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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

C項目の内科的処置、「消化管出血への処置」や「血管内処置」などを盛り込む必要―日病・万代常任理事

2016.2.29.(月)

 2016年度の診療報酬改定により、医療・看護必要度のC項目として「救命等に係る内科的治療」が導入されるが、少なくとも「消化管出血への処置」や「血管内処置」などは手術に匹敵するもので、具体的項目として盛り込むべきではないか―。

 こういった考えを、日本病院会の万代恭嗣常任理事(中央社会保険医療協議会委員)が29日の定例記者会見で明らかにしました。

2月29日の定例記者会見で、2016年度診療報酬についての総括を行った日本病院会の万代恭嗣常任理事

2月29日の定例記者会見で、2016年度診療報酬についての総括を行った日本病院会の万代恭嗣常任理事

 また堺常雄会長は、「新専門医制度の適切実施に向け、日病としてバックアップしていく」考えを強調しています。

2月29日の定例記者会見で、新専門医制度に関してバックアップを行う考えを強調した日本病院会の堺常雄会長

2月29日の定例記者会見で、新専門医制度に関してバックアップを行う考えを強調した日本病院会の堺常雄会長

DPCのII群要件、将来的には「絶対的基準」とすべき

 万代常任理事は、2016年度改定について「現場も視野に入れた、全体として整合性のとれた、隅々まで行き届いた内容になっている」と厚生労働省のかじ取りを高く評価(関連記事はこちら)。その一例として医師事務作業補助体制加算を挙げ、▽急性期(一般病棟)以外の療養病棟・精神病棟でもある程度算定できるようになった▽特定機能病院でも一部算定できるようになった▽作業場所の範囲が拡大され、カルテ入力などは必ずしも病棟で行う必要がなくなった―転が評価できると述べました(関連記事はこちら)。

 一方、7対1入院基本料における重症患者割合の引き上げ(200床以上は25%、200床未満は23%)など「急性期入院医療には極めて厳しいものになる」とも見通します。

 そうした中で、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」にC項目が新設され、そこには「救命等に係る内科的治療(2日間)」が含まれていますが、どのような治療項目が含まれるのか、が注目されています。

 この点について万代常任理事は、「救命という点ですぐに思い浮かぶのは『消化管出血への処置』があり、これを含めるのは当然であろう。また、『血管内処置』も手術に匹敵するものである」との見解を示しています。さらに、「救命等の『等』をどこまで読むのか。しっかり通知で対応してもらいたい」との希望も述べました。

 3月上旬に示される通知などの中では「6-7項目が例示されるのではないか」との見方もあり、厚労省の動きが注目されます。

 また2016年度改定では、ICUなどを持つ病院や許可病床数500床以上の病院では「地域包括ケア病棟は1病棟に限る」ことになります(関連記事はこちら)。この点について万代常任理事は、「地域包括ケア病棟の医療上の性格を担うのは確かに200床未満の病院である」と指摘。ただし、「個人的な見解」であることを強調した上で、「設置病棟数の制限は、もう少し緩やかに、段階的に行ったほうがよかったのではないか」との見解も示しています。地域によっては、1つの病院で高度急性期医療を展開しながら、同時に在宅患者などの急性期増悪といった軽度急性期(いわゆるsub acute)に対応する機能を持つ、という形態を認めて良いのではないかという考えに立つものでしょう。

 さらに万代常任理事はDPCのII群要件について、「将来的には『絶対的基準』を設定すべき」との見解も明らかにしました。現在、DPCのII群病院になるためには、(1)診療密度2)医師臨床研修の実施(3)高度な医療の提供(4)重症患者に対する診療の実施―の各項目について、I群病院(大学病院本院)の最低値を上回らなければいけないという要件が設定されています。

 しかし、これらは「相対的基準」であるため、I群病院の実績に大きく左右され、かつ診療報酬改定の度にII群病院の入れ替わりが生じてしまいます。

 万代常任理事は、この点について「4月1日から、突然II群になりました、III群になりましたでは、医療を受ける患者・国民にとって分かりにくい。将来的には、II群とIII群の性格付けをし、医療を受ける患者・国民にも分かりやすくすべきで、『絶対的基準』を設けるべきであろう」との考えを述べました(関連記事はこちらこちら)。

 2016年度改定に向けてDPC評価分科会でも絶対的基準の論議が行われましたが、十分なデータが揃わず時間切れに終わりました。2018年度の次期改定やさらに将来の改定において、II群の「絶対的基準」に関する議論が続けられることでしょう。

新専門医制度、批判だけでなく「建設的な意見」を出すことが重要

 新たな専門医の養成が来年(2017年)4月からスタートする予定です。しかし、8日に開かれた社会保障審議会・医療部会1では、新専門医や養成プログラムを認定する日本専門医機構に対し「地域医療への配慮が十分ではない」との批判が相次ぎ、専門委員会を設定して、さらなる検討を行うことになりました。

 この点について堺会長は、批判の背景には「専門医機構の情報が分かりにくい」という側面もあるとし、日病としてバックアップしていく考えを述べました。堺会長は「四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)では専門医機構から説明を受け、そこでは『なるほど』と理解することができたが、説明会に参加できない病院にはなかなか分かりにくい面がある。私(堺会長)や末永裕之副会長が見える化をサポートしていきたい」と述べています。

 また、18日の医療部会では、日本医師会の中川俊男副会長らから「2017年4月からの養成開始は延期すべき」との指摘がありました。この点について堺会長は、「『延期すべき』『延期すべきでない』という抽象論ではなく、例えば『延期すべき』と主張するのであれば、その理由はどこにあるのか、具体的に議論していく必要がある。18日の医療部会は、専門医機構からのヒアリングにすぎなかった。専門委員会で具体的に議論し、修正できる部分は修正し、足りない部分は皆で策を練っていくことが重要であろう」との見解を述べました。

 さらに堺会長は、日病の常任委員会で「批判をすることは簡単だが、建設的な意見を述べていく必要がある」という意見が多数出ている点も強調しています。

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