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2019年、「腫瘍用薬」の生産額が前年比でほぼ2倍に大幅増—薬事工業生産動態統計

2021.1.5.(火)

2019年の医薬品国内生産額は9兆4860億円、輸入額は2兆7531億円となった。薬効別に見ると、「腫瘍用薬」の生産金額増加が著しく、優れた抗がん剤の開発・使用がさらに進んでいる状況が伺える―。

こういった状況が、厚生労働省が12月24日に発表した2019年の「薬事工業生産動態統計年報の概要」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。なお、調査手法が一部見直されており、前年の統計数値に若干の変動があります(前年の関連記事はこちら)。

医薬品の国内生産は9兆4860億円、腫瘍用薬の生産増が著しい

薬事工業生産動態統計は、医薬品や医療機器の生産・輸入の実態を明らかにするために毎年行われている調査です。まず医薬品の生産・輸入状況を見てみましょう。

2019年の国内生産金額は9兆4860億円で、前年に比べて2兆5783億円・37.3%増加しました。また、外国からの輸入金額は2兆7531億円で、前年に比べて3950億円・12.5%減少しています。生産額と輸入額の合計は12兆2391億円で、前年に比べて2兆1833億円・21.7%の増加となっています。

医薬品国内生産金額は、2018から19年にかけて急増した(2019年薬事工業生産動態統計1 201224)



国内生産金額のうち、医療用医薬品は8兆6628億円(前年に比べて40.3%増)、要指導医薬品・一般用医薬品は8232億円(同12.0%増)となりました。医療医薬品が91.3%を占め、このシェア率は前年から1.9ポイント増加しています。



国内生産金額を薬効大分類別に見ると、「腫瘍用薬」が前年から90.0%増加の1兆1617億円で最多となりました。優れた効能・効果を持つ腫瘍用薬(ただし極めて高額)の開発が進んでいる状況を再確認できます。医薬品全体に占めるシェアは、前年の8.9%から12.2%に広がっています。

腫瘍用薬の国内生産金額が激増している(2019年薬事工業生産動態統計2 201224)

腫瘍用薬の国内生産金額シェアがトップとなった(2019年薬事工業生産動態統計3 201224)



以下、次のような状況です。

▼その他の代謝性医薬品:1兆1554億円(前年から34.6%増、シェアは12.4%→12.2%で0.2ポイント低下)
▼中枢神経系用薬:1兆1226億円(同43.0%増、同11.4%→11.8%で0.4ポイント上昇)
▼循環器官用薬:9968億円(同24.2%増、同11.6%→10.5%で0.9ポイント低下)
▼血液・体液用薬:6832億円(同43.0%増、同11.4%→11.8%で0.4ポイント上昇)
▼消化器官用薬:5620億円(同45.6%増、同6.8%→7.2%で0.4ポイント上昇)
▼生物学的製剤:5033億円(同41.1%増、同5.2%→5.3%で0.1ポイント上昇)
▼体外診断用医薬品:4060億円(同50.4%増、同3.9%→4.3%で0.4ポイント上昇)
▼外皮用薬:4031億円(同5.1%増、同5.6%→4.2%で1.4ポイント低下)
▼化学療法剤:3882億円(同40.4%増、同4.0%→4.1%で0.1ポイント上昇)



構成割合の大きな医薬品を見ると、(1)腫瘍用薬:12.2%(2)その他の代謝性医薬品:12.2%(3)中枢神経系用薬:11.8%(4)循環器官用薬:10.5%(5)血液・体液用薬:7.2%―となっており、上位5分類で53.9%を占めています。前年(上位5分類で50.4%)に比べて集中度がさらに高まっています。



また、各大分類項目の内訳を見てみると次のような状況です。

●腫瘍用薬:「その他の腫瘍用薬」1兆868億円(前年に比べて96.3%増)、「代謝拮抗剤」482億円(同57.1%増)、「抗腫瘍性植物成分製剤」153億円(同0.7%減)ほか

●その他の代謝性医薬品:「他に分類されない代謝性医薬品」6421億円(同33.2%増)、「糖尿病用剤」3791億円(同32.1%増)、「痛風治療剤」620億円(同34.6%増)ほか

●中枢神経系用薬:「その他の中枢神経系用薬」3333億円(同60.8%増)、「精神神経用剤」3051億円(同104.1%減)、「解熱鎮痛消炎剤」2053億円(同7.6%増)ほか

