紹介状なし患者からの特別負担徴収、「消費税」はどのように計算するのか—四病協
2022.8.26.(金)
特定機能病院、200床以上の地域医療支援病院、200床以上の紹介受診重点医療機関では、紹介状なしに外来を受診する患者から「初診時には7000円以上」などの特別負担を徴収することが義務付けられる。
その際、消費税10%を合わせて徴収する必要があるが、それは「7000円の10%である700円」とするのか、それとも「2000円分は保険点数から控除されるために『7000円-2000円』の10%である500円」とするべきなのか—。
8月24日に開催された四病協団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会で、こうした点が問題視されたことが、日本医療法人協会の加納繁照会長から報告されました。厚生労働省から財務省へ確認が行われます。
初診時であれば「初診料から2000円を割り引く」仕組みが2020年度改定で導入
外来医療の機能分化を目指し、2022年度の診療報酬改定では、例えば次のような対応が行われました(関連記事はこちら)。
(1)紹介状なし患者からの特別負担徴収義務について次のような見直しを行う
(a)現行の「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」も対象に加える
(b)定額負担を求める患者について初診料で医科・歯科ともに200点、再診料で医科50点・歯科40を割り引く
(c)定額負担額を初診では医科7000円・歯科5000円に、再診では医科3000円・歯科1900円に引き上げる
(d)除外要件(特別負担を求めずともよいケース)について、「急を要しない時間外の受診」「単なる予約受診」など、患者都合で受診する場合は認められないことなどの明確化・整理を行う
(2)一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関を対象に【紹介受診重点医療機関入院診療加算】(800点)を創設する(【地域医療支援病院入院診療加算】(1000点)との併算定は不可)
(3)紹介率・逆紹介率が低い病院における初診料・外来診療料の減算規定について次のような見直しを行う
(a)現行の「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」も対象に加える
(b)紹介率・逆紹介率を「紹介割合」「逆紹介割合」に名称変更し、定義等を実態に即したものへ見直す
(4)「外来→在宅」と移行する患者に円滑な医療提供が行われるよう、外来担当医と在宅担当医が共同して指導等を実施した場合の評価【外来在宅共同指導料】(指導料1:400点、指導料2:600点)を新設する(外来・在宅双方の担当医が算定可能)
(5)紹介を受けた患者に対しどういった治療等を行ったかなどの情報を紹介元へ返した場合の評価である【診療情報提供料(III)】について、名称を【連携強化診療情報提供料】に変更し、▼算定回数を「3か月に1回」から「1か月に1回」に拡大▼「かかりつけ医-紹介受診重点医療機関」間の情報連携評価も対象とする―といった見直しを行う
このうち(1)に関して冒頭のような疑問が四病協・総合部会で示されました。
患者から「7000円」(初診時)を徴収する点を考慮すれば、消費税は「7000円×10%」の「700円」と考えるのが普通です。
しかし、(1)(b)のように「初診であれば200点(=2000円)を割り引く」仕組みを考慮すれば、医療機関に収められるのは「7000円-2000円」であり、「5000円×10%」の「500円」と考えることもできそうです。
もっとも「割り引かれる2000円(初診時)」は保険診療の仕組みの問題であり、「患者-医療機関間」の取り引きとダイレクトにつながるものではない点を考慮すれば、「2000円の割り引き」が消費税計算には関係なく「通常どおりの700円になる」とも思えます。
この点については四病協・総合部会で説明を行った厚生労働省担当者も明確に回答できず「財務省に確認する」こととなりました。医療機関窓口で「患者からいくらを徴収すればよいのか」にかかわるため、早急な明確化が求められます。
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