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2040年の超高齢社会でも「医療と介護をつなぐ看護がその役割を十分に発揮できる環境整備」目指し、処遇改善等進めよ—日看協

2025.6.18.(水)

2040年の超高齢社会でも「医療と介護をつなぐ看護がその役割を十分に発揮できる環境整備」を目指して、看護職員の処遇改善や夜勤評価の充実(労働基準法改正)などを進めてほしい—。

日本看護協会が6月12日に、このような内容の要望書を福岡資麿厚生労働大臣に宛てて提出しました(日看協のサイトはこちら)。

介護現場で働く看護職は「処遇改善から置き去り」

ついに2022年度から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、今年度(2025年度)には全員が後期高齢者となります。

さらに2025年以降は、高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)ものの、▼85歳以上の高齢者比率が大きくなる(重度の要介護高齢者、医療・介護の複合ニーズを持つ高齢者、認知症高齢者などの比率が高まっていく)▼支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく(医療・介護人材の確保が極めて困難になる)—ことが分かっています。

このため日看協では「医療と介護をつなぐ看護がその役割を十分に発揮できる環境整備」が急務とし、来年度(2026年度)予算編成や政策策定に当たって、次の7項目を福岡厚労相に要望しました。
(1)医療・介護に従事する看護職員の処遇改善
(2)夜勤交代制勤務従事者の健康確保のための労働基準法改正
(3)看護業務へのデジタル技術導入(看護DX)の促進
(4)カスタマーハラスメント対策の強化
(5)働く世代の健康を支える産業保健体制の強化
(6)医療提供体制の維持に課題のある地域での看護体制に係る実証事業推進
(7)2040年に向けた看護提供体制の在り方の検討



まず(1)では、▼診療報酬の期中改定も視野に入れた「看護職員の賃金上昇につながる財政支援」▼在宅・介護領域(訪問看護・介護施設など)で働く看護職員の処遇改善を目的とした財政支援▼診療報酬に「経済情勢や人口変動に柔軟に対応できる」仕組みの導入—を要望しています。

看護職員の給与は「夜勤手当」が含まれているために0歳代では高いものの、30歳代で一般労働者に追い抜かれ、その後、格差が拡大していくこと、また介護においては「看護職員が処遇改善から置き去りになっている」(例えば訪問看護ステーションに処遇改善等加算が設けられていない)ことなどを踏まえた要望です。

日看協要望1(看護職員の処遇改善が必要)



また(2)では、▼勤務間インターバル制度の導入義務化▼夜勤時間数に応じた法定労働時間の短縮▼深夜業に対する割町賃金の増額—を求めています。

病院等では入院患者等の安全を確保するために、看護職員による夜勤が必要不可欠ですが、夜勤負担が一部看護職員に偏っている、夜勤可能者が減っているなどの大きな問題があり、これは「病院等の存立」をも脅かすことにつながりかねません。

日看協要望2(夜勤の負担軽減が必要)



他方(3)は、高齢化の進展に伴って「看護業務の増大」が生じる一方で、看護職員確保が難しい点に鑑みて、「効率的な看護業務のためのICT技術導入」が必要不可欠な点を踏まえたものです。もちろん、看護職員の負担軽減にとどまらず、情報を活用した「質の高い看護・医療提供」につながることは述べるまでもありません。

日看協要望3(看護DX推進)



また(4)(5)も、看護職員が安心して業務を継続するために必須の要望と言えます。

日看協要望4(ハラスメント対策)



さらに(6)は、へき地など医療提供体制の維持が難しい地域において、「看護師」が地域の医療を確保する重要な位置を占めることに鑑みた検証事業を行うことを提案しています。



関連して(7)では、「看護職員を質・両面から確保し、国民に必要な看護を提供する体制」の確立に向けて、2040年からバックキャストし「看護提供体制全体」の在り方を検討することを提言しています。

日看協要望5(2040年に向けた看護の在り方検討)



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