「百日咳菌核酸検出」検査(360点)、従前からのLAMP法に加え、6月1日から新たにPCR法での測定でも算定可能—厚労省
2024.6.4.(火)
「百日咳菌核酸検出」検査(360点)は、これまで「LAMP法による原因菌測定」による場合に算定可能であったが、新たに「PCR法での測定」でも点数算定を可能とする—。
厚生労働省は5月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。6月1日から適用されています。
百日咳に特徴的なけいれん性の咳発作、他の呼吸器感染症でも認められ鑑別診断が重要
百日咳は、百日咳菌やパラ百日咳菌の感染によって生じる、けいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症です。4種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)の普及により、我が国でも諸外国でも発生数は減少していますが、ワクチン未接種者や接種後年数が経過し、免疫が落ちている者での発病はわが国でも見られています(国立感染症研究所のサイトはこちら)。
一般に7-10日程度の潜伏期を経て普通のかぜ症状が始まり、徐々に咳の回数が増え、咳の程度も激しくなり、その後、2-3週間けいれん性の咳発作が続きます。ただし、アデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなどの呼吸器感染症でも同様の発作性の咳嗽を示すことがあるため、「鑑別診断」と「適切な治療」が重要となります。
このため、保険診療においても百日咳の鑑別診断を目的とする各種検査が診療報酬で評価されており、その1つにD023【微生物核酸同定・定量検査】の「13 百日咳菌核酸検出、肺炎クラミジア核酸検出、百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出、ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」(360点)があります。
診療報酬点数表の解釈通知では、このうち「百日咳菌核酸検出」検査を保険診療の中で実施する場合のルール(留意事項)を次のように定めていました。
▽(旧)百日咳菌核酸検出は、「関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床判断例の定義を満たす患者」に対して、「LAMP法により測定」した場合に算定できる
今般の通知では、最新の医学的知見を踏まえて、新たに「PCR法による測定」についても保険診療の適用対象とすることを明らかにしました。この見直しにより、「百日咳菌核酸検出」検査を保険診療の中で実施する場合のルール(留意事項)は次のように改められます。
▽(新)百日咳菌核酸検出は、「関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準 における臨床判断例の定義を満たす患者」に対して、LAMP法またはPCR法により測定した場合に算定できる
なお、「百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出」のルールには修正はありません。
▽(修正なし)百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出は、「関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床判断例の定義を満たす患者」に対して、PCR法により測定した場合に算定できる
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