我が国の平均寿命、女性87.14年・男性80.98年でいずれも世界2位―2016年簡易生命表
2017.7.28.(金)
2016年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.23年延びて80.98年、女性が同じく0.15年延びて87.14年となりいずれも過去最長を更新した。また死因については、やはり悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の順で死亡率が高いものの、死亡確率は前年くらべて低下している疾患が多い―。
このような状況が、厚生労働省が27日に発表した2016年の「簡易生命表」から明らかになりました(前年の状況(確定版に当たる完全生命表)はこちら)(厚労省のサイトはこちら)。厚労省の調べでは、男女ともに香港に次ぐ世界第2位の長寿国となっています。
前年に比べて男性は0.23年、女性は0.15年、平均寿命が増加
簡易生命表は、2016年の1年間、死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)で表したものです。一般に医療費ともっとも相関の高い要素は「年齢」であることが分かっており(戦争や大災害を除く)、また介護費も「年齢」から大きな影響を受けます。このため医療保険制度・医療提供体制を考える上でも生命表は極めて重要な基礎資料となります(年金制度ではさらにダイレクトに関連する)(関連記事はこちら)。
2016年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は80.98年で、前年に比べて0.23年増加、女性は87.14年で、同じく0.15年増加しています。前年に比べて主な年齢のすべてで、平均余命が男女ともに延びています。
平均寿命が延びた原因について、厚労省は「悪性新生物」「高血圧性を除く心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」などの死亡率が変化(低下)したことが強く影響していると見ています。平均寿命の男女差は6.16年で、前年より0.1年減少しました。
厚労省が調べたところ、我が国は男女ともに世界2位(香港に次ぐ)の長寿国であることが分かりました(男性は前年の第4位から順位を2つ上げ、女性は前年と同じ)。ただし国によって平均寿命の作成方法などが異なるので、厳密な比較はできません。
死因第1位は依然として「がん」、男性死因の29.14%、女性死因の20.35%
次に死因について見てみると、2016年の死亡確率(ゼロ歳時)が最も高いのは悪性新生物で男性29.14%(前年比0.24ポイント減)、女性20.35%(同0.09ポイント減)です。
死因第2位は心疾患(高血圧性を除く)で、男性14.21%(同0.01ポイント増)、女性17.12%(同0.19ポイント減)。第3位は肺炎で、男性11.08%(同0.27ポイント減)、女性9.07%(同0.50ポイント減)。第4位は脳血管疾患で、男性7.79%(同0.28ポイント減)、女性8.98%(同0.47ポイント減)という状況です。
悪性新生物・心疾患・脳血管疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では51.15%(同0.51ポイント減)、女性では46.45%(同0.57ポイント減)となりました。
死因の上位を占める疾患の多くで死亡確率が下がっており、この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられます。
また、これらの死因を克服することが出来た場合には理論的に平均余命が長くなると推計でき、厚労省は、2016年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が、▼悪性新生物では男性3.71年、女性2.91年▼心疾患(高血圧性を除く)では男性1.42年、女性1.33年▼脳血管疾患では男性0.76年、女性0.73年▼肺炎では男性0.79年、女性0.60年―延伸すると計算しています。ちなみに、悪性新生物・心疾患・脳血管疾患のすべてを克服すると、男性で6.95年、女性で5.73年、平均寿命が長くなる格好です。
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