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大阪府、急性期度の低い病棟を「地域急性期」(便宜的に回復期)とし、地域医療構想調整会議の議論を活性化—厚労省・医療政策研修会

2018.8.31.(金)

 地域医療構想調整会議の議論活性化に向けて、大阪府では、急性期と報告された病棟のうち、1日・1病棟(50床換算)当たりの▼すべての手術算定回数が「1」以上▼化学療法の算定回数が「1以上」▼救急医療管理加算のレセプト件数が「1以上」▼呼吸心拍監視(3時間超7日以内)が「2以上」—のいずれも満たさないところを、便宜上「地域急性期(sub acute、post acute)」と分類している―。

厚生労働省が8月31日に開催した「都道府県医療政策研修会」(以下、研修会)で、大阪府からこういった、いわゆる定量基準に関する報告が行われました。各都道府県には、地域医療構想調整会議の議論を活性化させるために「定量的基準」の策定が求められる中、注目すべき取り組みがまた1つ増えた格好と言えます(関連記事はこちら)。

8月31日に開催された、「平成30年度 第2回 医療政策研修会」

8月31日に開催された、「平成30年度 第2回 医療政策研修会」

 

2018年度中に都道府県が独自の「定量的基準」を設け、病床機能報告の分析を

 医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。

骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨の、また骨太の方針2018では「公立・公的医療機関については、地域の医療需要等を踏まえつつ、地域の民間医療機関で担うことができない▼高度急性期・急性期医療▼不採算部門▼過疎地等の医療提供—などに重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める」旨の指示がなされていることなどを受け(関連記事はこちら)、全国の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で公立・公的医療機関における将来の機能・規模などに関する議論を活発化させることが求められています(関連記事はこちらこちらこちら)。

一方で、調整会議を開くものの、その議論が形骸化していると指摘される地域もあり、厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長は「調整会議論議の実質的な活性化が不可欠」と、出席した自治体関係者や医師会・病院団体担当者に強く要望しています。

地域医療構想調整会議の活性化が急務と強調した、厚生労働省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長

地域医療構想調整会議の活性化が急務と強調した、厚生労働省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長

 
調整会議の議論を活性化させる方策の一つとして、「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」(いわゆる定量的基準)設定を求める方針を固め、厚労省は8月16日に通知を発出しています。

調整会議では、地域の医療関係者が集い、将来の医療提供体制マップといえる「2025年における病床の必要量」(地域医療構想に▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―ごとの病床数を記載)と、毎年度の病床機能報告結果(各病院が自院の病棟を▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―に区分し、人員配置や構造設備、診療内容などを報告)とを突き合わせ、個別医療機関の機能分化に向けた議論・調整が進められます。この点、病床機能報告における機能は「定性的」に定められており、各病院の体制や診療内容を基に機能分化を考えていく他ありませんが、「何が急性期機能で、回復期機能なのか」という目安や指標がない中での議論は難しいのが実際です。

そこでワーキングでは、独自に定量的基準を設けている都道府県では、調整会議の議論が活発に行われている状況などを踏まえ、「各都道府県において、2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準)を導入することを求める」との方針を固めたのです(関連記事はこちらこちら)。もちろん、都道府県によって、あるいは地域医療構想区域(主に2次医療圏)によって状況は区々であるため、「都道府県の実情に合わせた定量的基準」を設定することになります(「都道府県で1つの基準を設ける」こととしても、「地域医療構想区域ごとに複数設ける」こととしてもよい)。

厚労省は、病床機能報告結果(近く実施される2018年度の報告内容も含めて)を分析し、定量的基準を設定しやすい形に加工したデータを都道府県に提供する考えを明確にしています。2018年度の病床機能報告は10月に行われ、今年末(2018年末)には速報値が明らかになります。厚労省は「2018年度中の定量的基準設定に間に合うよう、年明け早々にも、この2018年度報告を加工したデータを都道府県に提供する」スケジュールを描いています。

