Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Post Type Selectors
0819ミニセミナーGemMed塾

悪性腫瘍組織検査、心カテ検査、膵嚢胞胃(腸)バイパス術、経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術、画像等手術支援加算の算定ルール見直し—厚労省

2025.6.4.(水)

悪性腫瘍組織検査、心臓カテーテル法による諸検査、膵嚢胞胃(腸)バイパス術、経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術、画像等手術支援加算について、点数算定ルールを一部見直す—。

厚生労働省は5月30日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。6月1日から適用されています(厚労省サイトはこちら)。

新検査手法の保険適用など踏まえて、検査料などの算定ルールを見直し

今回、改正が行われたのは、2024年度診療報酬改定に関する次の5本の通知です。
(1)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(2024年3月5日付、保医発0305第4号)
(2)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(2024年年3月5日付、保医発0305第8号)
(3)特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部改正に伴う特定保険医療材料料(使用歯科材料料)の算定について(2024年3月5日付、保医発0305第10号)
(4)特定診療報酬算定医療機器の定義等について(2024年3月5日付、保医発0305第11号)
(5)特定保険医療材料の定義について(2024年3月5日付、保医発0305第12号)



このうち(1)の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」は、診療報酬点数を算定する際の細かなルール(どういった医療行為を行えば点数算定ができるのか、どういった診療ガイドラインに従わなければならないのか、どの点数と併算定が可能なのかなど)を規定する通知です。

今回の通知では、次の5つの診療報酬項目について算定ルールの見直しを行っています。
(1)D004-2【悪性腫瘍組織検査】
(2)D206【心臓カテーテル法による諸検査】
(3)K705【膵嚢胞胃(腸)バイパス術】
(4)K841-2【経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術】
(5)K939【画像等手術支援加算】

まず(1)のD004-2【悪性腫瘍組織検査】は、がん患者に対し「どの抗がん剤が効果的か、適切か」を選択するために行う遺伝子検査などを評価する診療報酬項目です。「Xという遺伝子変異がある場合に、●●という抗がん剤等が奏効する」といった知見が集積されてきたことを受けたもので、次のように複雑な点数設定がなされています。

1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
(2)その他のもの:2100点
ロ 処理が複雑なもの:5000点

2 抗悪性腫瘍剤感受性検査:2500点

▽注1 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のイ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:4000点
ロ 3項目:6000点
ハ 4項目以上:8000点

▽注2 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のロ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:8000点
ロ 3項目以上:1万2000点



点数表の解釈通知(2024年度診療報酬改定における「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」)では、上記の各項目にどういった種類の検査が該当するのかなどを詳細に示しています。

今般の通知では、5月14日の中央社会保険医療協議会・総会で新検査手法が保険適用されたことを踏まえ、新たに次のような算定ルールが設けられています。

▽RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんにおけるDNAメチル化検出検査は、当該疾患における治療薬の選択の補助に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、リアルタイムPCR法によりDNAメチル化状態の検出を行った場合に、「1」の「イ」の「(1) 医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」の所定点数(2500点)を準用し、患者1人につき1回に限り算定する





(2)のD206【心臓カテーテル法による諸検査】については、▼右心カテーテル:3600点▼左心カテーテル:4000点—に点数が区分され、さらに次のような加算等が設けられています。

▽注1:新生児・3歳未満の乳幼児に検査を行った場合の【新生児加算】(右心では1万800点、左心では1万2000点)・【乳幼児加算】(右心では3600点、左心では4000点)

▽注2:卵円孔・欠損孔を通しての左心カテーテル検査を行った場合の【卵円孔・欠損孔加算】(800点)、経中隔左心カテーテル検査(ブロッケンブロー)を行った場合の【ブロッケンブロー加算】(2000点)、伝導機能検査を行った場合の【伝導機能検査加算】(400点)、ヒス束心電図を行った場合の【ヒス束心電図加算】(400点)、診断ペーシングを行った場合の【診断ペーシング加算】(400点)、期外(早期)刺激法による測定・誘発試験を行った場合の【期外刺激法加算】(800点)、冠攣縮誘発薬物負荷試験を行った場合の【冠攣縮誘発薬物負荷試験加算】(800点)、冠動脈造影を行った場合の【冠動脈造影加算】(1400点)

▽注3:血管内超音波検査・血管内光断層撮影を実施した場合の【血管内超音波検査加算】・【血管内光断層撮影加算】(いずれも400点)

▽注4:冠動脈血流予備能測定検査を実施した場合の【冠動脈血流予備能測定検査加算】(600点)

▽注5:循環動態解析装置を用いて冠動脈血流予備能測定検査を実施した場合の【冠動脈血流予備能測定検査加算(循環動態解析装置)】(7200点)

▽注6:一定の施設基準を満たした医療機関で血管内視鏡検査を実施した場合の【血管内視鏡検査加算】(400点)

