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九州地方の豪雨で被災した介護事業所・施設など、介護報酬の基準等で臨時特例を認める—厚労省

2020.7.9.(木)

お伝えしている通り7月上旬に九州地方を中心に線状降水帯が発生し、記録的な豪雨により筑後川や球磨川などが氾濫するなど、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

豪雨被害は、介護保険施設・事業所をはじめとする介護保険制度にも大きな影響を及ぼしており、例えば、請求間近のレセプトを滅失・棄損してしまった施設・事業所や、スタッフが被災し、人員配置基準等を一時的に満たせなくなる施設・事業所などが生じています。

この点、厚生労働省は、被災した介護保険事業所・施設を救済するために、レセプトを滅失・棄損した場合には「概算請求」(直近のサービス提供実績に準じた介護報酬請求)を可能としたほか、さまざまな介護報酬上の柔軟措置を行う方針を決定。

介護報酬上の柔軟措置については、7月6日に事務連絡「令和2年7月3日からの大雨による災害における介護報酬等の取扱いについて」で詳説されており、ポイントとなる部分を眺めてみます。

避難先での要介護認定、避難所への介護サービス提供などを柔軟に認める

まず、各サービス(居宅、地域密着、施設)に共通する事項として、次のような点が明らかにされました。

▼他市町村に避難した者が、新たに介護が必要となった場合には「避難先市町村で要介護認定の事務を代行し、事後に避難元市町村に報告する」などの柔軟な取り扱いが可能

▼「避難所や避難先の家庭等で生活する要介護者・要支援者に対し居宅サービスを提供した場合」でも、介護報酬の算定は可能

▼介護保険施設等の入所者が被災し、一時的に別の介護保険施設や医療機関等に避難している場合、原則は「避難先の施設等が施設介護サービス費や診療報酬を請求する」が、一時的避難の緊急性が高く、手続が間に合わないなどやむを得ない場合には、これまでのサービス提供が継続していると保険者が判断した場合には、「避難前の介護保険施設等が施設介護サービス費等を請求し、避難先の介護保険施設や医療機関等に対し必要な費用を支払う」などの取り扱いも可能

▼被災等による避難者が介護保険施設等に入所し、やむを得ない理由で静養室や地域交流スペースなど「居室以外の場所」で処遇を行った場合でも、「従来型多床室の介護報酬」を請求してよい。ただし、適切なサービス提供可能な受け入れ先等の確保に努める

▼【認知症専門ケア加算】(介護保険施設やグループホームで、認知症介護経験を持ち、認知症介護指導者研修の修了者である専門者が介護サービスを行うことを評価する加算)について、「利用者のうちの日常生活自立度III以上の割合」(通常は5割以上が必要)などの計算から「今般の災害等やむを得ない事情により受け入れた新規利用者」などを除外してよい

▼【サービス提供体制強化加算】(介護職に占める介護福祉士の割合が5割以上など、サービス提供体制を強化した通所介護等の事業所を評価する加算)について、有資格者当の割合計算から「今般の被災等により増員した介護職員等や、受け入れた新規利用者」などを除外してよい。また、「定期的な会議」要件は柔軟に取り扱ってよい

▼サービス事業所等が被災したことにより、一時的に人員基準などを満たすことができなくなった場合でも、利用者の処遇に配慮したうえで、「加算算定について柔軟な対応」をしてよい(サービスの質が維持されれば、人員等を一時的に満たさなくなっても加算等を継続算定してよい)

▼処遇改善加算について、被災により「計画内の賃金改善」が困難だが、「期間を超えて賃金改善」が可能な場合には、都道府県等の判断で、「期間を超えた賃金改善」を処遇改善実績と認め、実績報告書の提出期限を延長してもよい(加算の要件を満たすものと扱って良い)

訪問介護の特定事業所加算、介護福祉士割合計算等で「被災者受け入れ」等の配慮行う

また、訪問介護の【特定事業所加算】(介護スタッフに占める介護福祉士割合が30%以上など、サービス提供体制を強化した訪問介護事業所を評価する加算)について、▼定期的な会議開催などの要件を、やむを得ず満たせなくても加算算定が可能▼有資格者割合などの計算から「今般の被災等により増員した介護職員等や、受け入れた新規利用者」などを除外してよい―などの柔軟な対応が行われます。

