳出血をきたし搬送。外科的治療の適応はなく保存的治療を行いましたが、当日に死亡してしまいました。医師が多忙・疲弊し、「ワーファリン5mgの処方について、電子カルテ上に赤字表記」がなされるましたが、気づかず、他にもワーニングがかかる薬があるため気にならなかったということです。

また、初めて診察する医師が、従前の担当医(退職済)からの「PT-INR検査後の情報提供書内容」と同じ用量の「ワーファリン錠1mg2錠・1×28+ワーファリン錠0.5mg1錠・1×28」を指示簿に記載しましたが、事務職員がPC入力時に「0.5mgを5mgと誤入力」してしまいました。その処方箋を処方医が確認したものの入力ミスを発見できず、処方箋は院外薬局に提出され、用量間違いのまま医薬品が患者に交付されました。結果、患者は脳室内出血で救急搬送され入院。持参薬を調べたところ「用量に誤りがあった」ことが判明しました。事務職員は院内で定められた「指示簿と入力内容との確認」などの手順を踏んだものの、業務が煩雑なためにミスを見落としてしまったようです。

さらに、前回「ワーファリン1mg4錠」が処方・交付されていた患者について、「ワーファリン1mg3錠+ワーファリン5mg1錠」の処方となり4mgから8mgへの増量となる事例がありました。薬剤師が患者から「極端な増量の話を聞いていない」と聞き取り、薬剤師から病院に疑義照会を行ったところ「ワーファリン5mgではなくワーファリン0.5mgの間違いであった」という事例も生じています。

事態を重くみたメーカー(エーザイ社)は、次のような点に注意してほしいと医療現場に要請しています。

【処方箋の入力担当者へ】
▽処方箋記載内容の再確認をしてほしい
▼電子カルテやレセコン等のPC上で0.5mgと5mgを見誤り、規格選択を間違えたケースが報告されており、処方箋入力の際には「ワーファリンに複数規格が存在する」ことを認識し、適切な規格を選択してほしい
▼処方オーダーシステムのアラート設定も活用してほしい

【調剤担当者へ】
▽処方変更内容の確認をしてほしい
▼ワーファリン錠の「処方量が前回と異なる」場合には、「患者からの聞き取り」「おくすり手帳の内容」から妥当な範囲内の変更であるか確認してほしい
▼疑問が残る際には、必ず処方元に「疑義照会」してほしい

▽予製や半割時における規格の再確認をしてほしい
▼予製取り扱い時や半割時に規格選択の誤りが生じているケースが報告されており、PTPシートから錠剤を外した後は「規格選択の誤りに気づきにくくなる」ため、「調剤棚へ複数の規格の存在を示す表示を貼る」などの間違いを未然に防ぐ工夫の実施、ダブルチェックの徹底をしてほしい

さらにメーカーでは、「ワーファリン服用患者向けの、製剤の写真入り資材」を作成しており、規格選択の誤り防止のためにこれらを活用してほしいとも呼び掛けています。

ワーファリン錠の規格誤りに最大限の留意が求められ、メーカー作成資材の活用も重要



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