●循環器官用薬:「血圧降下剤」3252億円(同1.7%増)、「高脂血症用剤」2490億円(同64.8%増)、「血管拡張剤」1302億円(同10.4%増)ほか

●血液・体液用薬:「血液凝固阻止剤」3830億円(同82.1%増)、「その他の血液・体液用薬」2135億円(同19.4%減)、「血液代用剤」756億円(同10.2%増)ほか

●消化器官用薬:「消化性潰瘍用剤」2623億円(同49.1%増)、「その他の消化器官用薬」1052億円(同49.2%増)、「下剤、浣腸剤」780億円(同146.2%増)ほか

●生物学的製剤:「血液製剤類」2357億円(同6.6%増)、「その他の生物学的製剤」1570億円(同256.8%増)、「ワクチン類」785億円(同23.3%増)ほか

●体外診断用医薬品:「生化学的検査用剤」1798億円(同69.7%増)、「免疫血清学的検査用剤」1634億円(同40.2%増)、「血液学的検査用試薬」328億円(同30.5%増)ほか

●外皮用薬:「鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤」2642億円(同1.1%増)、「外皮用殺菌消毒剤」434億円(同30.7%増)、「その他の外皮用薬」280億円(同14.7%増)ほか

●化学療法剤:「抗ウイルス剤」3105億円(同47.9%増)、「その他の化学療法剤」470億円(同20.7%増)、「合成抗菌剤」267億円(同6.0%増)ほか



また薬効中分類別では、多いほうから次のようになっています。

▼その他の腫瘍用薬:1兆869億円(前年度から96.3%増、シェア8.0%→11.5%で2.5ポイント上昇)
▼他に分類されない代謝性医薬品:6421億円(同33.2%増、シェア7.0%→6.8%で0.2ポイント低下)
▼血液凝固阻止剤:3830億円(同82.1%減、シェア3.0%→4.0%で1.0ポイント上昇)
▼その他の中枢神経系用薬:3333億円(同60.8%増、シェア3.0%→3.5%で0.5ポイント上昇)
▼鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤:3252億円(同1.7%減、同4.6%→3.4%で1.2ポイント低下)

輸入薬でも、抗がん剤の輸入額が増加

また、輸入金額が多い医薬品を見てみると、▼その他の腫瘍用薬:4646億円(前年から26.7%減)▼他に分類されない代謝性医薬品:3089億円(同22.8%増)▼その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む):1679億円(同5.1%増)▼眼科用剤:1406億円(同13.7%減)▼その他の呼吸器官用薬:1406億円(同25.4%増)▼血液凝固阻止剤:1036億円(同34.2%減)―などとなっています。

輸入元としては、▼ドイツ:6003億円(前年比18.6%減、シェア21.8%)▼米国:5521億円(前年比25.2%減、シェア20.1%)▼スイス:3409億円(前年比47.5%増、シェア12.4%)▼フランス:2415億円(前年比21.1%減、シェア8.8%)―が多くなっています。

医療機器、国内生産が48%、輸入が52%で、輸入品シェアが増加

医療機器の国内での生産金額は2兆5678億円(前年に比べて31.8%増)、輸入金額は2兆7230億円(同68.0%増)で、合計は5兆2908億円(同48.2%増)となりました。全体に占める輸入金額の割合は、医療機器では51.5%で、前年から6.1ポイント増加しています。

国内生産金額を名称別に見ると、▼内臓機能代用器:3049億円(全体の11.9%)▼医療用嘴管および体液誘導管:2824億円(同11.0%)▼医療用鏡:2419億円(同9.7%)▼医療用エックス線装置および医療用エックス線装置用エックス線管:2259億円(同8.8%)▼血液検査用器具:1823億円(同7.1%)―などが多くなっています。今回から新たに「名称別」統計が行われています。

医療機器の国内生産金額も増加した(2019年薬事工業生産動態統計4 201224)



また輸入金額を名称別に見ると、▼医療用嘴管および体液誘導管:4114億円(全体の15.1%)▼整形用品:3790億円(同13.9%)▼内臓機能代用器:3773億円(同13.9%)▼視力補正用レンズ:3080億円(同11.3%)▼理学診療用器具:1833億円(同6.7%)―などが多くなっています。

輸入元としては、▼米国:1兆511億円(輸入金額の38.6%を占める)▼アイルランド:2961億円(同10.9%)▼中国:1998億円(同7.3%)▼ドイツ:1854億円(同6.8%)―となっており、中国からの機器輸入増加が目立ちます。

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