また、被災したスタッフの代わりに、一時的に「通所介護事業所の職員」を訪問介護に従事させる場合でも、届け出(通常は必要)の猶予などの柔軟な取り扱いが可能となります。

豪雨の影響で、ケアマネの担当者が一時的に40件を超えても「減算」は適用しない

また居宅介護支援(ケアマネジメント)については、▼ケアマネジャーの担当件数が、やむを得ず一時的に40件を超えても居宅介護支援費の減額を行わない▼被災による交通寸断などで、やむを得ず一時的に利用者の居宅を訪問できなくても居宅介護支援費の減額を行わない▼被災した訪問介護事業所の閉鎖などで、やむを得ず一時的に特定の事業所にサービスが集中しても【特定事業所集中減算】(ケアプランの中で「最も紹介件数の多い法人事業所」の割合が80%を超える場合の減算)は適用しない—という柔軟対応が明示されています。

被災者の入所・入院で施設基準等を満たせずとも、当面は従前どおりの報酬請求可能

一方、介護保険施設に関しては、次のような柔軟対応が行われます。

▽避難前「ユニットケア」→避難先「従来型個室」となる場合でも、「避難前の施設等で提供していたサービス(ユニットケア)を継続して提供している」と判断できるときは、従前の算定区分により請求することができる

▽避難者を受け入れて入所させるため、ユニット型個室を多床室として利用する場合でも、「これまで提供してきたユニットケアを継続して提供している」と判断できるときは、利用者の了解を得た上で、これまでの利用者・被災者の双方について「ユニット型個室の区分による請求」が可能である

▽被災地の介護保険施設が、災害等やむを得ない事情で要介護者を入所・入院させたために指定等基準、基本施設サービス費・加算に係る施設基準を満たせなくなった場合でも、当面の間、直ちに施設基準の変更届け出を行う必要はない(従前の報酬請求を当面認める)

▽被災地「以外」の介護保険施設が、災害等やむを得ない事情により要介護者を入所・入院させた場合、指定等基準、基本施設サービス費・加算に係る施設基準については、当面の間、「被災地から受け入れた入所者・入院患者を除いて算出する」ことを認める

被災者等を受け入れた事業所では、当該被災者等を各種計算から除外可能

このほか、次のような柔軟対応方針が明確化されています。

▽通所系サービスにおいては、「浴槽等の入浴設備が使用できなくなり、入浴サービスが提供できない」場合でも、清拭・部分浴など「入浴介助に準ずるサービス」を提供していれば【入浴介助加算】【入浴介助体制加算】を継続算定できる

▽通所リハビリについて、被災によりリハビリが休業し、ケアプランに規定された利用用回数等のサービスが提供できない場合には、当該利用者について「日割り計算」で対応する方針が示されました。

▽訪問リハ、通所リハの【社会参加支援加算】(ADLやIADLがリハビリにより向上し、家庭内での家事や社会参加ができるようになり、他サービスに移行できた場合に算定できる加算)について、算定要件である「社会参加を果たした者の割合」計算から「今般の災害等やむを得ない事情により受け入れた新規利用者」などを除外してよい

▽通所介護・通所リハビリの【中重度者ケア体制加算】(中重度者を受け入れるために介護職員・看護職員を加配する事業所を評価する加算)について、「要介護3以上の利用者が3割以上」の計算から「今般の災害等やむを得ない事情により受け入れた新規利用者」などを除外してよい

▽短期入所生活介護・短期入所生活介護について、被災により在宅に戻れず、やむを得ずショートステイを継続している場合には【長期利用者に対する減算】(自費利用などを挟み実質連続30日を超える利用者について基本報酬を減算する)は適用しない

▽被災前に使用していた福祉用具が滅失・破損した場合は、再度、貸与を受けられる。また、被災前に購入した福祉用具が滅失・棄損した場合は、再度、同一用具の購入費に対して保険給付を可能とする

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