これまでに▼佐賀県▼埼玉県▼奈良県―などの「独自の定量的基準」が各所で紹介されていますが(関連記事はこちら)、8月31日の研修会では大阪府の定量的基準が報告されました。

急性期度の低い「地域急性期」病棟を便宜的に回復期とし、そこを議論の出発点に

大阪府では、2017年度の病床機能報告結果と、2025年度における病床の必要量(地域医療構想)とを単純に比較すると「急性期と回復期の病床数・構成比」に非常に大きな乖離がありました。

【2017年度の病床機能報告結果(病床数の構成比)】
▼高度急性期:14.9% ▼急性期:43.5% ▼回復期:10.1% ▼慢性期:28.0%

【2025年度の病床の必要量(病床数の構成比、地域医療構想)】
▼高度急性期:11.6% ▼急性期:34.5% ▼回復期:30.9% ▼慢性期:22.9%

 単純比較をすれば「回復期が構成比で21.5%足らず、急性期等からの転換を促す」ことになりそうですが、大阪府では「急性期と報告している病棟の中にも、比較的回復期に近い医療提供を行っているところがあり、それを便宜的に『地域急性期』(sub acute、post acute)と位置づけ、そこを議論の出発点にしてはどうか」と考えたのです。

 「地域急性期」病棟は、病床機能報告結果を踏まえて次のように定義されています。

急性期と報告した病棟のうち、1日・1病棟(50床換算)当たりで、▼すべての手術算定回数が「1」以上▼化学療法の算定回数が「1以上」▼救急医療管理加算のレセプト件数が「1以上」▼呼吸心拍監視(3時間超7日以内)が「2以上」—のいずれも満たさない(逆に1項目でも満たせば急性期となる)

 「地域急性期」病棟は2017年度には「全体の11.3%」に相当し、「便宜上、回復期に該当する」と仮定して2017年度の病床機能報告結果を眺めると、▼急性期:32.2% ▼回復期:21.4%—となり、「2025年の病床の必要量と比較し、回復期の不足は9.4%(地域のより11%程度から3%程度と開きあり)に縮小する」ことが明らかになりました。大阪府の担当者は「現実的な議論を行える数字と言えるのではないか。これを議論の出発点としている」との見解を示しています。

調整会議の下に「全病院」が参加する連絡会設け、納得感のある議論を

なお、大阪府には「民間病院が極めて多い」(大阪府の民間病院割合は89.5%で、全国平均の81.1%に比べて多い)という特徴もあります。この点、調整会議による議論だけでは「民間病院を置き去りにした議論となり、議論の結果に皆が納得することにはならない」と判断。

そこで、調整会議の下に、地域の全病院が参加(原則として院長が出席、副院長、事務局長の出席も可)する「病院連絡会」を複数設置。そこで地域の全病院のデータを示し、実効性のある議論を目指していることも紹介されました。担当者は、上記の定量的基準と併せて「大阪アプローチ」と説明しています。

「急性期医療を提供していない病棟」の基準は全国一律に適用

 前述のように定量的基準は、「都道府県ごとに設定」します。ただし、厚労省は「全国一律の定量的基準」も設定、公表しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 それは、「急性期医療を全く提供していないと考えられる病棟」の基準です。具体的には、「高度急性期・急性期機能を選択しながら、次のいずれにも該当しない病棟」が当てはまります。

▼幅広い手術の実施
▼がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療
▼重症患者への対応(救急搬送診療料、観血的肺動脈圧測定、経皮的心肺補助法、頭蓋内圧持続測定など)
▼救急医療の実施
▼全身管理(呼吸心拍監視、ドレーン、胸腔・腹腔洗浄、人工呼吸など)

 2017年度の病床機能報告では、この「急性期医療を全く提供していないと考えられる病棟」は全国に1076あるとされており、調整会議において「機能選択に誤りはないか」「上記項目には該当しないが、別途、急性期医療を行っている事実があるのか、その診療内容とはどのようなものか」(病床機能報告で、すべての診療内容を把握できるわけではない)などの確認を行うことになります。
都道府県医療政策研修会 180831の図表

 
 

 

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