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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

Metal-on-Metal人工股関節、MRI検査の実施は慎重に判断を―厚労省

2020.2.6.(木)

人工股関節の中でも「金属同士の摺動部分を持つもの」(Metal-on―Metal人工股関節、MoM人工股関節)による人工股関節全置換術では、術後のMRI検査が推奨されるケースがある。ただし検査中に人工関節が発熱することなどもあり、MRI検査の実施は慎重に判断する必要がある―。

厚生労働省は1月28日に通知「Metal-on-Metal人工股関節装用患者のMRI検査に関する適切な情報提供について(協力依頼)」を発出し、医療現場等に注意を呼びかけました。

MRIの磁場で人工股関節の金属部分が発熱するなどのリスクもある

Metal―on―Metal人工股関節は、摺動部分が金属同士のため金属摩耗粉が発生します。この摩耗粉に対する生体反応と考えられる「疼痛」「腫瘤性病変(偽腫瘤)」が発生するために、術後、比較的短期間で再手術が必要となるケースがあることから、日本人工関節学会は「Metal―on―Metal人工股関節全置換術合併症の診療指針」を作成。

そこでは、▼X線像でインプラントの緩みがある場合:再置換術を考慮する▼MRIで異常所見のある場合:再置換術を考慮する(穿刺検査による感染の鑑別も参考に)▼金属に起因する人工物の不具合(ARMD)の頻度が高い機種についてはMRIスクリーニングを考慮する―ことなどを注意喚起。これを受けて厚労省は2016年3月に、Metal―on―Metal人工股関節の「使用上の注意」改定を指示しています(厚労省のサイトはこちら、関連記事はこちら)。

MoM人工股関節全置換術後の診療アルゴリズム

MoM人工股関節全置換術後の診療アルゴリズム



このように、術後のMRI検査が推奨されるケースが少なくないMetal―on―Metal人工股関節による人工股関節全置換術ですが、MRIの磁場によって人工股関節が発熱してしまうことなどもあります。このため日本人工関節学会・日本磁気共鳴医学会・日本医学放射線学会では、下記の点を参考に「慎重なMRI検査の実施」を判断するよう推奨。厚労省もこれを医療現場等に広く周知することとしたものです(日本人工関節学会のサイトはこちら)。

▽MRI検査予約時のチェック・直前の問診票で「人工股関節装用の有無」を確認する

▽人工股関節を有する場合、患者に「違和感や発熱などの可能性がある」ことを説明した上で検査を行う

▽MRI装置の吸引力に関して、可能であれば事前に同等製品実物をMRIガントリーに近づけて「吸引力が働かない」ことを確認する。同等製品実物がない場合には、検査台上の患者関節部分を、離れたところから徐々にガントリーに近づけて「違和感がない」ことを確認する

▽患者にはエマージェンシーコールを持たせ、違和感の訴えがあった場合には即座に検査を中止する

▽発熱リスクを低減するために、特に必要がない限り通常操作モード(全身平均SAR ≦2.0W/kg)での撮像を推奨する

▽体内における電流誘導を抑制するため、「左右の足指の接触、あるいは手と体幹の接触を避けるための絶縁物を挿入する」などの安全策を徹底する

▽検査終了後、人工股関節付近に違和感がないか確認する



なお、3学会ではMetal―on―Metal人工股関節の製造販売メーカーに対し、「添付文書にMRI適合性に関する記載がない場合が多く、ほとんど参考にならない。また撮像条件が提供されても、ばらばらな撮像条件が付帯すると現場が混乱する。撮像条件は、できるだけ簡便なもの、例えば最低限『通常操作モード内では安全に検査が行える』などと程度の記載とすることが望ましい」とも要望しています。



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