Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

血液代替剤のヘスパンダー輸液・ボルベン輸液等、「敗血症患者への適正使用」(重症では禁忌)を製造販売メーカーが強く呼びかけ

2023.1.16.(月)

ヒドロキシエチルデンプン含有製剤(HES製剤)を製造販売するフレゼニウスカービジャパン社と大塚製薬工場社は1月12日に「ヒドロキシエチルデンプン含有製剤(HES製剤)の適正使用について」を示し、医療機関等の注意を要請しました(医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトはこちら)。

血液代替剤の「ヘスパンダー輸液」「サリンヘス輸液6%」「ボルベン輸液6%」について、「重症の敗血症の患者」については状態を悪化させる恐れがあるために【禁忌】とし、「重症を除く敗血症の患者」については重症化した場合に状態悪化を招く恐れがあるために【慎重投与】とされた

重症の敗血症の患者では【禁忌】、「重症を除く敗血症の患者」では【慎重投与】

Gem Medで報じているとおり、血液代替剤の「ヘスパンダー輸液」「サリンヘス輸液6%」「ボルベン輸液6%」について、「重症の敗血症の患者」については状態を悪化させる恐れがあるために【禁忌】とし、「重症を除く敗血症の患者」については重症化した場合に状態悪化を招く恐れがあるために【慎重投与】とすることとされました(関連記事はこちら)。

これを踏まえ、これら製剤を製造販売するフレゼニウスカービジャパン社と大塚製薬工場社は、次のような点を明確にしたうえで、重ねて「適正使用」を行うよう医療現場に求めています。

▽海外臨床試験において「重症敗血症患者にHES製剤を投与した場合に、死亡リスクの増加」がみられている

▽海外臨床試験における重症敗血症は、「少なくとも1つの臓器不全(=SOFAスコア3以上)を呈する敗血症」である(敗血症発症の48時間前にすでに臓器不全があった場合を除く)

▽敗血症は、以下の双方に該当する状態をさす
▼血液、もしくは無菌部位で増殖した微生物により確認された感染、または膿瘍もしくは感染組織(例:肺炎、腹膜炎、尿路、血管線感染、軟部組織など)により確認された感染である
▼全身性炎症反応症候群(SIRS)基準を有する

▽「全身性炎症反応症候群(SIRS)基準を有する」とは、以下のうち「少なくとも2つ以上」に該当することさす(いずれも無作為化前の24時間に記録された最も悪化した値を用いて判断する)
▼体温が「摂氏38度超」または「摂氏36度未満」である
→直腸、膀胱、中心ライン、鼓膜のいずれかで測定
→口腔温、鼠径温、腋窩温を使用する場合は「測定値+0.5度」とする
→「摂氏36度未満」の低体温症は、直腸、膀胱、中心ライン、鼓膜のいずれかのみで確認する必要がある

▼心拍数が「毎分90拍以上」
→心房性不整脈がある場合は、心室性心拍数を記録する
→患者が既知の症状を有するか、頻脈を防ぐ治療(例えば、心臓ブロックやβブロッカー)を受けている場合には、他の3つのSIRS基準のうち2つを満たす必要がある

▼呼吸数が「毎分20回超」、PaCO2が「4.3kPa(32mmHg)未満」、または「急性期の機械的換気あり」

▼白血球数が「1リットル当たり12×10の9乗以上」(つまり120億以上)、または「同じく4×10の9乗未満(つまり40億未満)、または 「未熟な好中球(バンドフォーム)が10%以上」



従前より「重症敗血症患者へのHES製剤使用で死亡リスクが増加する」との報告がありましたが、欧州では「使用方法の不遵守」が継続的に確認され、EU域内では製造販売が中止されています。本邦においてこうした事態に陥らないように、適正使用が求められます。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

血液代替剤のヘスパンダー輸液・ボルベン輸液等、重症の敗血症患者は【禁忌】、重症以外の敗血症患者は【慎重投与】に—厚労省