Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

物価高騰等への支援継続・病院等への給食確保に向けた報酬上の対応を国に強く要望—四病協

2023.9.28.(木)

物価・光熱水費・人件費の急騰で、病院経営は非常に厳しく、国に「支援」を強力に要望していく—。

財務省は「病院経営は2020年度・21年度と黒字で、しかもさらに良好になっている」とのデータを示しているが、そこには「新型コロナウイルス感染症対策の補助金」などが含まれている。コロナ補助金を除外すれば、病院経営は「大幅な赤字」が継続している点を十分に理解してほしい—。

9月27月に開催された四病院団体協議会の総合部会で、構成団体である日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会がこうした考えで一致したことが日精協の野木渡副会長から明らかにされました。

病院が取り引きする給食事業者も倒産しないか、戦々恐々としている

保険医療機関や介護保険事業所・施設では、収益の大部分を「公定価格である診療報酬や介護報酬」が占めているため、例えば「物価等が高騰したので、その分を価格に転嫁する」などの対応がとれません。

このため、現下の物価・光熱水費・人件費などの急騰が医療機関等の経営を非常に厳しくしています。

とりわけ、医療・介護の中で欠かせない「給食」についても、こうしたコスト増が大きく影響し、「給食提供の継続が難しい」事態に陥っています。9月27日の四病協・総合部会後に記者会見に臨んだ日精協の野木渡副会長は、昨今の「給食事業者の倒産」問題に関連し、「まだ『取引業者が倒産した』などの情報は聞いていないが、取引業者から『●●円値上げしてほしい。でなければ来月からは取り引きを停止させてほしい』との厳しい要望も数多く出ており、戦々恐々としている。給食業者も物価高騰等で厳しいのは事実であり、いつ倒産事業者が出てもおかしくない状況である」とコメントしています。

こうした状況を踏まえ、四病協では、日本医師会や介護事業者団体などと共同で▼物価・光熱費水費・人件費などの急騰に対する支援を10月以降も継続してほしい▼極めて厳しい「給食」問題を解決するために、入院時食事療養費や介護分野の基準費用額について大幅な引き上げを行っほしい—との2本立ての要望を厚生労働省等に提出する考えを確認しています(近々に提出予定)。

病院経営、コロナ補助を除外すれば「大幅赤字」が継続している点に留意を

ところで、9月27日に開催された財政制度等審議会の「財政制度分科会」では、財務省から「病院の経営状況は2020年度→21年度と改善し、良好である」旨のデータが提示されたことを四病協は問題視しています。

財務省では、▼東京都における一般病院(医療法人)の直近の経常利益率(経常利益÷事業費用)が2020年度には「3.2%の黒字」であったところ、翌21年度には「6.6%の黒字」に更に向上している▼日病・全日病・医法協の3病院団体調査(病院経営定期調査)によれば、病院の計上利益率は2020年度に「3.7%の黒字」であったが、翌21年度には「7.5%の黒字」に更に向上している—などのデータを示しています(財務省サイトはこちらこちら)。

財務省が9月27日の財政審に提出した資料では、病院経営は「黒字でさらに良好になっている」旨が示されている



この点について四病協では「確かにコロナ関連補助金等を加味すればそうした数字になるが、コロナ補助金は継続するものでなく、この5月8日(2023年5月8日)の5類移行後は縮小され、10月(2023年10月)からさらに縮小、また来年度(2024年度)には廃止される。このためコロナ関連補助金を加味して病院の経営状況を判断することは適切ではない。コロナ関連補助金を除けば、経常利益は2020年度・21年度ともに大きな赤字となっており、病院経営は非常に厳しく、コロナ補助金でなんとか維持できているに過ぎない」ことを強調(2022年度病院経営定期調査結果はこちら(日本病院会サイト)の。今後、財務省などに反論・抗議していく考えであることを野木・日精協副会長は示しています。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

控除対象外消費税の抜本改革を改めて要請、物価・光熱費等の急騰踏まえ「入院時食事療養費」の引き上げが必要—四病協
長引くコロナ禍で入院患者数戻らず病院経営は厳しい、コロナ関連補助金なければ病院経営は赤字転落―日病・全日病・医法協(1)