▽注7:同一月中に【血管内超音波検査】【血管内光断層撮影】【冠動脈血流予備能測定検査】【血管内視鏡検査】のうち2以上の検査を行った場合には、主たる検査の点数を算定

▽注8:カテーテルの種類、挿入回数によらず一連として算定し、諸監視、血液ガス分析、心拍出量測定、脈圧測定、肺血流量測定、透視、造影剤注入手技、造影剤使用撮影、エックス線診断の費用は、全て所定点数に含まれる(別に請求できない)

▽注9:エックス線撮影に用いられたフィルムの費用はE400【フィルム】の所定点数により算定する

▽注10:心腔内超音波検査を実施した場合の【心腔内超音波検査加算】(400点)



今般の通知では、注3の【血管内超音波検査加算】・【血管内光断層撮影加算】に関連して、新たに次のようなルールが設けられました

▽「急性冠症候群で、罹患枝を2つ以上有する患者」または「慢性冠症候群で、罹患枝を2つ以上有し、かつ糖尿病、慢性腎臓病、高コレステロール血症のうちいずれか2つ以上を満たす患者」に対し、関連学会の定める適正使用指針を遵守して血管内近赤外線分光法検査を行った場合には、注3の所定点数(400点)を準用して算定する

▽「血管内超音波装置」、「血管内光断層撮影」または「血管内近赤外線分光法検査」を併せて実施した場合には「主たるもの」のみ算定できる





他方、(3)K705【膵嚢胞胃(腸)バイパス術】については、次のような2区分の点数設定がなされています。
「1」内視鏡によるもの:1万3820点
「2」開腹によるもの:3万1310点

今般の通知では、次のような新たな点数算定ルールが設けられています。

▽関連学会の定める適正使用指針を遵守し、消化器用瘻孔形成補綴材留置システムを用いて経胃または経十二指腸的に内視鏡下胆嚢ドレナージ術を実施した場合は、区分「1」の所定点数(1万3820点)を準用して算定する。





また、(4)のK841-2【経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術】は、次の3区分の点数が設定されています。
「1」ホルミウムレーザーまたは倍周波数レーザーを用いるもの:2万470点
「2」ツリウムレーザーを用いるもの:2万470点
「3」その他のもの:1万9000点

今般の通知では、次のような算定ルールが新たに設けられました。

▽ネオジミウム・ヤグ倍周波数レーザ(グリーンレーザ)、ダイオードレーザまたは光ファイバレーザによる経尿道的前立腺蒸散術を行った場合には、「1」に掲げる所定点数(2万470点)を算定する





さらに、(5)K939【画像等手術支援加算】は次の2つの区分で点数が設定され、それぞれの区分で算定できるKコードが明示されています。
「1」ナビゲーションによるもの:2000点
「2」実物大臓器立体モデルによるもの:2000点
「3」患者適合型手術支援ガイドによるもの:2000点

今般の通知では、新たに次のような点数算定ルールが明示されました。

▽以下に掲げる手術に当たり、「関連学会の定める対象疾患の選定指針に合致する先天性心疾患患者」に対し、マルチスライスCT画像情報を基に作製された実物大心臓3Dモデルによる手術計画立案の支援を行った場合には、「2 実物大臓器立体モデルによるもの」の所定点数の9回分を合算した点数(1万8000点)を準用して算定する

▽この場合、レセプトの摘要欄に「医学的な必要性」を記載する

(対象手術)
・K558【ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)】(19万2920点)
・K567【大動脈縮窄(離断)症手術】の「3 複雑心奇形手術を伴うもの」(17万3620点)
・K576【心室中隔欠損閉鎖術】の「1 単独のもの」(5万2320点)
・K576【心室中隔欠損閉鎖術】の「2 肺動脈絞扼術後肺動脈形成を伴うもの」(6万5830点)
・K579-2【完全型房室中隔欠損症手術】の「2 ファロー四徴症手術を伴うもの」(19万2920点)
・K580【ファロー四徴症手術】の「2 末梢肺動脈形成術を伴うもの」(9万4060点)
・K582【両大血管右室起始症手術】の「3 心室中隔欠損閉鎖術及び大血管血流転換を伴うもの(タウシッヒ・ビング奇形手術)」(19万2920点)
・K583【大血管転位症手術】の「1 心房内血流転換手術(マスタード・セニング手術)」(11万4510点)
・K583【大血管転位症手術】の「3 心室中隔欠損閉鎖術を伴うもの」(17万3620点)
・K584【修正大血管転位症手術】の「2 根治手術(ダブルスイッチ手術)」(20万1630点)
・K585【総動脈幹症手術】(14万3860点)
・K587【左心低形成症候群手術(ノルウッド手術)】(17万9310点)



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

【関連記事】
小児の筋ジストロフィー治療に用いる「エレビジス点滴静注」、米国で5億円近い価格設定がなされ、どう保険適用を考えるか—中医協総会(2)