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腎疾患対策では「患者・当事者がステークホルダーの一員」であることも踏まえた総合的な取り組みを—日本医療政策機構

2022.5.12.(木)

腎疾患対策の重要性が増しているが、対策を推進するにあたっては医師や行政などの専門家だけでなく、「患者・当事者自身」が重要なステークホルダーであることを忘れてはならない。ステークホルダーが緊密に連携し早期発見・早期介入を行うなどの総合的な取り組みが極めて重要である—。

日本医療政策機構は5月11日に緊急提言「『腎疾患対策』現状の課題と論点」を発表し、こうした考えを強調しました(機構のサイトはこちら)。

腎疾患対策と他の慢性疾患対策との相互補完的に実施せよ

「透析患者数の増加」「新たな国民病である慢性腎臓病(CKD)の増加」などが続いており、腎疾患対策が重要性を増しています。
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そうした中で日本医療政策機構では、我が国における腎疾患対策の課題を整理し、4つの「緊急提言」を行いました。

1つ目は、「慢性腎臓病(CKD)の予防・早期介入が、健康長寿の重要な基盤となることを再認識し、他の慢性疾患とも関連づけた総合的な対策をとる必要がある」との提言です。

慢性腎臓病(CKD)と、循環器病、糖尿病など多くの慢性疾患や生活習慣病は深く関連しており、「CKDの進展」は▼末期腎不全・透析▼脳卒中・心血管疾患▼認知症—を招いてしまいます。逆に言えば、「多くの慢性疾患領域の疾患対策」と「CKD対策」とを相互補完的に進めることが、「国民の生命を守り生活の質を向上させる」基盤になると言えます。

ただし、新型コロナウイルス感染症対応もあり骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2018、2020、2021)でCKD対策に⾔及した後の「施策の進展」「国民の認知度の向上」は十分とはいえません。機構では「改めて、CKD対策の拡充に向けた政府や関係ステークホルダーの取り組み」に期待を寄せています。



2つ目は、「専門医による介入のみならず、保健医療システムや健康増進施策の多様なフェーズにおいて関係者の協働が必要であり、幅広い協力者の巻き込みが求められる」との提言です。

腎疾患対策の現状を振り返ると、▼慢性腎臓病自体の認知度や診断率が低い▼特定健康診査(40-74歳を対象としたいわゆるメタボ健診)を含む各種健康診断において捕捉できた患者や潜在的患者が、早期治療を受ける「健診から受診へ」という早期発見・早期介入の流れが充分ではない▼かかりつけ医と専門病院間の病診連携をはじめとした診療連携体制の構築や専門医の充足率に地域格差がある—ことが分かっています。

機構では「早期発見・早期介入に向けた連携体制の強化」が必要であるとし、例えば▼健診時の判定区分に際した統一基準の策定▼健診後の受診勧奨や保健指導の拡充▼検尿講習や最新の診療ガイドラインの共有などによる腎臓専門医とかかりつけ医の連携強化▼管理栄養士や腎臓病療養指導士をはじめとする腎臓病関連認定資格者などの積極活用▼自治体の腎疾患対策担当部署の確立と事業化・施策化を通じての行政との緊密な連携—などを提案しています。



3つ目は、「都道府県や地域ベースでの腎疾患対策の好事例が生まれつつあり、好事例の共有や横展開を行うべき」との提言です。

具体的には、▼2019年度慢性腎臓病(CKD)特別対策事業などによる腎疾患対策の好事例▼薬剤師、学校医、市町村保健師、かかりつけ医などによる連携▼自治体における腎疾患対策の一元的窓口の設置▼内科医会と専門医の連携—などの取り組みを集積・整理し、国をはじめとする関係機関が「腎疾患対策の全国均てん化」に向けて、共有・横展開することを機構は求めています。



4つ目は、「患者・当事者視点に基づいた腎疾患対策の推進」を求めるものです。

CKDはもちろん、慢性疾患においては「患者・当事者の行動変容やセルフマネジメント」必要不可欠です(患者自身が生活習慣を改めなければ、どれ程優れた治療を行っても効果は相殺されてしまう)。

このため機構では、「患者・当事者が重要なステークホルダーの一員である」ことを、医師をはじめとする他のステークホルダーが再認識し、栄養指導や行動変容の促進などの非薬物的介入を含め、総合的に腎疾患対策に取り組む必要があることを強調。具体的には、▼患者の年齢層に応じた異なるアプローチ手段やコミュニケーション手段の採用▼ピアサポート体制の充実▼就労者の食事管理環境の整備▼患者目線に立った透析治療の種類・時間等を含めた透析内容、透析前移植に関する情報提供体制の整備—などを提案しています。



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