男女ともに長野県で死亡率低く、がんや心疾患などの疾病対策が寿命延伸に効果大―2015年都道府県生命表
2017.12.14.(木)
2015年における日本国民の平均寿命を都道府県別に見ると、最も長いのは男性では滋賀県、女性では長野県、逆に最も短いのは男女ともに青森県であるが、年齢構成を調整した死亡率を見ると、男女とも「長野県で死亡率が低く、青森県で死亡率が高い」—。
厚生労働省が12月13日に公表した2015年の「都道府県別生命表の概況」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちらとこちら)。
年齢構成を調整すると、男女とも「長野県で死亡率が低く、青森県で死亡率が高い」
生命表には、毎年行われる▽人口推計(10月1日時点)▽人口動態統計月報年計(概数)—に基づく「簡易生命表」と、5年に1度行われる国政調査結果や人口動態統計(確定数)に基づく「完全生命表」があります。2015年の完全生命表(第22回完全生命表)が今年(2017年)3月1日に公表され、今般、これをベースにした都道府県版の生命表(第11回都道府県生命表)がまとめられたものです。
まず2015年の平均寿命は、日本全国では男性80.77年、女性87.01年ですが、都道府県別に見ると若干のバラつきがあり、大きく「中部地方や中国地方で寿命が長く、東北地方で寿命が短い」傾向が伺えます。
男性で最も長いのは滋賀県の81.78年(全国平均よりも1.01年長い)、女性で最も長いのは長野県の87.675年(同0.665年長い)。逆に最も短いのは男女とも青森県で、男性78.67年(同2.10年短い)、女性85.93年(同1.08年短い)となりました。最長と最短の格差は、男性では3.11年、女性では1.745年で、男性で地域間格差が大きいことが分かります。
もっとも都道府県によって高齢化に差があるため、この差を調整した「年齢調整死亡率」を見ると、もっとも小さい(死亡率が低い)のは男女とも長野県、逆に最も大きい(死亡率が高い)のは男女ともに青森県という状況です。長野県は男女ともに「長命である」と言えそうです。
悪性新生物や心疾患などの死亡率増減が、平均寿命の延びに大きく関係
また、平均寿命の延びが大きい上位3県(男性では長崎県、山口県、青森県、女性では鳥取県、群馬県、兵庫県)、逆に延びが小さい下位3県(男性では山形県、宮崎県、福井県、女性では愛媛県、福島県、新潟県)について、死因別の「年齢調整死亡率の変化(2010年から15年にかけて)」を見てみると、次のような状況が分かりました。
【平均寿命の延びが大きな3県】
▼男性では、ともに「脳血管疾患」と「自殺」の死亡率が、全国平均よりも大きく低下した
▼女性では、ともに「悪性新生物」の死亡率が、全国平均よりも低下した
【平均寿命の延びが小さな3県】
▼男性では、ともに「心疾患(高血圧性を除く)」と「不慮の事故」の死亡率が、全国平均よりも上昇してしまった。また「悪性新生物」の死亡率も、概ね全国平均より上昇してしまっている
▼女性では、「肺炎」の死亡率が全国平均よりも上昇してしまった
死因の上位を占める疾患(悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患)への対策が重要であることが改めて確認できます。
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