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424再検証病院の「急性期ベッド削減」に終わらせず、民間病院も踏まえた地域医療の再検証を―日病・相澤会長

2019.10.2.(水)

 再編統合を再検証する424の公立病院・公的病院等が公表されたが、「急性期病床のダウンサイジング」に終わってしまってはもったいない。「民間病院の診療実績データ」「急性期以外の診療実績データ」も踏まえて、地域で「機能分化・連携の推進」を検討・議論していくべきではないか―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は10月1日の定例記者会見で、このような考えを述べました。

10月1日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

 

急性期ベッド削減で終わらせることなく、地域の医療提供体制全体を再検証すべき

 Gem Medでもお伝えしているとおり、厚生労働省は9月26日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」に、再編統合に向けた再検証が必要な424の公立病院・公的病院等の実名等を示しました(再検証要請対象医療機関)。診療実績データをもとに、「診療実績の少ない」「機能の類似した病院が近接している」公立病院・公的病院等について、機能分化の再検証を求めるもので、「この病院も対象に含まれているのか」と衝撃を持って迎えられているようです。

 この点、相澤会長はいくつかの問題点がある旨を指摘しています。

まず「再検証の目的はどこにあるのか」という点です。厚労省は「再編統合」は、統廃合のみを意味するものではなく、「機能分化」や「ダウンサイジング」も含めた広い意味であることを強調しています。

424の再検証要請対象医療機関の多くは、「地域でケアミクス医療を提供し、急性期病床を一部もっている」病院です。こうした病院について「急性期病床を減少する」(ダウンサイジング)ことさえすれば、「再検証の目的は果たした」と考えることもできそうです。

従前より「地域医療構想における急性期機能の病床の必要量」(2025年の必要病床数)と「病床機能報告における急性期病床数」(実際の病床数)との間には大きな乖離があり、424病院の急性期病床数削減で、乖離を相当程度埋めることができるからです。

 
 しかし相澤会長は、「急性期病床のダウンサイジングだけで済ませて良いものか。あそこまで分析したのであるから、病院の機能分化等を地域で検討すべきではないか」と訴えます。診療実績データをもとに、「自院は●●機能が弱いが、強化すべきか、それとも近隣病院に●●機能を譲り渡し、別の機能の強化を図るべきではないか」「地域では◆◆機能が不十分なような、自院と近隣病院とが協力して機能強化を図るべきではないか」「将来の人口動態を踏まえれば、地域では◇◇機能がいずれ過剰となる。地域全体で機能転換やダウンサイジングを考えるべきではないか」という検討・議論を、この機会にすべきとの考えです。

 
ただし「病院の機能分化等」は、個々の病院だけで考えるだけではなく、地域で「どの病院がどういった機能を果たし、他の医療機関とどういった連携をすべきか」を考える必要があります。

その際には、当然、公立病院・公的病院等だけではなく、「民間病院」をも交えた議論が必要です。しかし、今般、民間病院のデータは示されておらず、日病では「民間病院のデータも何らかの形で提示してもらい、地域全体で機能分化等の論議を進める必要がある」との考えを固めています。地域医療構想ワーキングでも、こうした指摘が出ており、厚労省がどういった形で民間病院データを示すのかが注目されます。

 
また「病院の機能分化等」を地域で考える際には、当然「急性期機能」データだけでは不十分です。しかし、今般のデータは▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期▼災害▼へき地▼研修・派遣機能―のみとなっています。もちろん、地域医療構想ワーキングでは「まず公立病院・公的病院等でなければ果たせない機能への特化」を主眼に議論を進めてきていることから、データが「急性期機能のみ」に偏るのは当然のことですが、相澤会長は「回復期や慢性期などの多機能を見ていく必要がある」と提案しています。

 
さらに相澤会長は「今般の急性期医療のデータにも偏りがある」と指摘します。例えば、「内科系の急性期」や「sub acute(言わば軽度急性期)」などの急性期医療の大部分を占める症例は、今般のデータには必ずしも含まれていません。相澤会長は「急性期の定義はいまだに明確にされていないが、圧倒的多数を占める、軽度の急性期医療を除外すれば、地域の急性期医療全体を見ることはできない」と述べています。

併せて、「近接」の定義についても「自動車で20分という。急性心筋梗塞や脳卒中であればこの定義で良いと思うが、がん医療については自動車で60分以上離れた病院でも普通に受診する。疾病の特性に応じたきめ細かな分析をすべきではないか」と提案しています。

日病本部から「病院の将来像検討に資するデータ」提供も

 
なお相澤会長は、同じ診療実績データであっても、「医療政策をこういう方向に誘導したい」と考える厚労省と、現場の病院とでは、見方や切り口が大きく異なる点も強調。この違いが「厚労省はデータを示すが、どうも医療現場の肌感覚とマッチしない」という病院サイドの違和感につながっているのではないかと分析し、日病として「会員病院に向けてさまざまなデータを提供していきたい」との考えも示しました。

病院によっては、地域の人口動態や疾病構造、自院の機能(診療実績を含めて)、近隣病院の機能(同)を詳しく分析し、「地域医療の将来」「自院の将来」を見通せるところもありますが、それが難しい病院もあります。相澤会長は「後者のような病院には、日病本部がサポートを行う必要がある」と考え、現在「各種データの提供」に向けた準備を進めているといいます。相澤会長は「再編統合の再検証や合意を2020年9月までに行うこととされているので、なんとか年内にも各種データ提供を行いたい」とのスケジュール感も示しています。

 
 
 相澤会長は、GemMedを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の15周年記念感謝祭で特別講演をされています。その模様も併せてご覧ください(特別講演その1(厚労省・鈴木医務技監)特別講演その2(日病・相澤会長))。

 
 
 

 

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