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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

小児がん拠点病院として、従前と同じく北大病院、国立成育医療センター、京大病院など15施設を選定—小児がん拠点病院指定検討会

2022.12.23.(金)

来年度(2023年度)からの新たな「小児がん拠点病院」として、従前と同じく▼北海道大学大学院▼東北大学病院▼▽国立成育医療センター▼名古屋大学医学部附属病院▼京都大学医学部附属病院▼九州大学病院—など15施設を選定する—。

12月22日に開催された「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった選定が行われました。年明け1月(2023年1月)までに厚生労働省が指定を行い、4月1日から新たな「小児がん拠点病院」体制がスタートします。各拠点病院は地域ブロック協議会を開催し、その意見を踏まえて来年(2023年)9月頃までに「小児がん連携病院」の指定を行うことが求められます。

新指定要件に基づき、データ・ヒアリング結果を踏まえて小児がん拠点病院を選定

Gem Medで報じてきたとおり、新たな▼がん診療連携拠点病院▼小児がん拠点病院▼がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院—の指定要件(整備指針)が策定され、2023年度から新たながん診療提供体制がスタートします。

小児がん拠点病院の指定要件(整備指針)については、例えば▼拠点病院は「地域ブロック内の小児がん診療体制整備を牽引する」、中央機関は「人材育成、研究開発、中央病理診断についても国内の体制整備を行う」などの明確化を図る▼小児がん連携病院の類型1について、質の確保・適切な集約化に向けて「年間新規症例数が20以上の施設を1-A」「それ以外を1-B」と分類する▼長期フォローアップに関する適切な連携体制の整備・検討を進める▼がん・生殖医療を含む小児・AYA世代の相談支援を強化する—などの見直しが行われました(関連記事はこちら)。

●小児がん拠点病院の新指定要件(整備指針)はこちら

小児がん拠点病院の指定要件見直しのポイント(小児がん拠点病院指定検討会1 221222)

小児がん拠点病院の指定要件概要(小児がん拠点病院指定検討会2 221222)

小児がん診療提供体制の全体像(小児がん拠点病院指定検討会3 221222)



今般、この新指定要件(整備指針)に基づき、新たな「小児がん拠点病院」の選定が行われました。

選定は、▼診療体制・診療実績などのデータをもとに申請病院を順位付けする → ▼上位11施設をまず「小児がん拠点病院」として選定する → ▼下位8施設について、データからは読み取れない点(総合体制、相談体制など)を検討会でヒアリングする(非公開) → ▼ヒアリング結果・地域バランスなどを総合評価し4病院を「小児がん拠点病院」として選定する—というプロセスで実施。次の15施設(従前と同数)を小児がん拠点病院として選定しています(これまでと同じ病院を選定)。

小児がん拠点病院の指定に向けた考え方(小児がん拠点病院指定検討会4 221222)



▽北海道大学病院(北海道)
▽東北大学病院(宮城県)
▽埼玉県立小児医療センター(埼玉県)
▽国立成育医療センター(東京都)
▽東京都立小児総合医療センター(東京都)
▽神奈川県立こども医療センター(神奈川県)
▽静岡県立こども病院(静岡県)
▽名古屋大学医学部附属病院(愛知県)
▽三重大学医学部附属病院(三重県)
▽京都大学医学部附属病院(京都府)
▽京都府立医科大学附属病院(京都府)
▽大阪府立総合医療センター(大阪府)
▽兵庫県立こども病院
▽広島大学病院(広島県)
▽九州大学病院(福岡県)



この15施設を来年(2023年)1月までに「小児がん拠点病院」として厚生労働省が指定し、4月1日より新体制がスタートします。

新たな小児がん拠点病院は、来年(2023年)9月頃までに地域ブロック協議会を開催し、そこでの意見を踏まえて「小児がん連携病院」を指定。これにより、全国で新たな小児がん診療提供体制が整い、「原則として4年間」、当該体制で小児がん診療を行っていくことになります(小児がん拠点病院の指定有効期間が原則4年間である)。

小児がん拠点病院の指定スケジュール(小児がん拠点病院指定検討会5 221222)



選定を行った構成員からは、「いずれも優れた病院である」と15施設を評価したうえで、「選からもれた施設も優れた取り組みを行っており甲乙つけがたかった。今後も小児がん診療に尽力してほしい」(小俣智子構成員:武蔵野大学人間科学部社会福祉学科教授)、「今後、より患者・家族目線での選定を心がけるべき」(渡辺弘司構成員:日本医師会常任理事)、「地域バランスに配慮した選定となったが、『地域』の判断が難しい、さらに検討研究を重ねるべき」(石原淳構成員:平塚市病院事業管理者)などのコメントが出ています。

例えば「四国には小児がん拠点病院がない」状況が続いていますが、単にエリアを考えるのではなく、交通網(鉄道、高速道路、航空など)も考慮した地域バランスを考えていく必要があります。また、小児がん拠点病院を「絞っている」背景には、「症例を集約化し、医療の質を高める」狙いがありますが、「集約化しすぎ、アクセスを蔑ろにしては本末転倒である」点にも留意が必要です。

なお、今後に向けては▼より多くの医療機関が手上げし、優れた病院をコンペで選定できるようにすべき▼評価項目・評価指標の内容も継続検討すべき▼「小児病院」と「総合病院」との機能の違いの評価についても検討すべき▼地域ブロックの設定、拠点病院の数(現在は15施設)の在り方も検討すべき▼地域ブロック内でのコンペも検討すべき—といった課題も浮上しています。



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