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中小規模の公立病院における医師確保が非常に難しい、基幹病院による医師派遣に期待高まる―総務省

2022.4.22.(金)

公立病院における「100床あたり常勤医師数」を病院規模別にみると、中小規模病院では「医師数が少なく」「医師の増員にも苦戦している」状況が明白となっている―。

2020年度の公立病院収支は全体として「黒字」であるが、新型コロナウイルス感染症関連の補助金による効果が極めて大きい―。

総務省は4月20日、こうした「公立病院の経営状況」に関するデータを公表しました(総務省のサイトはこちら)。

新ガイドラインにも記載されているように▼単なる「赤字解消」にとどまらない「経営力の強化」▼「大規模な基幹病院による医師等の確保強化」→「中小規模病院への医師派遣」の機能強化—などに期待が集まります。Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンでは「公立病院の経営強化」サポートにも力を入れています。

コロナ補助金を除外した医業収支を見ると、500床以上病院でもマイナス13.1%の赤

総務省は3月29日に「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を公表しました(総務省のサイトはこちら(ガイドライン本文)こちら(概要版))。各公立病院(県立病院や市立病院など)には、このガイドラインに沿って今年度(2022年度)・来年度(2023年度)中に「経営強化プラン」を作成することが義務付けられています(関連記事はこちら)。

そうした中で総務省は「公立病院の経営状況」に関する最新データも公表しており、述べるように「厳しい状況」が浮き彫りとなっています。

まず病院数・病床数を見ると「一貫して減少傾向にある」ことが分かります。この背景には、赤字解消(公立病院の赤字は開設者である都道府県や市町村が負担することになる)に向けた「再編・統合」や「民間への譲渡」などがあります。

2020年度には853病院・20万3882床となっています。


次に853病院全体の収支状況を見ると、2020年度には総収益5兆5285億円に対し、支出5兆3919億円で「1366億円の黒字」となりました。2013年度以降、「初めての黒字決算」です。

黒字病院の割合も、2020年度には57.2%となり、2008年度以降「最高」となっています。

公立病院の赤字・黒字割合の推移



ただし、この背景には「新型コロナウイルス感染症に関連する補助金収益」があることを忘れてはなりません(関連記事はこちら)。コロナ関連補助金は2022年度前半にも継続されますが(関連記事はこちらこちら)、コロナ感染症が収束した暁には「補助金も終了する」こととなります。そうした場合、再び自治体病院の経営状況は厳しくなることが予想され、今のうちにしっかりした「経営強化プラン」を策定し、実行に向けた準備をしておくことが肝要です。



また、規模別に経営収支比率を見ると、▼500床以上:プラス2.8%▼400床台:プラス3.7%▼300床台:プラス2.2%▼200床台:プラス1.4%▼100床台:プラス0.4%▼99床以下:プラス0.1%—という状況です。規模の大きな病院で「経営状況が好転している」状況が伺えます。

この点、コロナ関連補助金等を除外した医業収支比率に目を移すと、▼500床以上:マイナス13.1%▼400床台:マイナス15.0%▼300床台:マイナス17.5%▼200床台:マイナス23.3%▼100床台:マイナス21.1%▼99床以下:マイナス29.4%—という状況です。いかにコロナ関連補助金の影響が大きいかを確認することができます。

病床規模別に見た、公立病院の収支状況(1)

病床規模別に見た、公立病院の収支状況(2)



他方、ガイドラインの中でも重視されている「医療従事者の確保」に関連して、病床規模別の「100床あたり常勤医師数」を見ると、2020年度には▼全体:16.0名(2008年度と比べて46.8%増)▼500床以上:21.8名(同59.1%増)▼400床台:18.8名(同52.8%増)▼300床台:15.5名(同50.5%増)▼200床台:12.7名(同32.3%増)▼100床台:8.8名(同17.3%増)▼99床以下:6.7名(同6.3%増)—という状況です。中小病院で「医師数が少なく、また医師を増やせない(=医師確保に苦戦している)」状況が浮き彫りになっています。

病床規模別に見た、公立病院の「100床当たり常勤医師数」の推移



ガイドラインでは、大規模な基幹病院に対し「今回拡充する地方財政措置も活用し、医師・看護師等を適切に確保する」→「医師等が不足する中小病院等に積極的に医師・看護師等を派遣する」ことにより、地域全体で協力・連携して医療提供体制を確保していくことを求めています(関連記事はこちら)。

今回のデータでも中小病院が「自助努力で医療従事者を確保・増員していく」ことの難しさが確認でき、大規模な基幹病院による支援に期待が集まります。



ところで、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、こうした経営強化プランを策定する公立病院を支援するサービスメニューも準備しています。

GHCが「先行して新公立病院改革プラン改訂を行った病院」(市立輪島病院:石川県輪島市)を支援したところ、「入院単価の向上」「戦略的な病床機能強化の推進」などが実現されています。「経営強化」「機能強化」を先取りして実現している格好です。

従前より「地域単位での医療提供体制見直し」に着目してコンサルティングを行っているGHCアソシエイトマネジャーの岩瀬英一郎は「従来通りの考えにとどまらず、より緻密な分析を行い、戦略をもった検討をベースとして『地域に必要とされる公立病院の姿』を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある」と強調しています。GHCでは「膨大なデータとノウハウ」「医療政策に関する正確かつ最新の知識」をベースに「真に地域で求められる公立病院となるための経営強化プラン」策定が可能です。今後は「形だけでのプラン作成で済ませる」わけにはいかない点にご留意ください。

●GHCのサービス詳細はこちら



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