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GemMed塾 看護モニタリング

5疾病・5事業、2018年度からの第7次医療計画で「指標」も含めて見直し―厚労省・医療計画検討会(2)

2016.11.10.(木)

 5疾病・5事業のうち「がん」については、均てん化を継続しながら、ゲノム医療などについて集約化を図る。「脳卒中」については、t-PA療法指針の改訂や、脳血管内治療の科学的根拠の確立、さらにリハビリの推進などを目指す。さらに「急性心筋梗塞」については回復期や慢性期を踏まえて「心筋梗塞等の心血管疾患」に改める―。

 9日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」では、医療計画に盛り込む5疾病・5事業について、厚生労働省からこうした見直し案が示されました(関連記事はこちら)。

 またCTやMRIの保守点検を含めた医療安全状況を、各診療所が都道府県に報告することも行われることになります。

11月9日に開催された、「第6回 医療計画の見直し等に関する検討会」

11月9日に開催された、「第6回 医療計画の見直し等に関する検討会」

5疾病・5事業の方向や、具体的指標を見直し

 お伝えしているように、検討会では2018年度からの第7次医療計画に向けて、都道府県が計画を作成する際の拠り所となる「基本方針」の策定・見直し論議を続けています。9日の検討会では、「5疾病・5事業」についての見直し方向も示されました。5疾病・5事業の構造を維持したまま、より充実した医療提供体制を構築するための見直しです(関連記事はこちらこちら)。

 第6次の医療計画からは「都道府県でPDCAサイクルを回す」ことになっていますが、ベースとなる指標に「都道府県で収集できない項目がある」「課題と数値目標のつながりが明確でない項目がある」といった問題点があり、うまくPDCAサイクルが回っていないのが実際です。そこで厚労省は、5疾病・5事業の評価指標についても見直しを行うことにしています。

PDCAサイクルを回すため、指標の見直しも行う

PDCAサイクルを回すため、指標の見直しも行う

 例えば、5疾病の1つである「がん」について見てみると、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の議論整理を踏まえて、▼拠点病院のない2次医療圏に地域がん診療病院(拠点病院の要件を一部緩和している)を整備するなど「均てん化」を推進する▼ゲノム医療や高度放射線治療などについては「集約化」を図る―といった見直し方向が明確にされています。

がん医療提供体制の見直し方向案

がん医療提供体制の見直し方向案

 指標については、新たに「拠点病院のない2次医療圏における地域がん診療病院の整備状況」を盛り込むほか、「診療ガイドライン等に基づき作成されたクリティカルパスを整備している医療機関」を「地域連携クリティカルパスに参加している登録医療機関数および適応患者数」に、また「悪性腫瘍手術・放射線治療・外来化学療法・緩和ケアの実施件数」を「がん診療連携拠点病院における標準的治療実施割合」に見直す考えも示されました。

がんの指標見直し案

がんの指標見直し案

 この点、相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は「2次医療圏に拠点病院がない背景には、さまざまな事情がある。指標を『がん診療病院の整備』のみとすると、県は指標に沿って、無理にがん診療病院の整備を進めてしまう。『分析して課題を明らかにする』ことを明確にする必要がある」と指摘。厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「分析の視点などを明らかにしたい」と明言しています。

 

 また、各疾病・事業についての見直し方向を見ると、次のような点が目立ちます(他の検討会の議論を待つ部分もある)。

【脳卒中】▼標準的治療(t-PA療法指針の改訂や、脳血管内治療の科学的根拠の確立など)▼一貫したリハビリの実施▼合併症予防の推進―など

脳卒中医療提供体制の見直し方向案

脳卒中医療提供体制の見直し方向案

脳卒中の指標見直し案

脳卒中の指標見直し案

【急性心筋梗塞】▼回復期・慢性期の体制整備(急性心筋梗塞を「心筋梗塞等の心血管疾患」と見直すなど)▼標準的治療の普及(カテーテル治療などの低侵襲な治療法など)▼一貫した医療提供体制の構築―など

急性心筋梗塞医療提供体制の見直し方向案

急性心筋梗塞医療提供体制の見直し方向案

急性心筋梗塞の指標見直し案

急性心筋梗塞の指標見直し案

【糖尿病】▼医療機関などの連携体制構築(重症化予防も踏まえて、定期的な眼底検査・栄養指導・腎機能検査なども提供できる体制)▼多職種による取り組み―など

糖尿病医療提供体制の見直し方向案

糖尿病医療提供体制の見直し方向案

糖尿病の指標見直し案

糖尿病の指標見直し案

【救急医療】▼地域連携の取組み(円滑な受入れ体制の整備や出口問題への対応など)▼救急医療機関等の機能の充実(救命救急センターの充実段階評価を見直し、地域連携の観点をより取り入れる。数年間受入れ実績がない救急医療機関は、都道府県による指定の見直しを検討する)

救急医療提供体制の見直し方向案

救急医療提供体制の見直し方向案

救急医療体制の指標見直し案

救急医療体制の指標見直し案

【周産期医療】▼計画の一体化と体制整備の充実(周産期医療体制整備計画を医療計画に一本化し、基幹病院へのアクセス範囲なども考慮した圏域の設定など)▼災害に備えた対応の充実(小児周産期災害リエゾンの養成など)▼精神疾患合併妊婦への対応―など

周産期医療提供体制の見直し方向案

周産期医療提供体制の見直し方向案

周産期医療体制の指標見直し案

周産期医療体制の指標見直し案

【小児医療】▼地域の実情に応じた体制整備(日本小児科学会の提言も踏まえた「小児地域支援病院(仮称)」の設定など)▼地域における人材育成と住民への情報発信の推進―など

小児医療提供体制の見直し方向案

小児医療提供体制の見直し方向案

小児医療体制の指標見直し案

小児医療体制の指標見直し案

医療機器の安全管理や、共同利用の推進も目指す

 さらに第7次医療計画では「医療機器の配置及び安全管理の状況等」について、▼高度な医療機器の配置状況に加え、稼働状況など等も確認し、保守点検を含めた評価を行う▼CT・MRIなどを有する診療所について、都道府県が保守点検を含めた医療安全の取り組み状況について、定期的に報告を求めることとする▼特に高額な医療機器(放射線治療装置など)については共同利用の状況や新たな導入に向けた方針などについて、地域医療構想調整会議で協議する―といった見直し方向も示されました(関連記事はこちら)。

 

 検討会では、年内に報告書をまとめる予定です。それに沿って厚生労働大臣が医療計画作成のための基本指針(告示)を定め、さらに、厚労省医政局長から基準病床数などを定めた「医療計画作成指針」、同局地域医療計画課長から5疾病・5事業等に関する通知が発出されます。これらに則って、来年度(2017年度)から各都道府県で医療計画の作成が行われる運びとなります。

医療計画策定に係る指針などの全体像

医療計画策定に係る指針などの全体像

 
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