市区町村別の平均寿命格差、男性10.8年に拡大、女性4.3年に縮小!最長は男女とも神奈川県川崎市麻生区!—厚労省
2023.5.15.(月)
市区町村別に平均寿命を見ると、最も長命なのは、男女とも神奈川県川崎市麻生区(男性84.0年、女性89.2年)、逆に、最も短命なのは男女ともに大阪府大阪市西成区(男性73.2年、女性84.9年)である。市町村別の格差は、男性では10.8年で5年前より拡大、女性では4.3年で同じく縮小している―。
厚生労働省が4月17日に公表した2020年版の「市区町村別生命表の概況」から、こういった状況がわかりました(厚労省のサイトはこちら)(前回2015年版の記事はこちら)。
高齢に、とりわけ75歳以上の後期高齢者になると医療・介護ニーズが飛躍的に高まるため、今後の医療・介護提供体制をより精緻に検討・整備する際などに、極めて重要な基礎資料となります。
男女とも、大阪府、青森県の市区町村で「短命自治体」が目立つ
生命表には、毎年の▼人口推計(10月1日時点)▼人口動態統計月報年計(概数)—に基づく【簡易生命表】と、5年に1度の▼国政調査結果▼人口動態統計(確定数)―に基づく【完全生命表】があります。今般、2020年の完全生命表(第23回完全生命表)をベースにした市区町村別の生命表がまとめられました(2000年、2005年、2010年、2015年に続く5回目)。
日本全体(オールジャパン)の平均寿命(0歳の平均余命)は、2020年には男性81.56年(2015年から0.81年延伸)、女性87.71(同0.72年延伸)となりました。
都道府県別に見ると、最も長命なのは、男性では滋賀県の82.73年(2015年から0.95年延伸)、女性では岡山県の88.29年(同0.62年延伸)。逆に最も短命なのは男女とも青森県で、男性79.27年(同0.60年延伸)、女性86.33(同0.40年延伸)。最長と最短を比較すると、男性では3.46年(同格差が0.25年拡大)、女性では1.96年(同0.21年拡大)の開きがあります(厚労省サイトはこちら)。
これを市区町村別に見ると、さらに大きなバラつきがあります。
最も長命なのは、男女とも神奈川県横浜市麻生区で、男性84.0年(2015年に比べて0.9年延伸)、女性89.2年(同0.6年延伸)。逆に最も短命なのは、男女とも大阪府大阪市西成区で、男性73.2年(同0.3年短縮)、女性84.9年(同0.5年短縮)となりました。
最長と最短を比較すると、男性では10.8年(同1.0年の格差拡大)、女性では4.3年(同0.3年の格差縮小)となっています。
分布を見ると、男性では「81.0-81.5年」、女性では「87.0-87.5年」が多く、オールジャパンの平均寿命に近い状況です。2015年の前回調査では、男性「80.5-81.0年」、女性「86.5-87.0年」が最多であったことから、「全体としては0.5年程度、長寿にシフトしている」と言えるでしょう。
長命な市区町村の上位5位を見ると、次のような状況です。
【男性】
(1)神奈川県横浜市麻生区(84.0年、上記)
(2)神奈川県川崎市青葉区(83.9年、2015年から2.2年延伸)
(3)長野県上伊那郡宮田村(83.4年、同1.8年延伸)
(4)愛知県日進町(83.4年、同1.3年延伸)
(5)京都府木津川市(83.3年、同1.4年延伸)
【女性】
(1)神奈川県川崎市麻生区(89.2年、上記)
(2)熊本県上益城群益城町(89.0年、2015年から1.1年延伸)
(3)長野県下伊那郡高森町(89.0年、同1.1年延伸)
(4)滋賀県草津市(89.0年、同1.1年延伸)
(5)兵庫県芦屋市(88.9年、同1.2年延伸)
5年前の2015年調査では、女性では「沖縄県」、男性では「神奈川県」で長命な自治体が目立ちましたが、若干、状況に変化があります。
逆に平均寿命が短い市区町村は次のようになりました。
【男性】
▼大阪府大阪市西成区(73.2年、上記)
▼大阪府大阪市浪速区(77.9年、2015年から0.4年延伸)
▼大阪府大阪市生野区(78.0年、同0.9年短縮)
▼青森県下北郡東通村(78.1年、同0.6年短縮)
▼青森県上北郡六ヶ所村(78.3年、同0.6年短縮)
【女性】
▼大阪府大阪市西成区(84.9年、上記)
▼青森県東津軽群今別町(85.5年、2015年から0.3年短縮)
▼青森県南津軽郡田舎館村(85.5年、同0.4年短縮)
▼青森県南津軽郡大鰐町(85.6年、同0.1年短縮)
▼青森県むつ市(85.6年、同0.4年短縮)
大阪府、青森県が多く、また「5年前の2015年調査よりも短縮している地域が多い」点が気になります。
また、平均寿命の男女差(オールジャパンでは6.15年、2015年に比べて0.05年格差縮小)が大きな市区町村は▼大阪府大阪市西成区(11.8年、同0.9年拡大)▼高知県高岡郡中土佐町(8.5年、同0.6年拡大)▼大阪府大阪市生野区(8.3年、同0.7年拡大)▼高知県幡多郡大月町(8.3年、同1.8年拡大)▼鹿児島県大島郡天城町(8.3年、同0.4年短縮)―など。
逆に男女差の小さな市区町村は、▼高知県幡多郡三原村(4.5年、同2.4年格差縮小)▼長野県上伊那郡宮田村(4.6年、同2.0年縮小)▼奈良県吉野郡吉野町(4.6年、同1.7年縮小)▼愛知県日進市(4.6年、同1.1年縮小)▼山形県西置賜郡白鷹町(4.7年、同1.9年短縮)―などです。
市区町村別に「平均寿命と医療・介護体制との関係」などを分析することなどが重要になってきそうです。
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