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2019年度の医療法人経営、人件費・医薬品・医療材料費等のコスト増で「収益率は悪化」—WAM

2021.1.7.(木)

2018年度から19年度にかけて、医療法人の人件費、医療材料費(医薬品・医療材料)などのコスト増によって、収益率は悪化している—。

福祉医療機構(WAM)が1月6日に公表した「2019年度(令和元年度)決算 医療法人の経営分析参考指標」の概要から、こうした状況が明らかになりました(WAMのサイトはこちら)。2020年度に入ると新型コロナウイルス感染症の影響が本格化することから、経営状況は全体としてさらに厳しくなると予想されます。

2019年度における医療法人の収支指標

医療法人の収益率は、2018から19年度にかけて0.2ポイント悪化

WAMでは、経営資金を融資している病院から財務データ等の提供を受け、医療法人の経営を考える際の拠り所となる「経営分析参考指標」を毎年度公表しています。2019年度には1214法人からデータ提供を受けています。

指標の中から目立つものをピックアップしてみましょう。

まず「事業収益対事業利益率」を見ると、2018年度には2.1%でしたが、2019年度には2.0%となり、「0.2ポイント」落ち込んでいます(小数点以下の数値の関係で2.1-2.0=0.1とはならない)。事業収益対事業利益率は「事業利益÷事業収益」で計算され、この数値が高いほど「収益性が高い」、低いほど「収益性が低い」と言えます。医療法人全体として、2018年度から19年度にかけて収益性がやや下がっており、その背景を詳しく分析していく必要があるでしょう。この点、2019年度の最終局面(2月、3月)からすでに新型コロナウイルス感染症による影響が出ていたことがGem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの分析から分かっており、それが響いている可能性もあります。なお、2020年度には新型コロナウイルス感染症の影響が年度全般に及んでおり、収益性は相当程度低くなると予想されます。



収益性低下の大きな要素として「コスト増」が考えられます。

また、「従事者1人当たり人件費」を見ると、2018年度には530万3000円でしたが、2019年度には534万9000円で、「4万6000円」の増加となりました。このため、「人件費率」(人件費÷事業収益)は、2018年度の58.0%から、19年度には58.2%となり、「0.1ポイント」上昇しています(小数点以下の数値の関係で58.0-58.2=▲0.2とはならない)。

良質な医療サービスを提供するためには「優秀な人材」の確保が必須となり、そのためには「人件費の上昇」が避けられません。また当時はアベノミクスによる景気浮揚があり、人件費全体が上昇していたという背景もあります。

また、「医療材料費率」(医薬品費・医療材料費÷事業収益)は、2018年度から19年度にかけて「0.1ポイント」上昇しています(小数点以下の数値の関係で12.0-12.0=ゼロとはならない)。

このような「コスト増」が、事業収益対事業利益率の低下の一因になっているとWAMは指摘しています。ただし、「人件費を圧縮するために、スタッフの給与を削減する」策をとれば、「コスト減」にダイレクトに結びつくものの、「サービスの低下→収益の低下」にもつながりかねません。この点、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの研究・分析によれば「手術スタッフの一部が時間通りに出勤・準備が出来ず(当然、手術を始めることができない)、それがために『本来は必要でない残業』が発生しており、これが人件費増を招いている」といったようなケースが少なからず生じていることが分かっています。労働時間の延伸にもつながっており、まずこうした点の確認・是正から始めることが重要でしょう。

なお、人材確保状況を見ると、▼採用者数は、介護職は増加、看護職は横ばい▼離職者数は、介護職は減少、看護職は横ばい―となっており、2018から19年度にかけて大きな変化はなさそうです。ただし、Gem Medでもお伝えしているとおり、2020年度に入ると新型コロナウイルス感染症の影響で「離職」が増加しており、今後の状況に注目する必要があります。

2019年度における医療法人の人材確保状況



医療材料費の圧縮については、例えば「価格交渉の強化」「後発品や安価な製品への切り替え」などの手法が考えられます。ただし「安価だが粗悪は製品への切り替え」はサービスの質低下につながってしまうことから、現場の意見も踏まえたうえでの検討が必要となります。



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