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都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」定め、調整会議の議論活性化を―地域医療構想ワーキング(1)

2018.6.15.(金)

 地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論を活性化し、病床機能報告制度の精緻化することなどを目指しに、▼都道府県単位の調整会議を設置し、県内の各調整会議の議長全員の参画を求めることを推奨する▼各都道府県で医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準とも言える)を、医療関係者と協議して導入することを求める▼高度急性期・急性期機能を全く果たしていない医療機関は高度急性期・急性期として病床機能報告することを認めない▼各医療機関に「2025年度の病床機能」に関する報告を求める―などといった見直しを行う―。

 6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が概ね固まりました。今後、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」と社会保障審議会・医療部会の了承を経て、省令改正などが行われます。

 今回は、「医療機能を考えるに当たっての目安・指標」の導入などに焦点を合わせ、都道府県単位の調整会議設置などは別稿でお伝えします。

6月15日に開催された、「第14回 地域医療構想に関するワーキンググループ」

6月15日に開催された、「第14回 地域医療構想に関するワーキンググループ」

佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になり、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくため、こうしたニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制の再構築が求められています。

その一環として「地域医療構想の実現」が重要テーマとなっており、骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨を指示しています(関連記事はこちら)。

機能転換は「医療機関が自主的に進める」ことが基本であり、調整会議の議論活性化が何よりも重要となります。

この点について、埼玉県や佐賀県、奈良県では医療関係者と協議し、「医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を考える上でも目安・指標」(ある意味で機能に関する定量的基準とも言える)を独自に設定しています。地域医療構想においては、病床の必要量を設定するために「1日当たりの資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」などの全国基準が置かれましたが、これは各地域における機能分化を考える上での物差しではなく、現実的には「高度急性期から慢性期を考えるに当たっての特段の目安・指標」は存在しないのです。目安・指標がないところで機能分化の議論をすることは難しく、「調整会議の議論を活性化する」ために目安・指標を置くことが重要となるのです。

埼玉県では、高度急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの手術件数が2.0回以上」などの、急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回以上」などの基準値を設定しています(あくまで目安にとどめている)(関連記事はこちら)。
地域医療構想ワーキング(1)の1(埼玉の定量基準) 180615
地域医療構想ワーキング(1)の2(埼玉の定量基準) 180615
地域医療構想ワーキング(1)の3(埼玉の定量基準) 180615
 
また佐賀県では、「平均在棟日数が22日を超える急性期病棟」は「回復期に近い急性期」と考えるとの目安を設置(関連記事はこちら)。

一方、奈良県では、「50床当たりの手術+救急入院件数が1日2件」という目安を設け、これを超える病棟を「重症急性期を中心とする病棟」、そうでない病棟を「軽症急性期を中心とする病棟」と区分けして考える方針を立てています(関連記事はこちら)。

奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている

奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている

 
6月15日のワーキングでは、こうした先進事例を踏まえ、他の都道府県でも「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標を導入する」ことを求めるとの方針が概ね了承されました。

ここで留意すべきは、目安・指標は「病床機能報告制度において強制力を持つものではない」「調整会議の議論において強制力を持つものではない」という点です。

病床機能報告は、毎年度1回、「自院の各病棟が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれの機能を持ち、将来、持たせる予定か」を医療機関の「自主的な判断」によって都道府県に報告する、というものです。これまでに「診療報酬の特定入院料・入院基本料と機能との紐づけ」(例えば特定集中治療室管理料は、その施設基準に照らし高度急性期であることが明確である)が行われていますが、各機能の選択は「医療機関が自主的に行う」ことが基本であり、今後、都道府県が設定する(あるいは既に設定している)目安・指標が報告内容を縛ることにはなりません(ただし、別稿で述べるように、急性期等の機能をまったく果たしていない医療機関では、急性期等と報告することが今後認められなくなる)。

また、調整会議においても「●●病院は目安・基準を満たしていないので、機能転換を図ること」といった強制的な議論は行われません。

これらの目安・指標は、例えば、「自地域では、急性期が多く、回復期が不足している。まず、各医療機関において目安・指標をどの程度満たしているか全体を見てみよう。その上で、客観的・俯瞰的な視点で機能分化が必要かどうかを検討してはどうか」といった活用方法が期待されます。

したがって目安・指標は「全国一律」ではなく、都道府県ごとに「医療関係者と協議し、合意を得た上で設定する」ことが重要です。この点について佐賀県の目安・基準作りで中心的な役割を果たした織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は「50回にもわたる議論を行った。目安・基準の内容よりも、議論のプロセスが重要である」と強調しています。

地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない

 ところで、6月15日のワーキングでは、こうした目安・指標の設定に関し、構成員の間で激しい意見の衝突がありました。

口火を切ったのは織田構成員。現場では、「2025年における病床の必要量」(地域医療構想)と「毎年度の病床機能報告結果」とを比較し、機能転換に向けた議論をしていきます。しかし病床の必要量は「患者数」をベースに設定しているのに対し、病床機能報告は「病棟」をベースとしており、両者の比較は難しいのです(病床機能報告で1病棟・40床を急性期と報告しても、その病棟には回復期患者などもいるため)。そこで織田構成員は「病床機能報告を見直し、例えば『急性期』と報告する際に、あわせて『うち回復期相当のベッドが●割』などと報告してもらうことで、病床機能報告結果を補正し、病床の必要量との比較が容易になる」と提案しました。

これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「病床の必要量と、病床機能報告結果は、性質が異なり、そもそも比較してはならないものである。仮に織田構成員の提案が導入されれば、『急性期病棟では重症患者割合が60%・70%いなければならない』といった診療報酬や施設基準の議論につながってしまう可能性がある」旨を述べ、織田構成員の提案に強く反対しました。もっとも、上述の「調整会議の議論を活性化するための目安・指標を設定する」ことには賛意を示しています。

この議論・論点は、調整会議で実際に機能分化を検討していく際にも非常に重要なもので、織田構成員の「円滑な病床機能報告や調整会議論議のために目安・指標が必要」と言う意見にも、中川構成員の「病床機能報告と病床の必要量を単純比較することは好ましくない」との意見にも頷けるものがあります。今後、各都道府県や各地域医療構想区域(主に二次医療圏)においても、こうした点にまで議論を深め、その上で個別病院の機能転換に向けた具体的な議論が展開されることが期待されます。

 
なお、冒頭に述べたように、調整会議の議論活性化に向けては「都道府県単位の調整会議設置」、病床機能報告の精緻化に向けては「高度急性期・急性期機能を全く果たさない場合の報告方式(急性期等での報告を認めない)」なども方針が固められており、それらは別稿でお伝えいたします。
 
 

 

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