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「夜間の看護要員配置」など、2016年度診療報酬改定の効果・影響を検証―中医協

2016.5.18.(水)

 2016年度診療報酬改定で見直された、「夜間の看護要員配置における要件」や「かかりつけ医の評価」「重症度などに応じた在宅医療・訪問看護の評価」などについて、今年度(2016年度)に、医療現場に及ぼされた影響・効果を検証する―。

 こういった方針が、18日に開かれた中央社会保険医療協議会の診療報酬改定結果検証部会と、引き続き行われた総会で了承されました。

 厚生労働省は、具体的な調査内容などを固め、10-12月にかけて調査実施、年明け1月頃に調査結果を中医協に報告する考えです。

5月18日に開催された、「第332回 中央社会保険医療協議会 総会」

5月18日に開催された、「第332回 中央社会保険医療協議会 総会」

看護師の夜勤状況や、夜勤する看護職員のサポート状況などを調査

 2年に一度行われる診療報酬改定の目的の一つに、「医療現場の課題を解決する」という重要事項があります。このため、診療報酬改定後に、「医療現場の課題は解決方向に向かっているのか」「意図した方向と医療現場の動きに乖離はないか」といった視点に立って、効果の検証調査とその解析が行われます((診療報酬改定の結果検証に係る特別調査、通称「結果検証調査」)(関連記事はこちら)。

 その結果、「思うように効果が出ていない」のであれば次期改定でテコ入れを行い、「狙いとは異なる方向に進んでいる」ことが分かれば軌道修正を行います。

 調査は、(1)改定の効果・影響が出やすい項目は改定年度(今回は2016年度)に実施(2)効果が現れるまでに時間のかかる項目は改定の翌年度(今回は2017年度)に実施―という2段階で実施されるのが通例です。

 18日の中医協では、9つの改定項目(後発医薬品については2016・17の両年度に実施されるので、これをカウントすると10改定項目)と、調査実施年度案が厚労省から示され、了承されました。

【2016年度の調査項目】

(1)夜間の看護要員配置における要件などの見直しの影響、および医療従事者の負担軽減にも資するチーム医療の実施状況(関連記事はこちら

(2)かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価などの影響、および紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の実施状況(関連記事はこちら

(3)重症度や居住形態に応じた評価の影響などを含む在宅医療・訪問看護の実施状況(関連記事はこちら

(4)精神疾患患者の地域移行・地域生活支援の推進や適切な向精神薬の使用の推進などを含む精神医療の実施状況

(5)後発医薬品の使用促進策の影響、および実施状況

【2017年度の調査項目】

(a)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況などを含むリハビリテーションの実施状況(関連記事はこちら

(b)医薬品の適正使用のための残薬、重複・多剤投薬の実態、ならびにかかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響および実施状況

(c)ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果など

(d)公費負担医療に係るものを含む明細書の無料発行の実施状況

(e)後発医薬品の使用促進策の影響、および実施状況(2016、17年度の両年度で調査実施)

 

 (1)の「夜間看護要員配置」に関しては、▽看護職員の月平均夜勤時間に係る要件の見直しの影響▽病院勤務医などの負担軽減が進んでいるか▽負担軽減のための医師事務作業補助者および夜間における看護補助者の配置などが進んでいるか▽多職種によるチーム医療の実施・役割分担が進んでいるか―といった点が調べられます。

 2016年度改定では、入院基本料の施設基準である「看護師の月平均夜勤時間72時間」要件の計算方法を見直した(除外する短時間夜勤者の基準を見直し)一方で、看護師の夜勤をサポートするために看護職員夜間配置加算の充実(16対1配置加算や、「負担軽減に資する業務管理」などを要件とする12対1の施設)▼夜間急性期看護補助体制加算への「夜間看護体制加算」の新設▼看護補助加算への「夜間看護体制加算」などの新設▼―などが行われています。

 これらが医療現場にどのような影響を及ぼしているのかが注目されます。夜勤72時間の計算方法見直しに強く反対していた支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「2016年度改定後に、個々の看護職員について夜勤が増加していないか」をきちんと調べてほしいと求めています。平川委員は、少ない看護師で月夜勤72時間要件を満たせることになるため、看護師を減らす可能性がある。そうなれば一部の看護師の夜勤負担がより過重になる」と中医協総会で指摘「していました。

 

 今後は、厚労省と検証部会委員や関係学会などで「調査検討委員会」を設置し、具体的な調査内容(質問項目や質問の順番をどうするかなど)を固め、10-12月に調査実施、年明け1月に調査結果の中医協報告というスケジュール感で進められます。

 また、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「例えば『長期投薬によって患者の病状変化に気づくことが遅くなっていないか』といった仮設を立て、調査項目を絞ってはどうか」と提案しています。これは、調査項目が膨大なために回答率が下がる(医療機関が重い負担を感じる)ことを危惧した提案です。

 厚労省も回答率向上が重要テーマと認識しており、▽NDB(National Data Base)の活用拡大(算定件数など)▽バイアスの防止(薬局患者向けの調査票を病院調査の患者に配布するなど)―などを行う考えです。

 なお、結果検証部会で野口晴子委員(早稲田大学政治経済学術院教授)は「調査結果を学術研究目的でも活用できるようにしてほしい」と要望しています。

画期的な人工頭蓋骨や、ICUなどで算定可能な新たなデングウイルス検査を保険収載

 18日の中医協総会では、次の新医療機器と新たな検査について保険収載が認められています。いずれも6月から保険収載されます。

【新医療機器】

▽特定患者の頭蓋、顎、顔面の部分的骨欠損の補填、補修に用いる「クラニオフィット」

 3Dプリンターを用い、欠損部の形状に合わせて製造するチタン合金製の人工頭蓋骨で、「従来品に比べて薄く、頭皮への影響が少ない」「複雑な形状に対応できる」という特徴がある。区分C1(新機能)で、償還価格は81万3000円。

6月から新たに保険収載される人工頭蓋骨「クラニオフィット」

6月から新たに保険収載される人工頭蓋骨「クラニオフィット」

 

【新たな臨床検査】

▽デングウイルス抗原および交代同時測定定性(イムノクロマト法):233点

 感染初期および2回目感染のデング熱を診断することができ、入院が必要な患者に対し、速やかに重点的な治療を開始できるというメリットがある。算定に当たって、次のような留意事項が設定される見込み。

(1)デングウイルスNS1抗原、IgG抗体およびIgM抗体を、イムノクロマト法を用いて同時に測定した場合に算定できる

(2)国立感染症研究所が作成した「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」に基づきデング熱を疑う患者が、当該患者の集中治療に対応できる下記のいずれかに係る届け出を行っている保険医療機関に入院を要する場合に限り算定できる

・A300救命救急入院料「1」から「4」までのいずれか

・A301特定集中治療室管理料「1」から「4」までのいずれか

・A301-2ハイケアユニット入院医療管理料「1」又は「2」のいずれか

・A301-4小児特定集中治療室管理料

(3)感染症の発生状況、動向および原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施された場合は算定できない

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