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我が国の平均寿命、女性87.05年で世界2位に転落、男性80.79年で世界4位―2015年簡易生命表

2016.7.28.(木)

 2015年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.29年延びて80.79年、女性が同じく0.22年延びて87.05年となりいずれも過去最長を更新した。また死因としては、やはり悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の順で死亡率が高くなっているが、死亡確率は前年くらべていずれれも低下している―。

 このような状況が、厚生労働省が27日に発表した2015年の「簡易生命表」から明らかになりました(前年の状況はこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

 女性はこれまで3年連続で世界1位でしたが、2015年は香港に次ぐ第2位に、男性も昨年より順位を一つ下げて、香港、アイスランド、スイスに次ぐ世界4位となりましたが、依然として男女とも平均寿命は世界トップクラスとなっています。

前年に比べて男性は0.29年、女性は0.22年増加

 簡易生命表は、2015年の1年間、死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したものです。年金制度はもちろん、傷病や要介護に及ぼす影響は年齢が最も強く関係するため、社会保障制度全般の制度設計において重要な基礎資料となります。

 2015年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は80.79年で、前年に比べて0.29年増加、女性は87.05年で同じく0.22年の増加となりました。前年に比べて主な年齢のすべてで、平均余命が男女とも延びています。

2015年、男女とも平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)は過去最高を記録し、世界でもトップクラスを維持している

2015年、男女とも平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)は過去最高を記録し、世界でもトップクラスを維持している

 平均寿命が延びた原因について、厚労省は「悪性新生物」「高血圧性を除く心疾患」などの死亡率の変化(低下)が影響していると見ています。平均寿命の男女差は6.26年で、前年より0.07年減少しました。

 また厚労省の調べによると、男性は世界4位(香港、アイスランド、スイスに次ぐ)、女性は世界2位(香港に次ぐ)の長寿となっています。男女とも、前年から1つ順位を下げましたが、依然として世界トップクラスの長寿国である状況に変化はありません。ただし国によって平均寿命の作成方法などが異なるので、厳密な比較はできません。

死因第1位は依然として「がん」、男性死因の29.34%、女性死因の20.21%

 次に死因について見てみましょう。2015年の死亡確率(ゼロ歳時)が最も高いのは悪性新生物で男性29.34%(前年比0.08ポイント減)、女性20.21%(同0.06ポイント減)となっています。

 死因の第2位は心疾患(高血圧性を除く)で、男性14.20%(同0.22ポイント減)、女性17.28%(同0.50ポイント減)。死因の第3位は肺炎で、男性では11.36%(同0.01ポイント減)、女性では9.57%(同0.18ポイント減)。死因の第4位は脳血管疾患で、男性では8.06%(同0.31ポイント減)、女性では9.43%(同0.32ポイント減)となっています。

 また悪性新生物・心疾患・脳血管疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では51.60%(同0.6減)、女性では46.92%(同0.88ポイント減)となりました。

悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く)、肺炎、脳血管疾患のいずれも前年より死亡確率が低下している

悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く)、肺炎、脳血管疾患のいずれも前年より死亡確率が低下している

 死因の上位を占める疾患すべてで死亡確率が下がっている背景には、早期の検診受診(早期発見)や医学・医療の進歩、国民の生活習慣の改善などがあると想像できますが、長期的な動向をウォッチしていく必要があります。

 また、これらの死因を克服することが出来た場合には平均余命が長くなると推計できます。厚労省では、15年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が、▽悪性新生物については男性3.78年、女性2.92年▽心疾患(高血圧性を除く)については男性1.44年、女性1.37年▽脳血管疾患については男性0.79年、女性0.77年▽肺炎については男性0.82年、女性0.64年―延びると計算しています。

 ちなみに、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患をすべて克服すると、男性で7.16年、女性で5.88年、平均寿命が長くなる計算です。

悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く)、脳血管疾患を完全に克服した場合、日本人の平均寿命は男性で7.16年、女性で5.88年延びることになる

悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く)、脳血管疾患を完全に克服した場合、日本人の平均寿命は男性で7.16年、女性で5.88年延びることになる

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